白井寛之さん(遺族提供)

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(台北中央社)東部・花蓮県内で発生した落石事故で日本人男性が死亡したことを巡り、道路のメンテナンスを行う交通部(交通省)公路総局が十分な責任を果たしていなかったとして男性の遺族が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高法院(裁判所)は25日、上告を棄却する決定をした。国に468万台湾元(約2130万円)の支払いを命じた二審判決が確定した。

2017年9月9日、自転車ロードレースに参加するために訪台していた白井寛之さんが花蓮県の景勝地、太魯閣(タロコ)国家公園を自転車で走行中、落石にぶつかり、12日夜に搬送先の病院で死亡した。

一審宜蘭地裁判決では、石が事故発生区間の斜面ではなく、100メートルほどの上の場所から落ちてきたために防ぎようがなかったことや、公路総局が付近に「落石に注意」の標識を設置していたことなどを理由に、責任は十分に果たされていたとして遺族の訴えを退けた。

だが二審の台湾高裁は、事故が発生した区間に落石の高いリスクがあるのは明白だったと指摘。落石の危険性を知りながら具体的な防止策が講じられておらず、死亡事故との間には因果関係があるとして、国に損害賠償を命じていた。

(謝幸恩/編集:名切千絵)