大谷翔平“世界一のスイーパー”が狙われだした! 人気のNHK“やさぐれ解説”武田一浩氏が見た“危険な兆候”
5月10日、アストロズ戦で2点本塁打を打たれた大谷翔平。このときも抜けたスライダーが甘く入り、合わせられた。配球の進化に期待だ
「NHKの解説というと、当たり障りのないことを言うイメージがあったんです。でも、それだとおもしろくないので『ハッキリ言ってやろう』と覚悟を決めて始めたのが2003年。21年めの今年、解説した試合は1128になりました」
と笑顔で話すのは、NHK BS1のMLB解説でお馴染み、武田一浩氏(57)だ。
武田氏は日本ハム、ダイエー、中日、巨人と4球団を渡り歩き、投手として15年間、活躍。明治大学時代からMLBの熱狂的ファンだったこともあり、現在は解説者として活躍している。
NHKのアナウンサーを相手に、藤浪晋太郎について「自信をなくしてしまう」、大谷翔平にも「ノーヒットで調子悪いわけない」と、武田氏の語りはいっさい忖度なし。ぶっきらぼうに話すさまは“やさぐれ解説”といわれ、ファンの間で話題を呼んでいる。
「僕の解説に賛否両論あることは承知しています。でも、テレビの解説は反論が出てくるくらいのほうがいい、というのが僕の考え。局の方に『もう少し優しく言ってください』と怒られたこともありますよ。まあ、最近は僕もおとなしくなりましたが……」
解説のモットーは「投手については元プロとして詳しく。打者としてはアマなので投手目線から」だ。
「解説者になってから、落合博満さんに『投手出身だから打者のことは話せないだろう』と言われたことも大きいです」
では、“プロ”として今季の大谷をどう見ているのか。
「投手としては、少し疲れが見えることと、スライダーとスイーパーを狙われていることが気になります。自信があるので多用しているのでしょうが、投げる際に“抜け”てしまうと、遠くに飛ばされる危険性が高く、そこを狙われています。160km/hを超すストレートを持っているわけですから、速球を増やして配球を工夫すれば問題ありません」
では打者・大谷はどうか。
「もし僕が対戦するなら、インコースの胸元に速球を使って意識させ、最後は外に落とすという配球をしますね。というのも、5月19日(現地時間、以下同)まで大谷は10本塁打ですが、そのうち9本は変化球。逆に、速球に対して振り遅れが目立っているんです。原因不明ですが、試合を重ねて慣れていけば十分、対応できるはずです。僕は投手で15勝以上、打者で30本塁打以上、打率も3割は可能だと思います。サイ・ヤング賞とMVPのダブル受賞は、十分に狙えますよ」
大谷は、今オフにFA権を取得する。ワールドシリーズ優勝を目指す大谷にとって、チームがポストシーズンに進出することが残留の最低条件。だが、フィル・ネビン監督の采配では心もとない。
「米国って、采配が下手な監督が多いんですよ。エンゼルスもバントで送っていたら勝てた試合が、すでに何試合もある。MLBは、ポストシーズン進出に向けギリギリの争いが起きる9月になるまで、“1点を取る野球”をやりません。チャンスで打ってこそ米国式の野球です。文化だから仕方がないですね(笑)」
エンゼルスは、ア・リーグ西地区で現在3位。このままだと、チームは大谷をトレードに出すしかないという。
「プレーオフ進出がダメなら、出すしかないでしょう。僕はメッツに行ってほしい。バーランダーにシャーザーと、メジャーを代表する大投手に加え、千賀滉大(こうだい)もいる。打線もいいし、優勝が狙えますから」
大谷とは対照的に、メジャーの壁にぶち当たっている藤浪には“武田節”が炸裂。
「右打者の頭部すれすれにボールが行ってしまいますが、これは右投げの投手としては厳しい。テークバックの際、肘が上がらず腕が遅れて出てくる。しかも、頭を突っ込むからコントロールできない。もし僕が預かるなら、立ち姿も含めて、フォームを大胆に変えますね。このままじゃ本当に厳しいです」
忖度なしの武田氏がここまで断言するのだから、今季の大谷は安泰だ。
写真・木村哲夫、日刊スポーツ/アフロ