※この記事は2021年09月10日にBLOGOSで公開されたものです

河野太郎行政改革担当相が10日、会見で自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に立候補すると表明した。

河野大臣は冒頭、「今直面する危機を乗り越える必要がある」と立候補の決意を語り、「みなさんと一緒に笑い、みなさんと一緒に泣き、みなさんの思いを受け止め、みなさんに共感していただける、そんな政治を通じて、人が人に寄り添う、温もりのある社会を作っていきたい」と訴えた。

総裁選への出馬を正式に表明したのは、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相に続き3人目。

【発言全文】

河野太郎でございます。この度の自由民主党の総裁選挙に立候補いたします。みなさんの思いや不安を受け止め、情報をみなさんと共有し、しっかりとしたメッセージを出し、みなさんと一緒にこの直面をする危機を乗り越えていかなければならないと思っています。

みなさんと一緒に笑い、みなさんと一緒に泣き、みなさんの思いを受け止め、みなさんに共感していただけるそんな政治を通じて人が人に寄り添う、温もりのある社会を作っていきたいと思っております。

私は初当選以来、一貫して自由民主党に所属して政治活動を行ってまいりました。自由民主党は保守政党であります。私は保守主義とは度量の広い、中庸な温かいものだと思っております。

そしてこの日本を日本たらしめている、日本の1番のいしずえとなっているものが、この長い伝統と、歴史と、文化に裏付けられた、皇室と日本語。これが「日本は他の国と何が違うのか」と聞かれたときに、日本語と皇室です。

そして、その上に我々の先祖が築いてきた様々な歴史や文化や伝統が、それぞれの地域で根付いています。たとえば、方言であったり、そこで残されている地名であったり、あるいは地域の方々が守ってきたお祭りであったり、そうした昔から受け渡されてきた、昔からしっかりと地域、地域で守ってきたそういうものに常に新しい何かを加えていく、それが保守主義だと思っています。

顔が見える、みんなの顔が見える地域社会の中で、相談をしてみんなで決めて、そして、みんなで実行する。そういう政治の原点に今こそ我々は戻らなければいけないのではないか。平等な機会が提供され努力した者、汗をかいた人が報われる、そして誰1人取り残さないみんなをしっかりと支えていく、そういう国家を作っていきたいと思っております。

「そんなことできない」と言われてもひとつひとつやる

ワクチン接種1日に100万回、あるいは高齢者の接種を7月までに終わらせる。最初にそういうゴールを示されたときに正直、「ん?」と思いましたが、振り返ってみればコンスタントに1日100万回を超えました。7月末には高齢者の接種を終え、今日少なくとも1回目の接種をした割合、全人口に対する割合はアメリカと肩を並べました。このペースでいけば9月末、あるいは10月の初め、G7でもトップクラスになります。

行政の書類に実印や銀行印はともかく、認印はいらないのではないか。「そんなことできるわけないだろう」と言われましたが、今99%の書類で認印はいらなくなりました。コロナ禍でテレワークやってください。テレワークなんかで仕事ができるのか、やってみたらできるよね、オフィス小さくしてもいいんじゃないか。そういうことになりました。

ハンコをなくすというのは別にそれがゴールではありません。ハンコをなくすというのが行政をデジタル化する、その最初の一歩です。テレワーク、コロナの中でテレワークができる、それだけで終わるわけではありません。テレワークをすることによって東京への一極集中を逆転する。そこまでやらなければいけないと思います。

しかしみんなが「そんなことできないよ」。そう思っていた、そう言っていたことがひとつひとつやることでできたよね。それならその次の一歩を踏み出せるんじゃないか、私はみんなが少し手を伸ばして、掴みたいものを掴む、その努力をみんながやろうと思う、そしてその努力が結果を生む、そういう国を作っていきたいと思っています。

少しずつ手を伸ばしていけば、いずれは星にだって手が届くかもしれない。みんながそう思ってやってみよう、そう思ってくれるようなリーダーになりたいと思っています。国だけではなく、街でも企業でも、あるいは1人1人のみなさんが「これができたら便利だよね」「これができたら本当にいいよね」。そう思えることをやってみようよ。そう思えるような先頭に立つリーダーになりたいと思っております。

たとえば、さっき申し上げたテレワーク。昨年の後半、東京から出ていく人のほうが多くなりました。残念ながらまた戻ってしまうかもしれませんが、テレワークができればどこででも仕事ができます。地元に帰ってでも、あるいは自分が行きたいと思うところで仕事ができる。

