【Awkmiu】が語る。EP「アロー」、17歳の頃、そしてこれから。
人気ゲームを原作にしたTVアニメ『ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜』のエンディングテーマ「アロー」が好評の4人組バンドAwkmiu。話数が進めば進むほど歌詞の内容とライザたちの心情がマッチする同曲は、アニメに寄り添いながら、Awkmiuというバンドの持つスケール感や音楽的な奥行きも表現された。同曲を収録したEP『アロー』や、4人の持つ独特な経歴について、メンバーのシキ(Vocal & Guitar)、Aki(Keyboard)、カヤケンコウ(Bass)、関根米哉(Drums)に聞いた。(後編/全2回)
【前編】【Awkmiu】『ライザのアトリエ』ED曲「アロー」制作秘話と伏線の数々
■人生で観た夕日で一番きれいでした
――「アロー」のミュージックビデオはとても壮大ですね。
シキ(Vo, G):新潟県の佐渡島で撮影しました。偶然なんですけど、エンディングの映像の背景がすごく似ていて。最後にライザが立っているシーンが、MVのシーンともリンクしているので、ぜひ両方観てほしいです。
――佐渡島は行くのも大変ですよね。
シキ:大変だったけど、すごく楽しかったですよ。最後の演奏シーンは空がすごくきれいで、人生で観た夕日で一番きれいでした。
関根米哉(Dr):引き潮の海岸で演奏しているシーンがあるんですけど、楽器を運び入れている時はまだ潮が引いてないから大変で。
シキ:楽器を濡らさないようにみんなで楽器を抱えて、岩から岩に飛び移りながら運んだんです。
Aki(Key):夕日に合わせないといけなくて、本当にギリギリでした。
カヤケンコウ(B):まるでライザたちの冒険みたいだったね。
■EP「アロー」には、多彩な楽曲を収録
――そんな「アロー」を表題曲にしたEP「アロー」がリリースされます。どんな曲が入っているのか、どんな感じの作品か教えてください。
シキ:いろいろな時期の曲が入っていて、「Mr.Crier」や「1089」は前のバンドからの曲で、「Mr.Crier」は古くて3年ぐらい前にできた曲です。そこから米哉さんが入って作ったのが「アロー」や「そこから」で。
関根米哉:ある日、そっと三拍子の曲(「そこから」)を書いたんです。
シキ:ハチロク(6/8拍子)が好きなんですよ(笑)。
Aki:また「1089」は非常にポップな曲なんですが、それこそ上原ひろみさんのとある曲をオマージュして僕がアイデアを出しました。
シキ:間奏でナレーションみたいな部分があったり、裏でモールス信号が鳴っていたりして、それらを紐解くといろいろなものが隠されています。意味というよりも、そういう遊びを入れたくて作りました。前のバンドからの曲ですけど、雰囲気は大分変わりましたね。
――あの♪テッテッテッテレッテというフレーズが、すごく耳に残りました。
シキ:あれいいですよね(笑)。
関根米哉:そこは、今回新たに加わったところです。
――「1089」は何と読むのですか?
シキ:「船舶」です。遠くに島が見えて、そこに向かって航海を続けるストーリーです。「アロー」だけでなく、どの曲からもいろんなストーリーや情景を感じてもらえると思うので、ぜひ聴いていただきたいです。
■独特な経歴を持つ4人。「みんな音楽オタクです」
――ちなみにライザと同じ17歳の頃、皆さんは何に夢中になっていましたか?
シキ:私は、受験勉強と東京事変です(笑)。椎名林檎さんが大好きで、生き様に影響を受けたと言うか。カリスマだし、自分には無い部分がたくさんあると思って。曲ももちろん好きですけど、自分の曲作りへの影響は全く無くて。
――では、曲作りで影響を受けているのは何ですか?
シキ:昔から「レ・ミゼラブル」とかの舞台音楽を聴いていたので、根底にあるのはそれです。初めてJ-POPを聴いたのが15歳の時で、クラス会のカラオケで友達がRADWIMPSさんや米津玄師さんを歌っているのを聴いて、「こんな曲があるのか!」とカルチャーショックを受けました。それから浅く広くいろいろ聴くようになったのですが、その浅く広く受けたJ-POPの影響が、多分いい感じで舞台音楽の部分を中和してくれているのだと思います。
――だいぶ独特ですね。Akiさんは?
Aki:高校のオーケストラ部に所属していて、高3の時に演奏会でセルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾く機会に恵まれたのですが、大曲なので生半可な気持ちではできないと思って高1から演奏会まで、その曲をひたすら練習していました。
――バンドはいつから?
