渋野日向子が奪った会心のバーディって?(撮影:福田文平)

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<AIG女子オープン 3日目◇6日◇ミュアフィールド(スコットランド)◇6680ヤード・パー71>
風は右からの強烈なアゲンスト。ピンまでは残り194ヤード。この日の難易度2番目で、3日間を通じて最難関となっている14番のフェアウェイに渋野日向子はいた。初日、2日目とボギーを叩いたこのホール。「リベンジしたいとティショットのときから話していた」と気合を込めて臨み、バーディを奪った。
この3日間、後半の中盤に入ると西からの強風がアゲンスト、フォローとなって選手を襲う。苦戦していた左ドッグレッグのパー4は、ティショットをフェアウェイに置いたものの距離が残った。ここでバッグから3番ウッドを抜き、強振。「完ぺきな当たりだったと思う。ちょっと右だったけど、風と闘ってくれた(笑)」。ピンに向かったボールはピン手前に落ちて転がり、右2メートルにオン。フックラインを打ち抜くと、入る前にカップインを確信する。そして会心のバーディとなった。
「あそこはマジでうれしかったですね」。心の底からの笑顔がはじける。ここでこの日バーディを奪ったのは、わずかに2人だけだった。15番に向かう途中、チームのメンバーを見かけると、何度も小さく両手を上げて喜びを共有した。続く15番もバンカーからパーセーブ。17番パー5では2オンのバーディ奪う。最終ホールではパーオンを逃すも、2メートルのパーパットを沈めてみせた。
「スタートから縦距離が合っていたし、外しちゃいけんところに外す回数が少なかった。ショットが安定していたし、計算もよく合っていた」。朝一からグリーンを狙うショットの距離感を合わせることに成功。方向も徐々に合ってくると、次々と3メートル以内のチャンスをつくり、きっちりと沈めていった。
序盤はピンチもあった。5番のパー5ではティショットが左に飛び、ポットバンカーすれすれを通過。一度は難を逃れたが、2打目が今度は右に飛び出してポットバンカーに入った。フォロー風で2オンも可能なホール。バーディは必須で、あわよくばイーグルもというここでのボギーは頭にきたが、すぐに切り替えた。久しぶりに4日間大会の決勝ラウンドを戦えることからくる喜びから「楽しんでずっとやっていた」と、その後5バーディを奪取して盛り返した。
これで首位のアシュレー・ブハイ(南アフリカ)とは5打差ながらトータル9アンダーの2位タイに浮上。前日はスコアを落としたものの、“耐える”ゴルフに納得もしていた。そして5つ伸ばしたムービングデーは「自分を信じて最後までやった結果」とさらに納得の表情だ。
「昨日もきょうも楽しめた。いままでやってきたことを発揮できるように、回りきりたい」。3年ぶりの美酒まで残り18ホール。スマイリング・シンデレラが再び満開の笑顔を英国で咲かせるのか。取り戻しつつある自信とショット力が、きっと全英2勝目へと導いてくれるはずだ。(文・高桑均)
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