巨人・中田翔【写真:小林靖】

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巨人の中田が2回の守備で適時失策を犯し、先発のメルセデスと共に交代

■阪神 13ー0 巨人(13日・甲子園)

 巨人の原辰徳監督が早々に動いた。13日、甲子園で行われた阪神戦は0-13の大敗。先発のメルセデスが2回途中6失点でKOされると、同時に「6番・一塁」でスタメン出場していた中田翔をベンチに下げる“驚き”の交代劇があった。現役時代に阪神、ヤクルトなど4球団で計21年間捕手として活躍した野球評論家・野口寿浩氏は「懲罰とは言いがたいが、チームに喝を入れるには全ての条件が整っていた」と語った。

 甲子園がどよめきに包まれたのは、巨人が3点ビハインドで迎えた2回だった。1死二、三塁で近本が放った打球を一塁・中田がファンブル。これが適時失策となり4点目が入ると、直後に原監督がベンチを飛び出し先発のメルセデスと中田に交代を命じた。

 3回の攻撃ではメルセデスの入っていた9番に打席が回ることもあり、ダブルスイッチの意味合いもあったが原監督が序盤から見せた“非情采配”だ。野口氏は「ダブルスイッチがメインだが、チームにとっていいタイミングだったかもしれない。メルセデスが降板になり、2番手投手はある程度引っ張らないといけない状況だった」と分析する。

「反省は必要だが接戦を演じてサヨナラ負けでも、これだけ大敗しても1敗は1敗」

 中田は前日の同カードで9号ソロを放つなど、この試合まで7月は打率.320、2本塁打2打点と好調をキープ。日本ハム時代には4番に座り3度の打点王に輝いた実績を誇る大砲だが、指揮官の判断は早かった。失策もそうだが、この日は打撃でも2回1死一塁で迎えた第1打席で三ゴロ併殺。一塁まで全力疾走を怠っていた。

 中田の走力を考えてもセーフになるのは難しい状況だったが「できる範囲の姿は見せないといけない。その直後にエラーも出た。投手交代のタイミングも重なった。ある意味、原監督だからこそできた交代だったかもしれない」と野口氏。

 チームは2回までに6失点を喫し、一方的な展開となった。4失策も絡み、終わってみれば19被安打13失点と大敗を喫し勝率5割に逆戻りとなった。ただ、野口氏はこの1戦を引きずる必要はないと見ている。

 12日は戸郷が完封し、今カードはこれで1勝1敗。3戦目をどちらが勝利するかで今後の状況も変わってくる。「もちろん反省は必要だが、接戦を演じてサヨナラ負けでも、これだけ大敗しても1敗は1敗。明日以降のグラウンドで中田がどのような姿を見せるかも大事になる。色んな意味でチームを引き締める効果があったと思いたい」と、野口氏は語っていた。(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)