東京でなければできないと思っていたことが日本中でできるようになれば、東京の給料で色んな地域で仕事ができるようになるはずです。そうすれば、東京の仕事が地域に出る、地域の給料が上がっていく、地域の経済が前向きに動いていく。それを私は目指していきたいと思っています。

ワクチン交渉で直面した日本の課題

ワクチン接種を担当する中で色んなことがありました。1日100万回、7月末に高齢者。EUと一生懸命交渉をしていたら、気付いたらアメリカが全く同じワクチンを作っていました。アメリカで作ったワクチンを日本に出してくれたらEUと交渉しなくて済むじゃないか。いやいや、河野さん、それはうちの問題ではなく、あなたの問題だ。おたくの厚生労働省がアメリカの工場を認証していないから、こっからワクチンを出せないんですよ。

あるいはモデルナと交渉して、もう少し日本にワクチンを余計に出して欲しい。スピードアップして欲しい。いやいや、河野さん、他の国はみんな有効期間7ヶ月なのに、日本だけは6ヶ月だというから、もう最初から色んなものを日本向けに分けて作らないといけないんだ。そんなことを急に言われても。全部それを直しました。

今PCRの抗原検査、一般の人が薬局で買いたい。残念ながらルールでそれはできないようになっています。今それを規制改革推進会議でこのコロナ禍なんだから、そういうことのできるようにきちんとルールを変えていこうよ。そういう議論をしています。しっかりと手を伸ばしたらそれが実現できる。「みんなでやればできるんだ」ということを共有していく、そういうことをやっていきたいと思っています。

子育て支援、私の子どもも大きくなりました。子育てをやったなんていうと女房に張り倒されるかもしれませんけれども、少しは私も手伝いました。子育ては楽しい。子育てをやって子どもの成長を見るのは本当に幸せです。しかし、その一方で色んな不安もあります。幼児保育、あるいは大学の学費、色んな心配をしっかりと社会で受け止めて、本当に子育てができる。

あるいは自分の子どもだけではなく、地域で子どもが育っていくのが、本当に見ていて幸せだ。子育ては楽しい、そして色んな不安、負担をしっかりと社会でサポートすることができれば、少子化問題にも歯止めをかけることができるんだと思います。

守るべきは年金制度ではなく若者たちの将来

若い人と話をしていると、「いやいやもう将来、年金なんかあてにしていませんよ」という若者が結構います。「年金をあてにしていないんだったら、じゃあどうするの」と言っても代わりはよく分からない。今、守るべきは将来の年金制度を守るのではなくて、将来、年金できちんと生活ができる。若者が将来老後を考えたときに、年金生活を守らなければいけないんですよ。

今、コロナ禍でGDPギャップ22兆円あります。平時の改革、有事の財政、こういうことだと思います。GDPギャップを埋めるんだったら、コロナの前に戻るんではなくて、前に進めるような、未来につながる投資をしなければなりません。全国どこででもテレワークができるような5Gのネットワークを、国がしっかりと作っていく。PFIでもいいでしょう。いくつもの会社が同じことをやるのではなくて、国がそこに投資をしてもいいんだと思います。

カーボンニュートラルを目指すための蓄電池、連携線、スマートグリッド。一般的な太陽光パネルでは負けたかもしれませんが、今新しい太陽光発電の色んな技術が、芽を出しています。私の地元では波の力を使った波力発電をやる新しい企業が立ち上がりました。こうした未来につながる、未来の日本経済を引っ張っていく、そういうものにしっかりと投資をしていく。そういうことをやっていかなければならないと思っております。

デジタル化もその1つです。デジタルの技術を使うことで、障害を持っている方、あるいは難病の方、みんなが社会に参加をすることができるようになります。あるいは今年、所得の低い方、お子さん1人当たり5万円の給付を、みなさんから申請をいただくんではなく、政府の方からプッシュ型で給付を、みなさんの口座に振り込む。初めてそういうことをやることができました。

しっかりとしたセーフティネットを作るんだったら、どこに支援を必要としているのか。それをはっきりと認識しなければなりません。行政をデジタル化するということは、今まで集団でしか見ることができなかった。

しかし、その集団の中のひとつひとつの個を浮かび上がらせて、必要なところに必要な手を差し伸べることができる。それがデジタルの力です。そうやってこれから日本を前へ進めていかなればならないと思っています。

