Appleは「Apple Watchが他社の特許を侵害している」としてApple Watch Ultra 2とApple Watch Series 9のアメリカでの販売停止を命令されています。新たに、Appleがアメリカ国際貿易委員会(ITC)に対して販売停止命令の延期を求めていたものの却下されたことが明らかになりました。

Certain Light-Based Physiological Measurement Devices and Components Thereof

(PDFファイル)https://www.usitc.gov/secretary/fed_reg_notices/337/337_1276_notice12202023sgl.pdf



Apple loses attempt to halt Apple Watch sales ban - The Verge

https://www.theverge.com/2023/12/20/24010011/apple-loses-attempt-halt-apple-watch-sales-ban-itc

2020年に登場したApple Watch Series 6以降のApple Watchシリーズには血中酸素濃度を測定できる「血中酸素ウェルネスアプリ」が搭載されています。しかし、Appleは医療機器メーカーの「Masimo」から「血中酸素濃度測定機能が自社の特許を侵害しいている」として2021年6月に提訴されており、2023年1月にはITCがMasimoの訴えを認めてAppleの敗訴を宣言。その後、2023年10月27日にはITCがAppleに対して「この機能を取り除かない限り、アメリカへの輸入を禁止する」という排除命令を下しました。

Apple Watchの血中酸素ウェルネス測定機能は医療機器メーカー「Masimo」の特許を侵害しているとの裁定をアメリカ国際貿易委員会が下す - GIGAZINE



Appleによると、ITCの排除命令によってApple Watch Ultra 2とApple Watch Series 9の2モデルをアメリカに輸入することが不可能になるとのこと。ITCは排除命令の施行日を2023年12月26日に設定していますが、Appleは「判決に従う措置を先制的に講じる」としてApple公式ウェブストアでは現地時間の2023年12月21日の15時から、アメリカの小売店舗では2023年12月24日から両モデルの販売を停止することを発表しました。

AppleがApple Watch Series 9とUltra 2の販売を中止、血中酸素センサーの特許紛争をめぐり - GIGAZINE



新たにITCが公開した文書によると、Appleは排除命令を下されてから3日後の2023年10月30日に「上訴期間および政府機関の閉鎖の可能性を考慮して命令の延期を求める」という申し立てをITCに提出していたとのこと。しかし、ITCは2023年12月20日にAppleの申し立てを却下する決定を下しました。なお、MasimoはAppleの申し立てへの反論としてMasimoスマートウォッチ「W1」に関する文書を提出していましたが、ITCの決定において当該文書は考慮されていません。

なお、ITCの命令はAppleによる直接販売を対象にしたものであり、Amazonなどのサードパーティー販売店でApple Watch Series 9やApple Watch Ultra 2を販売することは問題ありません。また、命令は「アメリカへの輸入」を対象にしているため、日本を含むアメリカ以外の国ではこれまで通り販売を継続できます。

また、海外メディアのBloombergは「AppleがApple Watch Series 9やApple Watch Ultra 2の販売を継続するためにソフトウェア的な修正を計画している」と報じています。