テレビ・新聞が一斉報道した「自転車の違反に青切符」…違反者の特定は現状不可。ならどうする?
自転車の違反の取り締まりは、昔は多くて年間200件程度。たった10件だった年もある。ところが、2005年あたりから急にどどっと増え、2008年に1000件を突破した。
ご存知のとおり、クルマ・バイクの違反と違って自転車の違反は、青切符ではなく赤切符、反則金ではなく罰金の扱いになる。それじゃ不公平だし手間もかかるんで、自転車の違反はほぼすべて不起訴になる。現場の警察官からすれば、頑張って取り締まってもどうせ不起訴、馬鹿馬鹿しい。けど別に問題にならなかった。取り締まりがめっちゃ少なかったからだ。
ところが警察庁は、自転車違反の取り締まりを激増させた。問題をわざわざ顕在化させようとした。ははあ、自転車の違反を赤切符&罰金の扱いから外す、そっちへ動くつもりなんだなと、2008年のデータを2009年に見てから、私はずっと言い続けてきた。
その後、自転車違反の取り締まりはぐんぐん増え、2019年には2万件を突破! 2023年、酷暑の夏にようやく「自転車に反則金!」と一斉報道があったんである。感慨深いでしょ。
さて、お気づきだろうか、私は「こういう方向へ動く」「そっちへ動く」という言い方をした。自転車に青切符&反則金の制度が適用されるとは、どうも私は思えない。理由は大きく2つある。
1、違反者の特定をどうする
クルマ・バイクに対する取り締まりでは、運転者の特定を免許証で行う。不携帯なら、氏名・住所・生年月日を言わせ、運転免許センターに照会をかける。ヒットがなければ無免許運転で検挙だ。
一方、自転車は免許不要だ。写真付きの身分証明書を持たない人もいる。兄弟や友人の氏名を言う者もいるだろう。違反者がどこの誰か、しっかり特定できなければ青切符を切れない。
2、反則金不納付は刑事手続きに
反則金を払えばオシマイだが、払わなければ刑事手続きの扱い、つまり赤切符と同じ扱いになる。たとえば不納付の高校生は、少年法により家庭裁判所へ送致される。非常に面倒だ。警察、検察、成人の裁判所、少年の家庭裁判所の負担は大きい。耐えられるのか。
というわけで、自転車の違反を青切符&反則金で処理するのは、良策とは言い難い、私はそう考える。警察庁は8月中に「有識者の検討会」を設け、年内に「提言」を取りまとめるという。有識者たちは、警察庁が用意した資料に導かれ、きっとこう提言するだろう。
