立体に見える路面の“謎の模様”、最近増えている?

車で道路を走っていると、黄色・青・白の3色が使われている三角形もしくは正方形を組み合わせた“謎の模様”が路面に描かれているのを見たことはありませんか。

路面に描かれている謎の模様は「立体標示」と呼ばれる、通称“イメージハンプ”とも表されるもの。

イメージハンプは、道路に白線を引いているのではなくシート状になっています。作業も貼り付けるだけと簡単で、基礎工事も不要、手短に道路へ標示ができるのが強みとなっています。

主に、住宅地の圏内や幼稚園・小学校の周辺にある「生活道路」に設置されます。

速度制限や通行帯の線など、道路には交通ルールを示す標識が描かれているのを目にする機会が多いですが、こういった立体的にも見える標示を見かけるようになったのは、つい最近にも感じます。

イメージハンプは車の運転にどう影響を与え、一体何の役割があるのでしょうか?

イメージハンプにはどんな効果がある?

イメージハンプの設置例(提供:浜松市土木部道路企画課)

イメージハンプは車線通行帯の両端もしくは中央に設置されます。

ドライバーはイメージハンプを視覚に捉えると、ハッとしてアクセルペダルから足を離すなどの行動を起こすのだそう。これにより、狭く、往来の多い生活道路などで、むやみに車のスピードを上げさせないようにする効果があるといいます。

視覚効果は急ブレーキ・急ハンドルを引き起こさない程度に抑えられており、事故が発生しないよう工夫されているのだそうです。

「交通事故ワースト脱出作戦」の救世主!

今回、実際にイメージハンプの設置に取り組んでいる自治体、静岡県浜松市から話を伺うことができました。

浜松市は全国各地に存在する“政令指定都市”の中で、「人身交通事故」の件数が人口10万人当たりでワースト1。その件数を減らすべく、「交通事故ワースト1脱出作戦」の取り組みを行っているそうです。

その取り組みのひとつとして、2022年7月に浜松市中区にある、国道152号と“柳通り”が交差する「中沢町交差点」にて、イメージハンプの設置を行いました。

中沢町交差点は交通量が多いため渋滞が発生する頻度が多く、かつ北西側はカーブを伴った傾斜のある道路となっていることから追突事故などが起こりやすくなっているそうです。

今回は、その北西側のカーブを伴った傾斜路面に、青・黄色・白の3色が連なった横線形状のイメージハンプを設置しました。

イメージハンプの設置例(提供:浜松市土木部道路企画課)

実際に設置を済ませたあとの状況はどうなっているのでしょうか。中沢町交差点にイメージハンプを設置した件について、浜松市土木部道路企画課の担当者に尋ねたところ、次のような回答がありました。

「地元警察署にて集計している情報によると、イメージハンプ設置前の事故件数は年間で7件から12件で推移していましたが、本年7月のイメージハンプ設置以降、現在までの人身事故は0件で推移しています。

ただ、中沢町交差点については、イメージハンプを設置したのが間もないため、効果を判断するのはまだ時間を要すると考えています。

しかし、市内では以前から他の場所でもイメージハンプの設置に取り組んでおり、今後も取り組みを継続していけたらと考えています。」

他の標識と組み合わせることでさらなる効果も期待

©Hassyoudo/stock.adobe.com

また、国土交通省(国交省)が提示している「生活道路対策事例」を見てみると、いくつか興味深い事例が紹介されています。

そのひとつが、小学校周辺に設置されている30km/h速度制限の生活道路で、イメージハンプや路肩のカラー舗装、「ゾーン30」と呼ばれる標識を設置した事例です。

その事例では、測定場所にて速度超過を行っている割合が5%から6%低下、平均の走行スピードが1km/hから2km/h程度下がったとの調査結果が示されています。

浜松市でのケースや国交省が紹介している事例を見る限り、イメージハンプは単体で使うのではなく、複数の標識と組み合わせて使うのが前提であると感じます。

ひとつの標識だけでは抜群の効果を発揮しませんが、複数の標識が組み合わされば走行スピードの引き下げ効果が高まると見てよいかもしれません。

“完全自動運転”の車が実用化されるのはまだ当面先となりそうな時代。地道な取り組みかつ即効性が期待できるわけではないものの、国や自治体の手でイメージハンプをはじめとした標識の設置に力を入れ、少しでも安全に繋がるよう取り組むべきです。