前へ進む日本を引っ張っていくリーダーに

今、日本はなんとなく立ちすくんでいる。その間に他の国がどんどんと前へ進もうとしています。かつて、先頭を走っていたかもしれませんけれども、残念ながら今、トップランナーではなくなったかもしれない。だからこそ、今私たちは重い扉を押し開けて前に進まなければなりません。

みなさんと一緒になって日本を前に進めていきたい。「いや、河野さん、もう改革には疲れたよ」。そう言う方がいらっしゃいます。

何かを削ぎ落とす、コストを削減する。それが改革ではありません。改革というのは新しい価値を生み出していく、世の中を便利にする。それがこれからの改革です。ひとつひとつ、色んなことを規制改革推進会議で、あるいは大臣の直轄チームで、実現をしてまいりました。

新しい価値を生み出して、世の中をみんなのために便利にしていく。そして日本全体がしっかりと手を伸ばしたらそれを掴める。欲しいものを掴むことができる、みんながそう思って一生懸命、手を前に出していく、それを引っ張っていくリーダーになりたいと思っております。

ぜひ国民のみなさまに後押しをされた新しい自由民主党総裁として、そして日本の国を引っ張っていくリーダーとして河野太郎をご支援いただけたら、誠に幸いでございます。どうもありがとうございました。

「原発ゼロ」の考えは変わったのか

―― エネルギー政策について。かつて河野大臣は超党派で原発ゼロの会というものを作って政策提言として、政治がなすべき第一は原発ゼロに向かうという決断に到ると提言にまとめていると思います。先日のぶら下がりでは、安全が確認された原発を当面使っていくことはあると述べられているが、お考えが変わったということなのか、それともこれまでの自論を抑えていることなのか。国民にはわかりにくく見えます。この点をわかりやすくご説明いただけますでしょうか。

いずれ原子力はゼロになるのだろうと思っておりますが、カーボンニュートラル、2050年までにこれを達成して気候変動を抑えていくということになると、まず石炭、石油から止めていかなければなりません。そしていずれは天然ガスからも脱却しなければなりません。

そうすると2050年にカーボンニュートラルを実現するためには、ひとつはきちんと省エネをやる、そしてもうひとつは、今度エネ基(エネルギー基本計画)にもありますように、再生可能エネルギーを最大限、最優先で導入していく、それでも足りないところは安全が確認された原発を当面は再稼働していく、それが現実的なのだろうと思っています。

――経済政策について。消費税減税は総理になるとありえるか。安倍晋三前首相のもとで消費税を2回上げたことについてどう思うのかということと、プライマリーバランスの黒字化、2025年度目標を堅持するのか。以上三点をお願いします。

コロナ禍ですからプライマリーバランスについては様々な議論をしていかなければならないと思っております。消費税を上げた、これは私も支持をしてまいりました。(消費税減税については)今のところ考えておりません。

――若者・若手の政策やメッセージがあれば教えてください。

先ほどから申し上げているように、若い人には、ぜひ色んなことにチャレンジしていっていただきたいと思います。世の中ってこんなものだというしたり顔に惑わされずに、やりたいことがあったら思い切って手を伸ばして掴みとっていただきたいというふうに思っています。

――北朝鮮による日本人拉致問題について。安倍内閣、菅内閣では最重要課題と位置付け取り組んでまいりました。総理になった暁には河野太郎内閣ではこの問題をどう位置付けるのでしょうか。

安倍内閣の外務大臣として北朝鮮の外務大臣と様々接触をいたしました。河野太郎内閣ができればこの問題の解決に向けて全力をあげていきたいと思います。

――衆院解散について。総裁選を経て、総理に就任された場合、国会で所信表明、あるいは代表質問に臨む考えはおありでしょうか。衆院解散に関しては11月7日や11月14日の投開票日が有力な選択肢となっていますが、河野さんの解散戦略を教えてください。

私もそれなりの自信を持ってここに立っておりますが、今のご質問についてスラスラと答えるほど自信過剰ではございません。

対露、対中外交への取り組み方は

――対ロシア外交について。安倍政権は1956年の日ソ共同宣言を平和条約交渉の基礎に位置付け、四島返還から二島返還方針に事実上転換しました。菅政権も安倍政権の対露外交を継承するとしていましたが、北方四島の共同経済活動を含め、交渉は行き詰まっています。安倍政権以降の対露外交をどう評価しているでしょうか。首相になったら、日ソ共同宣言を基礎にした交渉を引き継ぐか。もしくは対露交渉方針を転換するのか、北方領土問題にどう取り組むのか教えてください。

