写真はイメージ

写真拡大

「ぶっちゃけ、『ChatGPT』という名前を聞いたことがあるだけ」――そんな声が聞こえてきそうなアンケート結果が公表された。ITコンサルティング会社「AI inside」(東京都渋谷区)が2023年9月26日に発表したものだ。

「そもそも用途が思いつかない」「必要性を感じない」

調査には、正社員および経営者・役員として働いている20〜59歳の男女1161人が回答。生成AI(人工知能)の活用実態・意向を把握するため、その使用状況を聞いたものだ。

それによると、生成AIを「継続利用している」「利用したことはあるが継続利用していない」と回答した人は、いずれも7.8%にとどまった。一方、「利用経験なし」が84.4%と、回答者の大多数を占める結果となった。

「ChatGPT」をはじめとする生成AIは、神奈川県の横須賀市役所が2023年4月20日、試験的に全庁業務に導入するなど、その利用は広がりを見せている。

しかし調査では、それを「我が事として」体感している方はかなりの少数派であり、8割を超える人々にとっては「使ったことすらない」という結果が示された形だ。J-CASTニュースBizは生成AIの利用実態を探ろうと、5人を取材した。

30代の女性記者Aさんは、生成AIを日常的に仕事で使うことはおろか、「使ったことすらない」と回答。

「使い方はまだ知りませんし、そもそも用途が思いつかない」

と答える。ただ「いずれ使ってみたい」とも話した。同様に60代男性編集者のBさんも使用経験なし。理由は「必要性を感じない」だった。

40代学習塾講師の男性Cさんは使用経験こそあるものの、仕事で継続的に利用してはいない。使ったことがあるのは文章生成AIで用途は「息抜き」という。その内容は実にユニークだ。

「現実に存在してないことを質問して、AIがだまされるのかを確認するんです。例えば、将棋では存在しない戦法の名前を入力し、それについて質問して答えさせるなどということをしています。実際、ありもしない戦法についてすらすら答えてくれました」

やや意地の悪い使い方と言えるだろうが、このような人もいるからこそ、生成AIを妄信せずにいられるのかもしれない。

「オリジナリティーがいらない文章を作るときに」

40代の研究所職員の女性Dさんは、文章生成AIを日常的に業務で使っていると話す。

「断片的な文章をまとめるとき、ある程度定型文があるとき、オリジナリティーがいらない文章を作るときに使います。推薦書の作成、報告書のまとめ、依頼状の作成といった感じです」

30代製薬メーカー勤務の女性Eさんは、かなり用途が具体的だ。プライベートでは「子どもの教育に対するアドバイスを得たり、旅行の行程のアイデアを得たり」するという。一方、業務では「アイデア出し」として、

「例えばスライドの構成や英語のプレゼンテーションのスクリプト作成、効果的なアンケートの設問、カスタマーサポートの応答用文言、アンケート結果からのサマリー作成、論文やウェブページの要約作成、チームビルディングアクティビティーのネタ探し」

と、詳しく明かした。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)