増税や金利上昇の気配のある今、お金の不安は増すばかり…。でも、対策を知ればむやみに心配する必要はなくなります。そこで、ファイナンシャルプランナーのいちのせかつみさんに伺いました。

パート収入の壁って?損しない働き方は?

「パート収入の壁」とは、一定の収入を超えるとかかる税金や社会保険料などが、パートの働き方に影響を与える節目の金額のこと。

影響が大きいのは「106万円」「130万円」の壁で、106万円を超え、5つの条件に当てはまると(下のパターン2参照)、夫の扶養から外れて社会保険料の支払いが発生。

年収が130万円を超えると無条件で社会保険料を支払うことに。

「金額は、年収106万円の場合で、約18万円。社会保険に加入すれば有給休暇取得や将来の年金アップなどのメリットがありますが、手取りは約88万円に激減します。105万円なら丸々受け取れるわけですから損ですよね。壁を大きく超えて、できれば200万円くらいになるように働いて手取りも年金も増やすのがもっともおトクですが、それが難しければ、手取りを優先して106万円・130万円の壁を超えない働き方を選ぶのが得策でしょう」

●社会保険料が変わる3つの働き方

3パターンの働き方を紹介します。自分にとってどのパターンがいちばんいいのか、あてはめてみましょう。

<パターン1「年収106万円未満」>

・社会保険料の負担:なし
・65歳からの年金:国民年金

社会保険への加入は必要ないが、妻の年収が103万円を超えると課税され、夫の給料から家族手当などが出なくなることが多いので注意。夫の勤務先の規定を確認しましょう。

<パターン2「年収106万円以上+5つの条件を満たした場合」>

・社会保険料の負担:あり
・65歳からの年金:国民年金+厚生年金

条件は、(1)学生ではない、(2)勤務先は正社員が101名以上、(3)雇用見込み期間2か月以上、(4)月収8万8000円以上、(5)週20時間以上勤務、すべてを満たしていること。

<パターン3「年収130万円以上」>

社会保険料の負担:あり
65歳からの年金:国民年金+厚生年金

年収150万円なら、社会保険料を月1万1600円(年13万9200円)払うことに。その場合、20年間社会保険に加入すると年金額は月1万2900円(年15万4800円)増加します(厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」より)。

●「150万円の壁」を超えるとどうなるの?

パートの働き方でもう1つ注意したいのが、夫の手取り収入への影響です。妻の収入が150万円までなら、夫は配偶者控除や配偶者特別控除が38万円受けられて、その分税金が軽減されます。でも、150万円を超えると、夫の控除額が徐々に減額され、201万円を超えると控除はゼロに。いわゆる「150万円」「201万円」の壁です。

「ただ、満額38万円の控除を受けても、所得税は1万9000円安くなる程度(税率5%の場合)。妻の収入から引かれる税金や社会保険料、夫の会社で支給される扶養手当なども含め、総合的に判断しましょう」