安倍内閣、あるいは現時点での菅内閣の方針について申し上げるのは避けますが、日露の間で平和条約を締結し、もちろん領土問題を解決し、平和条約を締結していくというのは非常に重要なことだと思っております。

――防衛大臣のご経験をお持つちだが、対外的に拡張主義を続ける中国共産党、対内的にはウイグル人、チベット人などに人権弾圧をしているが、欧米諸国が厳しい制裁措置を含む態度で臨んでいるが、河野大臣は当選されたら、どういった対応をする考えでしょうか。

一方的な現状変更の試みに対しては、国際社会で一致してそれに対して反対していく、そしてそういった試みに対してはそれなりのコストが伴うということをはっきりさせていかなければならないと思っています。民主主義、人権、自由、法の支配、こうした共通の価値観を持っている国々と一緒に外交を進めていきたいと思っています。

――冒頭で規制改革の実績について述べていらっしゃいました。菅内閣が掲げてきたこととほとんどかぶっていると思うのですが、この菅内閣のレガシーを引き継いで、さらにその政策を引き継いでいきたいという考えなのか。またその政策を引き継ぐ場合は、菅総理からの支援を得たいという考えなのか。支援という意味で、これまで自民党総裁選挙は派閥が中心と言われてきましたが、その派閥と総裁選挙のあり方で、どういった総裁選挙にしていくのが望ましいと考えているのかお聞かせください。

たくさんご質問いただきましたけれども、新しい価値を世の中に生み出していく改革というのは常に必要なんだと思います。世の中を便利にする、世の中に新しい価値を生み出していく、そういう改革はやっていかなければならないと思っています。

自由民主党の総裁選挙ということで、自由民主党所属の議員、あるいは党員のみなさんの選挙でございますが、国のリーダーを選ぶということに直結していることを考えれば、広く国民のみなさまからのご支持をいただいてこの総裁選挙に勝ち抜いてまいりたいと思います。

森友問題の再調査をする考えはあるか

――森友学園問題を再調査するお考えはありますでしょうか。

すでに検察その他色々動いているわけですから必要はないと思います。

――出馬にあたっての決断について。出馬について菅総理と話したのか、サインは得たのか、出馬はいつどのような形で決断されたのか教えてください。

菅総理には今朝、今日、出馬会見をやるということを報告いたしました。

今回、出馬をするということになりました。以前から、この国のリーダーとして国を引っ張っていきたいという思いがございました。菅総理が総裁選挙に出馬されないということを明言されましたので、そこから具体的に色々今回は考え始めました。

――派閥について。麻生会長と連日お会いされています。派閥幹部とも意見交換されてきたと思いますが、麻生会長の支持を得られているとお考えでしょうか。

会長からは激励をいただいたので、支持を得ていると思っております。

自身で考える強み、弱みは

――総裁選の告示まで1週間となりました。すでに立候補を表明している岸田氏、高市氏と比べ、どの点がご自身は総理、総裁にふさわしいのか、ご自身の強みは何であるかお聞かせください。また逆にご自身の弱みをどう認識しておられ、どう改善したいとお考えでしょうか。

ありがとうございます。実行力、突破力というところは誰にも引けを取らないというふうに思っておりますし、今回のワクチンの接種を1,741の市区町村、そして47の都道府県、ここと様々調整をしながら、今の時点では世界最速、アメリカに接種率で肩を並べたというところまで持ってきたということを考えると、調整力においても優れているのでないかなと自負していいのかなと思っております。

短所については、様々な仲間から、今日も色々ご指摘をいただきましたので、そうしたことをしっかり学びながら前に進んでいきたいと思っています。

菅政権のコロナ対応についての評価は

――コロナ対策についてお聞かせください。今までの菅政権におけるコロナ対策、対応に問題はないとお考えでしょうか。いただいたリーフレットによりますと、ワクチン接種をさらに進める、そして、3回目の接種を行っていくと書かれております。ワクチン接種が進んでいく中でも首都圏では、感染者、陽性者が増え、それから自宅療養の方も多くいらっしゃいます。そういう方々に対する対応を今後どうお考えか、お聞かせください。

