レッドハット、RHELやAnsibleなど「Red Hat Summit 2022」の発表内容を紹介
レッドハットは6月7日、5月に開催された年次イベント「Red Hat Summit 2022」で発表が行われたインフラ製品の最新情報に関する説明会を開催した。
Red Hat Enterprise Linux 9
シニアソリューションアーキテクトの橋本賢弥氏は冒頭、同イベントで発表された米ゼネラルモーターズ(GM)との協業を紹介した。GMの車載ソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」のOSとして、Red Hat in-Vehicle OSが採用され、両社はSoftware Defined Vehicleプラットフォーム構築に向け協業を行う。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/c/fc929_1223_649d79489766d305d2d34c2378c7b342.jpg)
レッドハット シニアソリューションアーキテクト 橋本賢弥氏
同イベントでは、今年で20年を迎えた同社の主力製品であるLinuxディストリビューションの最新版「Red Hat Enterprise Linux 9(RHEL 9)」が発表された。同製品はRHELの8番目のリリースで、2032年5月まで10年間サポートする。
橋本氏はRHEL 9の特徴として、Fedora Linuxの次のステップとして、新しいディストリビューション「CentOS Stream」が追加されたことを挙げた。同氏によると、「CentOS Stream」はあらゆる人に開発状況とコードがオープンになっているため、RHELが出荷される前に「多くの修正が加えられる体制が築けた」という。
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RHEL 9リリースまでの流れ
橋本氏は「RHEL 9」の特徴の一つとして、パフォーマンスの強化を挙げた。例えば、CPU中心にワークロードのパフォーマンス1%〜4%、ストレージにおけるデータベースの処理性能が5%〜20%向上したという。同氏は、「非効率なコピーテクノロジーがコストにリニアに反映されるので、クラウドでのワークロードをいかに最適化できるかが求められている」と、パフォーマンスの強化が必要とされる背景について説明した。
また、オペレーションの一貫性と安全性の強化に向け、RHEL Web Console (Cockpit)の機能強化とRHEL System Rolesの拡充が行われた。
そのほか、橋本氏はエッジコンピューティング向けの「RHEL for Edge」の紹介も行った。「RHEL for Edge」は「Image Build」「rpm-ostree」「Greenboot」といった要素から構成されている。
橋本氏によると、「rpm-ostree」は通常のRHELのデプロイでは使われていない技術であり、エッジの用途にあう形で導入されたものだという。「rpm-ostree」により、次回のシステム起動時に新しいOSを自動で起動し、ダウンタイムを最小化する。
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RHEL for Edgeを構成する要素技術
Red Hat Ansible Automation Platform
ITの自動化プラットフォーム「Red Hat Ansible Automation Platform」(以下、AAP)については、シニアソリューションアーキテクトの中島倫明氏が説明を行った。「Red Hat Summit 2022」では、2.x バージョンまでの進化と最新版「2.2」の発表が行われた。
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レッドハット シニアソリューションアーキテクト 中島倫明氏
中島氏は、「1.x」バージョンから「2.x」バージョンへアップデートに際しての最大の変化として、コンテナ化を挙げた。同氏は、コンテナ化が行われた背景について、次のように説明した。
「AAPにおいて幅広い製品に対応した結果、Pythonで書かれている依存関係が複雑になり、それを解決するのが難しくなった。APPのアーキテクチャでは、3台のホストにPythonの実行環境を用意しなくてはいけなくなった。これにより、複雑な実行環境を開発者の手元で実現しなくてはいけなくなり、本番環境に持っていくと動かないと問題が生じていた。そこで、コンテナ化して、環境を閉じて実行できるようにすることで、開発者が依存関係に悩まされないようにした」
コンテナ化により、スケーラビリティを確保する際も、コンテナを配布するだけでよくなり、自動化の開発とスケーラビリティの一貫性の確保が実現されたという。
中島氏は「2.2」の新機能として、Automation Meshを紹介した。同機能は複雑なネットワークに対応するためのもので、メッシュ状のネットワークの構築を可能にする。同機能により、レセプター、中継器、1つのプロトコルを許可すればよくなったほか、1つのレセプターが落ちても、別なレセプターを使うように冗長性を実現できる。
|I@005.jpg,Red Hat Ansible Automation Platformの主要な新機能|
加えて、「Red Hat Summit 2022」では「Ansible Automation Platform on Microsoft Azure」も発表された。同サービスにより、クリックを数回するだけで、Azure上でAutomation Platformを展開して利用することができる。これにより、Azure上のリソースとオンプレミスのリソースの自動化を同一の環境から実行することが可能になる。同サービスは現状、北米で利用可能となっている。
エッジコンピューティングへの取り組み
シニアソリューションアーキテクト Edge Strategy Tech Leadの小野佑大氏からは、エッジコンピューティングに関する取り組みの紹介が行われた。同氏は、レッドハットはエッジを「Device edge」「End-user premises edge」「Provider edge」の3つに分けて定義しており、「Edge Management Console」による最適化と自動化をエッジに展開していくことを目指していると説明した。
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レッドハット シニアソリューションアーキテクト Edge Strategy Tech Lead 小野佑大氏
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/b/1/b1da2_1223_b6d4376e496f3ef6bc756018d7b8718a.jpg)
レッドハットが目指すエッジコンピューティングへの取り組み
