落ち葉でお酒をつくったら「天然のキャラメルスピリッツ」になった?意外な美味しさの秘密とは

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写真:日本草木研究所

世の中にはありとあらゆる種類のお酒があるが、『落ち葉のお酒』と聞いてどんなものか想像がつくだろうか。

調香師の古谷知華(@tomokafuruya)さんが、落ち葉を使ったお酒を試作した様子をTwitterに投稿し、注目されている。

落葉広葉樹の「かつら」の落ち葉を活用したお酒。かつらの葉に含まれる砂糖のような香りの成分によって、さながら「天然のキャラメルスピリッツ」のような味わいらしい。

ウィスキーのような琥珀色

こちらのお酒は、日本の里山に眠る未活用の可食植物をおいしく活用する研究ブランド・日本草木研究所(@nihonkusaki)による取り組みで生まれたもの。

かつらの落ち葉からは甘い香りがすることは有名なようで、古谷さんのツイートに対して「里山を歩いてる途中、クッキーを焼いたような甘い香りがしていた。植物を良く知る友人が桂の落ち葉だと教えてくれた」といったコメントも寄せられている。

ユニークなお酒が誕生した背景について、古谷さんに詳しくうかがった。

森を散策中にキャラメルのような香りに包まれた

なぜ「落ち葉」をお酒にしようと思ったのですか?

2021年10月、青森の十和田湖周辺の森を散策しているときに、辺りからキャラメルポップコーンのような香りがしました。

同行した植物研究者の方が、「この落ち葉が香りの理由だよ」といって、かつらの葉を拾いました。鼻に近づけてみると、濃厚なキャラメルの匂いでびっくり。

後から調べると、この葉っぱには「マルトール」という、焦がした砂糖がもつ芳香成分が含まれていたのです。

「こんなに良い香りの落ち葉が、誰にも知られず、使われず、ただ森に落ちてるだけなのはもったいない!!」

と思い、去年かつらの落ち葉を使って商品を作ることを考えました。

お酒にしたのは、その香りの良さはもちろん「カルーアミルクならぬカツーラミルク」という名前で販売したいとピンと来てしまったためです(笑)。

ほかにも「かつら」を選んでよかった点はありますか

かつらは比較的日本のどこにでも生えている落葉広葉樹なので、継続的に入手することができると思いました。

また落ち葉を利用する、というサステナブルな点もいいなと思いました。

試作品が完成するまでにどのくらいの時間を費やしましたか?

実は、すぐできました。

日本の草木を食材として用いる場合、よくある難関ポイントが「アクやヤニの処理」です。香り自体はいいけれど、口に含んでみたらヤニ感がすごく、なかなか飲んだり食べたりしづらい素材が多いので。

しかし、かつらはヤニもアクもまったくなくて、お酒にしてみたら甘い香りだけをシンプルに抽出することができました。

かつらの葉っぱをお酒に漬け込み蒸留によって蒸留酒を作り、さらに最後に落ち葉をインフューズド※しているのですが、1回目の試作で予想通りの味になって感動しました。

※香りをしみこませること

落ち葉の下処理はどのようにされているのでしょうか。

かつらの葉っぱを洗浄し、そのまま生葉をお酒に漬け込みます。シンプルです。

おススメしているミルク割りは、どんな味わいなのでしょうか。

かつらの落ち葉のお酒が、紅茶+キャラメルのような味なんです。なので、それをミルクで割ったらやばいの…なんとなく想像つくでしょうか?

語感の良さからカツーラミルクと呼んでいて、カルーアミルクを想起するかもしれないのですが、味はどちらかというとティフィンに近い。

まろやかで香ばしく甘い至高の味です。まさかこれが落ち葉から…!?と100人中100人が驚く美味しさだと思っています。

今回の「かつら×お酒」のように、これまでに感動した掛け合わせがあれば教えてください。

「杉の新芽×塩漬け」や「杉の新芽×アイスクリーム」は感動しました。

日本で杉は無数に生えていて、いちばん獲得しやすい植物ですよね。そんな杉に4・5月だけ生える新芽は絶品の美味しさなのです。

来春は、この杉の新芽を使ってチョコレートなどのお菓子も作ろうと思っています。

杉の新芽のピクルス。パクパクと永遠に食べ続けられてしまうという

味が気になる「落ち葉のお酒」は2022年11月15日に発売された。詳細など気になった方は、日本草木研究所のオンラインストアをチェックしてみては。

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