Aki:バンドを始めたのが大学からで、それまでは3歳からクラシックピアノをやっていて。高3でピアノコンチェルトを弾いたことで、自分の中で一つ区切りがついて。大学では新しいことにチャレンジしたいと思いジャズサークルに参加して、その頃はよく上原ひろみさんの曲をよくコピーしていました。
――Akiさんは幼少時代ニューヨークに住んでいたそうですが、J-POPはどういうものを聴いていたのですか?
Aki:ちょっと偏っていて。ニューヨークに住んでいたので日本の文化を入手できるルートが限られていて、両親と姉が聴いている音楽を聴くくらいしかなかったんです。それで姉が好きだった嵐さんと、母親が好きだった沢田研二さんと福山雅治さんが初めて触れたJ-POPです。
――これまた特殊な入り方ですね。関根さんは?
関根米哉:僕は高校でマーチングバンドをやっていて、全国でも1位2位を争うくらいの学校だったので、17歳の夏は大会に向けて休みなく練習していました。僕はフロントピットという、ドラムだけじゃなく木琴やパーカッションなどやるパートだったのですが、その経験が今に生きて、サポートでパーカッションをやらせていただくこともあります。他のドラマーとはちょっとアレンジが違ったり変わったフレーズを叩いたりするのは、そういう経験があるからなのかなって。でも、J-POPは一番普通に昔から聴いていました。好きなドラマーは東京事変の刄田綴色さんなので、そこはシキとも通じるところがあります。
――カヤさんは?
カヤケンコウ:僕は、それこそベースを始めたのが17歳なんです。高校の文化祭で2コ上の先輩がT.Rexの「20th Century Boy」をコピーしていて。イントロがすごく格好良くて、ギターが弾いているんですけど、ベースで弾いているものだと勘違いして、それでベースを始めて今に至っています(笑)。
――でも実際にベースで弾いても、あの格好いいイントロは弾けなかったですよね。
カヤケンコウ:そうなんですよ。家にベースがあったので弾いてみたんですけど、思っていた音が出なくて「あれ?」ってガッカリはしたものの、それはそれでベースも楽しいなと思って。で、大学でAkiさんと同じジャズサークルに入って、T-SQUAREさんとかカシオペアさんとか、古きよき日本の”Jフュー”と呼ばれるジャンルなどをやっていて。Awkmiuでそういうテクニックを使う機会はあまり無いのですが、それをJ-POPにどう落とし込むか考えるのも楽しくて。
関根米哉:でも「アロー」のCメロは、フュージョンを感じるよね。
カヤケンコウ:我慢できなくて、「もうやっちゃっていいよね!」という感じでガッツリ弾きまくっています。
関根米哉:みんな音楽オタクなんです(笑)。
――皆さんすごいバラバラで、どういう出会いで結成したのですか?
シキ:自分とカヤが大学の同期で、カヤのジャズサークルの3コ上の先輩がAkiさんです。もともとカヤとバンドをやっていて。米哉さんは自分たちの、レコーディングエンジニアをやってくれていて。そういうつながりで、このメンバーになったのが一昨年の10月くらいですね。
関根米哉:俺が入って数カ月後くらいに作ったのが「アロー」です。
――きっと何か引き寄せ合うものがあったんでしょうね。
シキ:何やかんやで”錬成”されました(笑)。
■「サボらない、妥協しない、軸足真ん中!」がスローガン
――では最後にAwkmiuとしての、目標とか今後についてのビジョンを教えてください。
シキ:王道のJ-POPをやっている自覚があるし、やっていく意思があるので、バンドとしてなるべく多くの人に届いてほしいし、知ってほしいです。曲を作る時にいつも言っているのは、「他の誰かにできることはやらない」ということで、それは大事にしています。軸足は真ん中で、自分たちにしかできない、自分たちが最高だと思えるものを、自信を持って発信して行き切りたいですね。
関根米哉:真ん中に軸足を置くからこそ、俺らを通して聴いてくれる人をいろんな世界に連れて行けるし。
Aki:音楽的に遊べる余地があるというね。
シキ:ここさえ押さえておけば自分たちっぽさは消えないよねというラインが、おぼろげながら少し見えて来ているので、それをブラッシュアップして強くしていけば、できることも増えて行くと思うし。
――これからってことですか?
