リスクを避けたい女子にこそ知ってほしい、投資の大原則をご紹介します(写真:sasaki106/PIXTA)

「お金は貯めたいけど、ケチケチしたつらい生活なんてイヤ!」「ゆる〜く楽しく暮らしたい!」「お金は稼ぎたいけど、ガツガツ頑張るのはちょっと違う……」「仕事もプライベートも充実させたい!」「素敵な人と出会いたいし、おしゃれも遊びもがまんできない!」

恋に、仕事に、遊びに、家事に、子育てに忙しい女子たちの欲望は、限りがないものです。

せっかく女の子に生まれたのですから、何ひとつあきらめることなく、すべてを手に入れて思うがままに生きていきたいですよね。ファイナンシャルプランナー町田萌氏の新刊『よくばりに気分よく生きたい私たちに都合のいい お金の教科書』では、女子のワガママをかなえるお金のSTEPを84個紹介。本稿では、同書の抜粋を3回にわたってお届けします(今回は3回目、1回目はこちら、2回目はこちら)。

◎「リスクを取らないことのリスク」を知ろう

「リスクがあるから投資はこわい!」「やっぱり元本保証の銀行預金がイチバン」。私はそんな人をたくさん見てきました。

しかし、預貯金だけしか持っていないという状況も、実はリスクが伴うことなのです。なぜなら、お金の価値というのは常に一定に保たれているわけではないからです。

500円で3本しか買えない

たとえば、自動販売機のジュースを考えてみてください。私の記憶が正しければ、昔は1本100円で買うことができました。ところが、今は1本120〜150円かかるようになりました。つまり、昔は500円で5本のジュースを買うことができたのに、今は500円で3本しか買うことができないわけです。500円という金額は同じでも、物価が上がると実質的に現金としての価値が下がってしまうのです。

このように物価が上昇することを「インフレ」、逆に物価が下落することを「デフレ」といいます。

2022年現在、日本の社会保険料や税金、物価などは上昇しているのに対し、平均給与はむしろ下落しています。つまり、実質的にお金の価値がどんどん下がってきている状況です。

そのなかで「将来のために」と預貯金の備えをしても、期待していたほど価値のある資産として残せなくなってしまう恐れがあります。現金や預貯金は、インフレに極めて弱い資産なのです。

逆に、インフレに強い資産の代表例が株式です。したがって、理論上は資産の一部を株式にしておくことでインフレに対応しやすくなるといえます。株式などの金融商品を購入するのに「リスクがあるから」と恐れ、踏み出せない人も少なくないと思いますが、実は日本円で預貯金しか持っていないこともリスクなのです。

◎自分の「リスク許容度」をチェック!

金融商品によってリスクの度合いはさまざまです。長期的に見て利益が出ればよいわけですが、人間には感情があるもの。突然の暴落にショックを受けてしまうことが少なくありません。恐怖を感じてすべて売却してしまえば、大きく資産が減ってしまうだけでなく、精神的にダメージを受けてしまうことも。

そこで、リスクにどれだけ耐えることができるのか、1つの指標となるものが「リスク許容度」です。金融商品に投資をする前に、自分のリスク許容度がどれくらいあるのかを知っておくことが大切です。

リスクの要素で大きいのは年齢

リスク許容度を測る要素にはさまざまな要素があり、特に大きな要素は、「年齢」です。20代、30代のような若い世代であれば、仮に手痛い損失を被ってしまったとしてもリカバリーする時間が十分にあります。

しかし、仮に60代、70代で大きな損失を被ってしまった場合、その損失を取り戻す手段が若い世代と比較して限られてしまいます。若い世代から運用を始めることは大きなアドバンテージになります。

そのほかの要素としては、ご自身や家族の「収入」や「資産」があります。どちらも多いほど損失に耐えられますが、一方で日常の「生活費」が高い場合はその分リスクが取りにくくなります。同じように家族が多く「養う人」が多い人だとリスク許容度が低くなってしまうのです。また、自分の「性格」や「投資経験」によってもリスク許容度が変わってきます。


◎「分散投資」でキケン回避!

