大量の核弾頭が沈む寸前だった。

原因は計器の異常とのこと

 潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した状態のヴァンガード級原子力潜水艦の深度計が故障し、大西洋で重大な事故を起こす寸前だったことが2023年11月19日、イギリスメディアで報じられました。


ヴァンガード級原子力潜水艦(画像:イギリス国防省)。

 イギリス各メディアの報道によると、同艦は誤って最大深度として設定されている約500mに近い深度まで潜ってしまったようです。

 原因は深度計のトラブルとのことです。乗組員の殆どは水平航行をしていると勘違いしていたそうですが、船体後部で任務についていたエンジニアが別の計器を見て異常を発見。警報を鳴らしたことで、乗員140名の命を救い、核弾頭48個が海底に沈むのを回避したようです。

 ヴァンガード級原子力潜水艦は、2023年現在、イギリスで唯一の核戦力を担う原子力潜水艦で、計4隻をイギリス海軍は運用しています。

 しかし、トラブルが重なり、ネームシップの「ヴァンガード」は7年以上にわたる修理でようやく2024年に復帰するめどが立ち、「ビクトリアス」は2022年に火災事故を起こし修理中の状態にあり、しばらく2隻体制での運用が続いています。

 そのため、本来は60〜70日であるところを、150日を超える長期間に渡り、遠洋でのパトロール任務に就くケースが増えています。こうした同級原子力潜水艦の過酷な運用状況に関して「破滅的な危険性をはらんでいる」と批判報道が2023年9月末に出ていました。