Appleはこれまで、独自のクレジットカード「Apple Card」や利回り4.15%という高利回りの普通預金サービスを金融系企業のゴールドマン・サックスとともに提供してきました。しかし、これらの事業における業績が芳しくなく、一部のゴールドマン・サックス社員からは「こんなことはするべきではなかった」との声が上がっています。

Apple Card savings account was a ****ing mistake - Goldman exec

https://9to5mac.com/2023/10/16/apple-card-savings-account-mistake/



Goldman Sachs might be trying to offload Apple's credit card and savings accounts

https://www.engadget.com/goldman-sachs-might-be-trying-to-offload-apples-credit-card-and-savings-accounts-204014759.html

Goldman Sachs is trying to get out of Apple Card and Savings

https://appleinsider.com/articles/23/10/16/goldman-sachs-regrets-apple-card-and-is-trying-to-escape-the-deal

Goldman Sachs exec reportedly regrets Apple savings account

https://nypost.com/2023/10/16/goldman-sachs-exec-reportedly-regrets-apple-savings-account/

Appleはゴールドマン・サックスやマスターカードの協力のもと、2019年にiPhoneと連動させて使用するApple Pay用の独自クレジットカード「Apple Card」を発表しています。Apple Cardを使って買い物をすると、支出の2%がキャッシュバックされるだけでなく、延滞料や年間手数料などが請求されることはありません。

AppleがiPhoneと連動させる独自クレジットカード「Apple Card」を発表 - GIGAZINE



ユーザーにとっては画期的なクレジットカードだったApple Cardですが、ゴールドマン・サックスにとっては収益を悪化させる原因の一つだったと考えられており、これまでに新規Apple Cardユーザー1人につき約350ドル(約5万2000円)の費用がゴールドマン・サックスにかかることや、2022年にはApple Cardによって12億ドル(約1800億円)もの収益を失ったことが報じられています。

Appleはさらに、Apple Cardの利用者に対して年間利回り4.15%という高利回りの普通預金サービスを2023年4月から提供しています。この普通預金サービスは、サービス開始からわずか4日間で9億9000万ドル(約1360億円)もの預金を集めることに成功していますが、「Appleの銀行口座から別の銀行口座に送金する際に数週間を要した」などの苦情の声も寄せられています。

Appleが開始した高利回りの普通預金サービスに「送金するのに数週間かかった」という苦情の声が寄せられる - GIGAZINE



ゴールドマン・サックスは普通預金サービス、ひいてはApple Cardの事業から手を引くことを検討しており、2023年4月の普通預金サービス開始時にはゴールドマン・サックス社内でも賛否が分かれたそう。ゴールドマン・サックスのある幹部は、普通預金サービスについて「私たちはこのようなサービスに参入すべきではありませんでした」と語ったとされています。

海外メディアのウォール・ストリート・ジャーナルによると、ゴールドマン・サックスがApple Card事業への費用を削減できない場合、ゴールドマン・サックスはAppleとのパートナーシップ関係を別の金融系企業に売却する可能性があるとのこと。しかし、普通預金サービスの口座には数十億ドル(数千億円)もの預金を抱えているため、容易には売却できないことが示唆されています。



また、ウォール・ストリート・ジャーナルは、ゴールドマン・サックスがApple Cardや普通預金サービスの売却について同じく金融系企業のアメリカン・エキスプレスと協議を行っていることを報じています。しかし、アメリカン・エキスプレスはApple Card事業を行うことによる損失や、マスターカードネットワーク上で運営されていることなどについて懸念を示しており、事業売却について記事作成時点での進展はありません。