日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’23』(毎週日曜24:55〜)では、侵攻で国を追われたウクライナとロシアの人々を取材した『国を追われた人たち〜ウクライナ侵攻から1年〜』(中京テレビ制作)を、きょう30日に放送する。

少数民族が置かれる現状を憂うブリヤート人男性

昨年3月に、名古屋に住む親族を頼って、ウクライナのジトーミルから避難してきた家族がいる。ウクライナで小学校の先生を務めるオレナさん(37)と息子のティムールくん(5)、オレナさんの母親・スビトラーナさん(61)の3人だ。ティムールくんは日本の保育園に通い、オレナさんもドンキでバイトを始めるなど、少しずつ避難生活に慣れてきたが、常に心配なのが、現地に残してきたオレナさんの夫と父親のこと。ウクライナ政府によって国を出ることが許されていない男性たちと、子供の安全のために国外に避難せざるを得なくなった女性たち。離れ離れになった家族の姿を追う。

一方、「母国がこんな状況になる前に、選挙に行くなど自分にできることがあったかもしれない。でも、今は遅い」と語るロシアのイゴーリさん(34)は、強制的な徴兵を恐れ、年明け早々の1月7日、ロシアの国境を越えてモンゴルに逃げてきた。ロシア国内の少数民族の1つ、ブリヤート族(モンゴル系)であるイゴーリさん。実は、ロシア側の戦死者で数が目立つようになっているとされるのが、こういった一部の少数民族の人たちで、動員で差別的に激戦地に送られることが多いと言われている。イゴーリさんは、二度と戻らない覚悟で国外脱出した。妻と2人の子供も、2月中に出国してくる予定だ。言葉も分からず、知り合いもいないモンゴルで、彼らはどうやって生きていくのか。

モンゴルでの取材中、ウクライナ前線で戦っていたブリヤート人の元契約兵士(27)にも接触。先月、韓国に逃げた元兵士は「敵(ウクライナ人)に向かって、弾倉が空っぽになるまで撃ったことも」と話す。

男たちは、どうして戦地に向かい、またどうして戦地から逃げ、国まで捨てているのか。加害国側の人たちの知られざる思いや現状を、川栄李奈のナレーションで伝える。