ワクチン接種が、接種率でアメリカと肩を並べ、このペースでいけば、恐らく10月の頭にはG7でトップの接種率に近づいてくるんだと思います。ワクチンの接種率が高いということは安心安全に繋がっていきますし、日本の経済を前に進める上で、あるいは日本の競争力を高めていく上で、非常に大きな意味を持っていると思っております。

今日も規制改革推進会議で、コロナの抗原キットの販売を一般の薬局でできるようにルール改正をする議論をやります。有事の対応を平時の法律、体制、システムでやってきた。それをワクチンの分野では色々なぎ倒してやってまいりましたが、コロナの対応全般についても、やはり有事と平時、ここをしっかりと将来にわたって切り分けていくということを考えていく必要があるんだろうと思います。

平時と有事の切り分け、それと国と地方の権限のあり方、こういうものはワクチンの経験からコロナ全体についても考えていく必要があるのかもしれません。

――冒頭で情報を国民と共有して、危機を乗り越えていきたいと高々に宣言されて、とても清新な印象を受けましたけれども、振り返ってみますと安倍・菅政権の中で国民が最も政治に対する絶望感を抱いたことの1つは、都合の悪いことは隠す、あるいはなかったことにするという、具体的には先ほどの質問でありましたが、公文書の破棄や改ざんということをずっと目の当たりにして、国民の間に絶望感が広がっているのが現実だと思います。先ほどの質問で具体的に森友問題に関する財務省の報告に関しては、再調査の必要はないと断言されましたが、このようなお答えで国民は納得するとお考えでしょうか。

この問題については、すでに検察、司法まで動いているものでございます。私がやってきた、たとえばワクチンについてはあらゆるデータを都道府県、市区町村に開示をして、そして、お互いの意思疎通を図りながらやってまいりました。そういう数字についても逐一、記者会見で報告をしながらやってまいりました。ですから、私の政権では、情報は常に国民のみなさまに開示をし、それに基づいて色々と議論をし、多くのみなさんに納得をしていただいて政策を実行してまいりたいと思っております。

憲法改正、皇位継承問題についての考え方は

――憲法改正について。このパンフレットには新しい時代にふさわしい憲法改正を進めると書いてありますが、具体的にどのような内容を想定されているのでしょうか。自民党の改憲四項目を踏襲するのか。しない場合はその理由と、具体的な現行憲法の、どの部分を改めた方がいいとお考えなのでしょうか。また仮に総裁になった場合、改憲に向けた議論の手続きはどのタイミングで始めるお考えなのか教えてください。

憲法改正というのは非常に大きな問題ですから、どのタイミングでというのは様々な政治日程、あるいはそのときの重要課題を考え合わせながらやっていかなければいけないんだろうと思っています。自由民主党の中で、あるいは国会の中で、憲法改正の議論、色々行われておりますから、しっかりとそれを見極めながら、重要課題と合わせて対応していきたいと思います。

――皇位継承について。配布されたパンフレットには政府の有識者会議の議論を尊重すると明記されています。これまで発言されてきたような女性・女系天皇を含む検討の必要性について、今のお考えをお願いできますでしょうか。

有識者会議は、非常に堅実な議論をしていただいて、多くの方がなるほどと思えるような最終の取りまとめを出してくれるのではないかと期待をしているところでございます。126代にわたり続いてきているこの天皇という地位でございますから、有識者会議にしっかりとした取りまとめをいただいた上で、国民のみなさまに広くそれを説明をし、ご支援をいただいて、ご支持をいただいて前に進んでいかなければいけないんだろうと思います。

――慰安婦問題について。パンフレットのキャッチフレーズに「日本を前に進める」というのは非常に素晴らしく、河野候補はこれまで2人の候補よりもお若いというところで将来に希望がもてます。しかし、世界には日本の足を引っ張る問題が多くて、そのひとつがいつ終わるとも分からない慰安婦問題だと思います。その根拠とされているのが確固たる資料がないのに1993年に発表された河野談話ですが、この河野談話についてどういうふうにお考えですか。もし河野政権が成立したときに、93年の河野談話を新たに上書きするような感じの新しい談話などを作るつもりはあるでしょうか。

