イスラエルとハマスの衝突により誤情報が拡散されまくりX(旧Twitter)がコミュニティノートにソースをリンクすることを義務化
X(旧Twitter)には誤解を招く可能性のあるポストに役立つ背景情報などを追加し、誤った情報が拡散されてしまうことを防ぐためのファクトチェックツール・コミュニティノートがあります。このコミュニティノートに、追加した情報のソース(情報源)をリンクすることが義務付けられました。背景にはイスラム原理主義組織のハマスとイスラエルの間で進行中の紛争に関する誤情報がXで拡散されたことがあります。
https://www.engadget.com/x-now-requires-community-fact-checks-to-include-sources-235125787.html
A guide to the EU probe of Israel-Hamas disinformation on Elon Musk’s X - Vox
https://www.vox.com/technology/2023/10/17/23921219/x-twitter-europe-disinformation-investigation
2023年10月18日、Xの公式アカウントひとつである@CommunityNotesが、「出典を引用したコミュニティノートは、ユーザーから『役に立つ』と評価される可能性が非常に高くなります。これは情報源が視聴者や評価者によって簡単に検証できるように、コミュニティノートを作成しているためです。本日より、コミュニティノートには情報源の記載が必須となりました。一部の役立つコミュニティノートは本質的にソースを必要としないため、これまではソースの記載を義務付けていませんでした。例えば、投稿や投稿に含まれるメディアの詳細に言及しているものです。しかし、このような事例は一般的ではないため、ソースの記載を義務付けることによる影響はプラスになると考えています。追加のコンテキストが必要ない理由を説明するコミュニティノートでは、引き続きソースの記載は必要ありません」と発表しました。
Notes that cite sources have a much higher likelihood of earning a 'Helpful' status. This is not surprising, as sources make notes more easily verifiable by viewers and raters. Starting today, sources are now required for proposed notes.
We haven’t previously required this, as… pic.twitter.com/6CWGkvtLPJ— Community Notes (@CommunityNotes) October 17, 2023
@CommunityNotesの投稿に添付されているスクリーンショットには、コミュニティノートを記載するテキストボックス下部に「Your note doesn't include a source(あなたのコミュニティノートにはソースが含まれていません)」という警告文が追加されています。加えて、この警告文とテキストボックスの間にも、グレーの文字で「外部ソースへのリンクが必要」という表記があります。
この背景にはイスラエルとハマスの間で続いている紛争があるのではないかと指摘されています。実際、2023年10月7日に起きたハマスによるイスラエルへの攻撃、ハマスとイスラエル軍の衝突に関する偽情報や誤情報がX上で大量に拡散されることとなりました。
X(Twitter)で「パレスチナ・イスラエル戦争」の偽情報が氾濫しまくり、無関係の動画やゲームの映像まで拡散 - GIGAZINE
X上で偽情報や誤情報が拡散されている件については欧州連合(EU)も危惧しており、Xの対応について調査を開始しています。
X(旧Twitter)に対しEUが初のデジタルサービス法に基づく捜査開始、ハマスのイスラエル攻撃に関連した偽情報のホスティングを巡り - GIGAZINE
なお、Xのコミュニティノートに対しては「これまでのところXのコミュニティノートはイスラエルとハマスの紛争に関する誤情報に対処する上で、さまざまな点で不十分である」と指摘する声もあります。
Community Notes and war crimes - Conspirador Norteño
https://conspirator0.substack.com/p/community-notes-and-war-crimes
データサイエンティストのコンスピラドール・ノルテーニョ氏は、X上でイスラエル・ハマスに関する誤情報が大量に投稿されたことで、コミュニティノートを追加するボランティア集団は圧倒されてしまっていると指摘。また、X上で誤情報を拡散しているほとんどがXプレミアム(旧Twitter Blue)ユーザーであるという点については、「誤情報を拡散することで投稿へのアクセス数が増え、広告収益分配機能により多くの収益を得られるようになるためでは」と推測しています。
コミュニティノートの内容と評価履歴はダウンロードして分析することが可能で、ノルテーニョ氏がこれを分析したところ、イスラエルやハマスに関する2023年10月12日までの投稿に付けられた英語のコミュニティーノート4008件のうち、「役に立つ」という評価を獲得したコミュニティノートは、わずか438件(約11%)だったそうです。
これに加えて、XがAPIへのアクセスを高額なペイウォールでブロックしている点も問題になっているとノルテーニョ氏は指摘。APIにアクセスすることができれば紛争関連のキーワードを含む投稿の総数など、有用なデータを簡単に入手することができますが、APIの利用には多額の使用料が必要となるため、データサイエンティストがXの投稿データを分析するのに必要な情報が入手しづらくなっているのが現状です。