小野氏は、エッジコンピューティングにおける取り組みとして、AnsibleとGitを活用した運用の自動化を紹介した。これは、GitHub上でSSIDを管理して、Ansible Automation PlatformがGitHub上の変更を検知すると、Wi-Fiへの設定反映やチケット作成を制御するという仕組みだ。Gitの特徴のバージョン管理機能を活用して、構成や状態の変更履歴を用いてロールバックが可能になるという。
Red Hat Enterprise Linux 9
シニアソリューションアーキテクトの橋本賢弥氏は冒頭、同イベントで発表された米ゼネラルモーターズ(GM)との協業を紹介した。GMの車載ソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」のOSとして、Red Hat in-Vehicle OSが採用され、両社はSoftware Defined Vehicleプラットフォーム構築に向け協業を行う。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/f/c/fc929_1223_649d79489766d305d2d34c2378c7b342.jpg)
同イベントでは、今年で20年を迎えた同社の主力製品であるLinuxディストリビューションの最新版「Red Hat Enterprise Linux 9(RHEL 9)」が発表された。同製品はRHELの8番目のリリースで、2032年5月まで10年間サポートする。
橋本氏はRHEL 9の特徴として、Fedora Linuxの次のステップとして、新しいディストリビューション「CentOS Stream」が追加されたことを挙げた。同氏によると、「CentOS Stream」はあらゆる人に開発状況とコードがオープンになっているため、RHELが出荷される前に「多くの修正が加えられる体制が築けた」という。
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橋本氏は「RHEL 9」の特徴の一つとして、パフォーマンスの強化を挙げた。例えば、CPU中心にワークロードのパフォーマンス1%〜4%、ストレージにおけるデータベースの処理性能が5%〜20%向上したという。同氏は、「非効率なコピーテクノロジーがコストにリニアに反映されるので、クラウドでのワークロードをいかに最適化できるかが求められている」と、パフォーマンスの強化が必要とされる背景について説明した。
また、オペレーションの一貫性と安全性の強化に向け、RHEL Web Console (Cockpit)の機能強化とRHEL System Rolesの拡充が行われた。
そのほか、橋本氏はエッジコンピューティング向けの「RHEL for Edge」の紹介も行った。「RHEL for Edge」は「Image Build」「rpm-ostree」「Greenboot」といった要素から構成されている。
橋本氏によると、「rpm-ostree」は通常のRHELのデプロイでは使われていない技術であり、エッジの用途にあう形で導入されたものだという。「rpm-ostree」により、次回のシステム起動時に新しいOSを自動で起動し、ダウンタイムを最小化する。
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Red Hat Ansible Automation Platform
ITの自動化プラットフォーム「Red Hat Ansible Automation Platform」(以下、AAP)については、シニアソリューションアーキテクトの中島倫明氏が説明を行った。「Red Hat Summit 2022」では、2.x バージョンまでの進化と最新版「2.2」の発表が行われた。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/5/d/5dbdb_1223_2c032c02360c27402a5a7b6c0213bf1e.jpg)
中島氏は、「1.x」バージョンから「2.x」バージョンへアップデートに際しての最大の変化として、コンテナ化を挙げた。同氏は、コンテナ化が行われた背景について、次のように説明した。
「AAPにおいて幅広い製品に対応した結果、Pythonで書かれている依存関係が複雑になり、それを解決するのが難しくなった。APPのアーキテクチャでは、3台のホストにPythonの実行環境を用意しなくてはいけなくなった。これにより、複雑な実行環境を開発者の手元で実現しなくてはいけなくなり、本番環境に持っていくと動かないと問題が生じていた。そこで、コンテナ化して、環境を閉じて実行できるようにすることで、開発者が依存関係に悩まされないようにした」
コンテナ化により、スケーラビリティを確保する際も、コンテナを配布するだけでよくなり、自動化の開発とスケーラビリティの一貫性の確保が実現されたという。
中島氏は「2.2」の新機能として、Automation Meshを紹介した。同機能は複雑なネットワークに対応するためのもので、メッシュ状のネットワークの構築を可能にする。同機能により、レセプター、中継器、1つのプロトコルを許可すればよくなったほか、1つのレセプターが落ちても、別なレセプターを使うように冗長性を実現できる。
|I@005.jpg,Red Hat Ansible Automation Platformの主要な新機能|
加えて、「Red Hat Summit 2022」では「Ansible Automation Platform on Microsoft Azure」も発表された。同サービスにより、クリックを数回するだけで、Azure上でAutomation Platformを展開して利用することができる。これにより、Azure上のリソースとオンプレミスのリソースの自動化を同一の環境から実行することが可能になる。同サービスは現状、北米で利用可能となっている。
エッジコンピューティングへの取り組み
シニアソリューションアーキテクト Edge Strategy Tech Leadの小野佑大氏からは、エッジコンピューティングに関する取り組みの紹介が行われた。同氏は、レッドハットはエッジを「Device edge」「End-user premises edge」「Provider edge」の3つに分けて定義しており、「Edge Management Console」による最適化と自動化をエッジに展開していくことを目指していると説明した。
![](https://image.news.livedoor.com/newsimage/stf/7/1/71681_1223_0dd1007bc244696e5ad9eac864367074.jpg)
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小野氏は、エッジコンピューティングにおける取り組みとして、AnsibleとGitを活用した運用の自動化を紹介した。これは、GitHub上でSSIDを管理して、Ansible Automation PlatformがGitHub上の変更を検知すると、Wi-Fiへの設定反映やチケット作成を制御するという仕組みだ。Gitの特徴のバージョン管理機能を活用して、構成や状態の変更履歴を用いてロールバックが可能になるという。