シキ:まだまだ全然これからですよ。だから「サボらない、妥協しない、軸足真ん中!」って自分たちに喝を入れて。
カヤケンコウ:それをスローガンに掲げてね。
――ちなみにリーダーとか決めているのですか?
シキ:別に決めてないですけど、各自役割分担があるので。ただ作詞作曲が私なもので、私の考えにみんなを付き合わせてしまうことが多いですけど。
関根米哉:そこがライザとシンクロするよね(笑)。
■人生で観た夕日で一番きれいでした
――「アロー」のミュージックビデオはとても壮大ですね。
シキ(Vo, G):新潟県の佐渡島で撮影しました。偶然なんですけど、エンディングの映像の背景がすごく似ていて。最後にライザが立っているシーンが、MVのシーンともリンクしているので、ぜひ両方観てほしいです。
――佐渡島は行くのも大変ですよね。
シキ:大変だったけど、すごく楽しかったですよ。最後の演奏シーンは空がすごくきれいで、人生で観た夕日で一番きれいでした。
関根米哉(Dr):引き潮の海岸で演奏しているシーンがあるんですけど、楽器を運び入れている時はまだ潮が引いてないから大変で。
シキ:楽器を濡らさないようにみんなで楽器を抱えて、岩から岩に飛び移りながら運んだんです。
Aki(Key):夕日に合わせないといけなくて、本当にギリギリでした。
カヤケンコウ(B):まるでライザたちの冒険みたいだったね。
■EP「アロー」には、多彩な楽曲を収録
――そんな「アロー」を表題曲にしたEP「アロー」がリリースされます。どんな曲が入っているのか、どんな感じの作品か教えてください。
シキ:いろいろな時期の曲が入っていて、「Mr.Crier」や「1089」は前のバンドからの曲で、「Mr.Crier」は古くて3年ぐらい前にできた曲です。そこから米哉さんが入って作ったのが「アロー」や「そこから」で。
関根米哉:ある日、そっと三拍子の曲(「そこから」)を書いたんです。
シキ:ハチロク(6/8拍子)が好きなんですよ(笑)。
Aki:また「1089」は非常にポップな曲なんですが、それこそ上原ひろみさんのとある曲をオマージュして僕がアイデアを出しました。
シキ:間奏でナレーションみたいな部分があったり、裏でモールス信号が鳴っていたりして、それらを紐解くといろいろなものが隠されています。意味というよりも、そういう遊びを入れたくて作りました。前のバンドからの曲ですけど、雰囲気は大分変わりましたね。
――あの♪テッテッテッテレッテというフレーズが、すごく耳に残りました。
シキ:あれいいですよね(笑)。
関根米哉:そこは、今回新たに加わったところです。
――「1089」は何と読むのですか?
シキ:「船舶」です。遠くに島が見えて、そこに向かって航海を続けるストーリーです。「アロー」だけでなく、どの曲からもいろんなストーリーや情景を感じてもらえると思うので、ぜひ聴いていただきたいです。
■独特な経歴を持つ4人。「みんな音楽オタクです」
――ちなみにライザと同じ17歳の頃、皆さんは何に夢中になっていましたか?
シキ:私は、受験勉強と東京事変です(笑)。椎名林檎さんが大好きで、生き様に影響を受けたと言うか。カリスマだし、自分には無い部分がたくさんあると思って。曲ももちろん好きですけど、自分の曲作りへの影響は全く無くて。
――では、曲作りで影響を受けているのは何ですか?
シキ:昔から「レ・ミゼラブル」とかの舞台音楽を聴いていたので、根底にあるのはそれです。初めてJ-POPを聴いたのが15歳の時で、クラス会のカラオケで友達がRADWIMPSさんや米津玄師さんを歌っているのを聴いて、「こんな曲があるのか!」とカルチャーショックを受けました。それから浅く広くいろいろ聴くようになったのですが、その浅く広く受けたJ-POPの影響が、多分いい感じで舞台音楽の部分を中和してくれているのだと思います。
――だいぶ独特ですね。Akiさんは?
Aki:高校のオーケストラ部に所属していて、高3の時に演奏会でセルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を弾く機会に恵まれたのですが、大曲なので生半可な気持ちではできないと思って高1から演奏会まで、その曲をひたすら練習していました。
――バンドはいつから?
Aki:バンドを始めたのが大学からで、それまでは3歳からクラシックピアノをやっていて。高3でピアノコンチェルトを弾いたことで、自分の中で一つ区切りがついて。大学では新しいことにチャレンジしたいと思いジャズサークルに参加して、その頃はよく上原ひろみさんの曲をよくコピーしていました。
――Akiさんは幼少時代ニューヨークに住んでいたそうですが、J-POPはどういうものを聴いていたのですか?