リスク許容度が高くても低くても、損失を最小限に抑えて堅実に投資をしていきたいのが女子というもの。ここではそんな女子にぴったりな「分散投資」という考え方を学んでいきましょう。

投資家の間でとても有名な格言が、「卵を1つの籠に盛るな」です。1つの籠にたくさんの卵を盛った状態で、もしもその籠が落ちた場合、籠に入ったたくさんの卵が割れてしまいますね。

しかし、複数の籠に卵を分けて入れている状態だとどうでしょうか。仮に1つの籠が落ちてしまったとしても、ほかの籠に入った卵は無事です。この格言では、金融商品を卵にたとえています。金融商品を同じ籠に盛らない、つまりいくつかの籠に分けて持っておくことが大切です。

金融資産の上手な分け方

それでは、金融商品の場合は何をどのように分散すればよいのでしょうか。結論を言えば、理論的には次の3つを分散するのが鉄則です。

1.資産の種類(預貯金、株式、債券などの金融商品)
2.地域(日本国内、海外の先進国、新興国など)
3.通貨(円、米ドル、豪ドル、ユーロなど)

ほかにも、投資する「時間」を分散させることも非常に重要です。定期的に同額の金融商品を購入する「ドルコスト平均法」という投資方法を行うと、株式など値動きのある金融商品を高値づかみしてしまう危険性を回避することができます。

具体的には、たとえば「毎月1万円ずつ投資信託を購入する」と決めて購入し、金融資産を積み立てていきます。すると価格が高いときは少量、価格が安いときは多量の投資信託を購入することになります。平均していくと、購入コストを抑えることができます。

自分であらゆる資産、地域、通貨を分散購入し、時間まで分散させるのは大変です。運用コストがかかりますが、少額から分散投資ができる「投資信託」の購入は一手です。毎月定額を自動購入できる投資信託や株式もありますので、資産運用に手間がかけられない人には利用価値があるでしょう。

リスクを回避しながら、面倒な時間をかけずに賢く資産を形成していきましょう。

投資信託は初心者も始めやすい

かつて株式や債券は一口当たりの購入金額が数十万円、数百万円単位となっており、資金のない個人投資家には購入のハードルがかなり高いものでした。そこで、少額からでも投資を可能にしたのが投資信託です。

投資信託にはたくさんの種類があります。

まず、投資対象は株式、債券、不動産などがあり、それ以外にも金や原油・小麦などの商品価値を対象にしているものもあります。投資初心者はまず株式や債券を対象にした投資信託を始めてみましょう。

投資信託の運用方法には、日経平均株価やTOPIX などの指数に連動して運用しようとする「インデックスファンド」と、それを上回る成果を目指す「アクティブファンド」があります。アクティブファンドのほうが利益の出る可能性がありますが、高利益を狙う分だけ手数料が高いのが特徴です。

一方で、投資信託のデメリットは、手数料がかかることと個別株などと比較すると大きな利回りが期待できないことでしょう。運用会社や管理会社へ「信託報酬」と呼ばれる運用管理費用や、中途解約時に「信託財産留保額」が必要になります。投資信託の購入時にも販売会社へ手数料がかかりますが、ノーロード型と呼ばれる購入時の手数料が無料の商品もあります。

安全性の高い投資信託は?

投資初心者でも始めやすい投資信託ですが、なかでも「つみたてNISA」は安全性の高い投資信託のみ購入できる仕組みになっています。基礎知識を備えたら、まずは一歩踏み出すことから始めてみましょう。

◎絶対損したくない!投資信託の選び方

現在、日本で販売されている公募投資信託は5923本と非常に数が多く、いざ購入しようと思っても何を基準に選べばいいかわからないですよね。自分に合った投資信託を見つけられるように、選び方のポイントをご紹介しましょう。

商品を選ぶうえでは、どの資産をメインに購入している投資信託なのかを確認することが大切。商品によってリスクの幅やリターンの大きさは異なります。

配当金の有無も重要なポイント。毎月分配型などの配当金が定期的にある商品は一見魅力的ですが、利益が出ていない場合に投資した資金が元本から配当金に回されるため、気が付いたら元本がほとんどなくなってしまったとなる恐れがあります。利益が出たときだけ配当金が出るタイプか、配当金が出ないタイプのほうが、長期の資産形成には向いているでしょう。


個別のファンド銘柄については、投資家から預かっている資産総額を表す「純資産残高・総額」を要チェック。

純資産残高・総額が少額だと、途中でファンドの運用が終了して途中償還してしまう可能性がありますので、長期投資をするのであれば、ある程度純資産残高が潤沢にあるファンドのほうが安心です。

手数料などのコストも重要です。たとえば信託報酬は、ファンドによって大体0.05〜3%程度の差があります。運用されている財産から毎日差し引かれるため、数%の違いでも長期間運用すれば大きな差が出てきます。ちなみに、アクティブファンドの信託報酬のほうが比較的高くなります。

投資信託を選ぶときには、これらのポイントを「目論見書」で必ず確認してから購入しましょう。

(町田 萌 : FPサテライト株式会社代表取締役、ファイナンシャルプランナー)