Aki:ちょっと偏っていて。ニューヨークに住んでいたので日本の文化を入手できるルートが限られていて、両親と姉が聴いている音楽を聴くくらいしかなかったんです。それで姉が好きだった嵐さんと、母親が好きだった沢田研二さんと福山雅治さんが初めて触れたJ-POPです。
――これまた特殊な入り方ですね。関根さんは?
関根米哉:僕は高校でマーチングバンドをやっていて、全国でも1位2位を争うくらいの学校だったので、17歳の夏は大会に向けて休みなく練習していました。僕はフロントピットという、ドラムだけじゃなく木琴やパーカッションなどやるパートだったのですが、その経験が今に生きて、サポートでパーカッションをやらせていただくこともあります。他のドラマーとはちょっとアレンジが違ったり変わったフレーズを叩いたりするのは、そういう経験があるからなのかなって。でも、J-POPは一番普通に昔から聴いていました。好きなドラマーは東京事変の刄田綴色さんなので、そこはシキとも通じるところがあります。
――カヤさんは?
カヤケンコウ:僕は、それこそベースを始めたのが17歳なんです。高校の文化祭で2コ上の先輩がT.Rexの「20th Century Boy」をコピーしていて。イントロがすごく格好良くて、ギターが弾いているんですけど、ベースで弾いているものだと勘違いして、それでベースを始めて今に至っています(笑)。
――でも実際にベースで弾いても、あの格好いいイントロは弾けなかったですよね。
カヤケンコウ:そうなんですよ。家にベースがあったので弾いてみたんですけど、思っていた音が出なくて「あれ?」ってガッカリはしたものの、それはそれでベースも楽しいなと思って。で、大学でAkiさんと同じジャズサークルに入って、T-SQUAREさんとかカシオペアさんとか、古きよき日本の”Jフュー”と呼ばれるジャンルなどをやっていて。Awkmiuでそういうテクニックを使う機会はあまり無いのですが、それをJ-POPにどう落とし込むか考えるのも楽しくて。
関根米哉:でも「アロー」のCメロは、フュージョンを感じるよね。
カヤケンコウ:我慢できなくて、「もうやっちゃっていいよね!」という感じでガッツリ弾きまくっています。
関根米哉:みんな音楽オタクなんです(笑)。
――皆さんすごいバラバラで、どういう出会いで結成したのですか?
シキ:自分とカヤが大学の同期で、カヤのジャズサークルの3コ上の先輩がAkiさんです。もともとカヤとバンドをやっていて。米哉さんは自分たちの、レコーディングエンジニアをやってくれていて。そういうつながりで、このメンバーになったのが一昨年の10月くらいですね。
関根米哉:俺が入って数カ月後くらいに作ったのが「アロー」です。
――きっと何か引き寄せ合うものがあったんでしょうね。
シキ:何やかんやで”錬成”されました(笑)。
■「サボらない、妥協しない、軸足真ん中!」がスローガン
――では最後にAwkmiuとしての、目標とか今後についてのビジョンを教えてください。
シキ:王道のJ-POPをやっている自覚があるし、やっていく意思があるので、バンドとしてなるべく多くの人に届いてほしいし、知ってほしいです。曲を作る時にいつも言っているのは、「他の誰かにできることはやらない」ということで、それは大事にしています。軸足は真ん中で、自分たちにしかできない、自分たちが最高だと思えるものを、自信を持って発信して行き切りたいですね。
関根米哉:真ん中に軸足を置くからこそ、俺らを通して聴いてくれる人をいろんな世界に連れて行けるし。
Aki:音楽的に遊べる余地があるというね。
シキ:ここさえ押さえておけば自分たちっぽさは消えないよねというラインが、おぼろげながら少し見えて来ているので、それをブラッシュアップして強くしていけば、できることも増えて行くと思うし。
――これからってことですか?
シキ:まだまだ全然これからですよ。だから「サボらない、妥協しない、軸足真ん中!」って自分たちに喝を入れて。
カヤケンコウ:それをスローガンに掲げてね。
――ちなみにリーダーとか決めているのですか?
シキ:別に決めてないですけど、各自役割分担があるので。ただ作詞作曲が私なもので、私の考えにみんなを付き合わせてしまうことが多いですけど。
関根米哉:そこがライザとシンクロするよね(笑)。