これまで自由民主党政権が継承してきた歴史認識については、それを受け継いでいきたいと思います。

総理大臣になってもツイッターは続けるのか

――河野さんは総理、総裁になってからもツイッターなどSNSを通じた情報発信を行っていきたいとお考えでしょうか。

はい。

――政策パンフレットに「自民党を変える」と書かれていますが、自民党の何が問題で、河野さんはどこをどう変えたいのでしょうか。

自由民主党というのは、私も25年前に初めて当選しましたが、かなり活発に色々な議論をさせていただきました。私は自由民主党が色んなことを活発に議論し、まとまるときはまとまる、そういう自由民主党に支えてもらいたいと思っています。

――それは、派閥や長老の意見に耳を傾けないということになってくるんでしょうか。

聞くべき意見というのはたくさんあります。誰かの意見に耳を傾けないとか、こういう意見には耳を傾けないということなく、満遍なく耳を傾けるというのがリーダーの仕事だと思います。

福島第一原発の海洋放出 地元の理解得られるか

――東京電力・福島第一原発の処理水について。政府は4月、海洋放出の方針を決めましたが、地元では風評被害の懸念が根強く残っています。海洋放出に関するご自身の見解と、どのように関係者の理解を得ていくお考えでしょうか。

様々な議論を経て決められたことだと思います。ご理解をいただけるように、きちんと説明をすると同時に、科学的なデータをお示ししながらやっていかないといけないと思っています。外国から様々ご意見をいただいている部分がありますが、科学的なデータに基づいた議論をしていかなければいけないのだろうと思っています。

――出馬に関連して(河野)洋平さんとどのようなお話をされたのか。菅総理に続いて総裁となれば2代続けて神奈川からの選出となります。思うところをぜひ聞かせてください。

たまたま神奈川から2代続くのかもしれませんが、日本の総理大臣でございますから、「神奈川県の総理」というよりは「日本の総理大臣」として頑張ってまいりたいというふうに思っております。親父も元気にしているようでございます。安心しました。

――原発について。河野さんはずっと国民から脱原発派と見られていたと思いますが、先ほど「いずれゼロになるだろうが、当面は再稼働が現実的」とおっしゃいました。脱原発というのは色んな考え方があると思いますが、河野さんご自身としては自分を今現在、脱原発派とお考えか、理由と合わせてお聞かせください。

どういう定義で脱原発というのかは、人によって違うと思いますから、何かひとつの言葉でくくるのはやめておいた方がいいと思います。

――沖縄県の辺野古新基地政策について。河野さんが防衛大臣を務めて昨年4月に沖縄防衛局が沖縄県に提出した設計変更の申請書ですと、本島南部の糸満市、八重瀬町を加えて、埋め立て土砂の最終候補地にしています。一方で糸満市などからは先の大戦の沖縄戦の犠牲者の遺骨が毎年何十柱、何百柱と多くの遺骨が収骨されていて県民は南部の土砂を使用することに強い抵抗感を抱いています。先ほど河野さんは、多くのみなさまに納得いただいて政策を実現する、実行するということをおっしゃいましたが、この多くの沖縄県民が反対する辺野古新基地政策のぜひをどうするか、南部の土砂使用の計画について河野さんのお考えをお願いします。

普天間飛行場の安全性を除去するということから考えれば、移転は一刻も早くやらなければいけないというふうに思っております。現在の、日本が置かれている状況を考えれば、必要なことだと思っておりますので、粘り強くご説明を申し上げなければいけないというふうに思っております。

工事の方法につきましても様々ご議論があるようですが、安全性の除去を1日も早くするための移転をどのように進めていくか、地元と意思疎通しながら進めてまいりたいと思います。

安倍前首相への忖度はあるのか

――安倍さんへの忖度政権になるんじゃないかという疑問から質問させていただきますが、森友再調査をしないことと、原発再稼働を認めるということは明らかに後退であって、小泉純一郎元総理は原発なしでも現実的に電力は不足しないということを訴えているんですが、「自民党をぶっ壊す」と言った小泉さんに比べると全然壊そうという気概が感じられないんですが、安倍さん、麻生さんの長老支配を打ち破るお考えはあるんでしょうか。

安倍さん、麻生さんがどうだ、小泉純一郎さんがどうだということではなくて、河野太郎としてこの日本を引っ張ってまいりたいと思っています。

――核兵器をめぐる政策について伺います。日本を取り巻く安全保障環境は厳しい中ですが、改めて非核三原則は堅持するということでしょうか。また核兵器禁止条約に関してのスタンスもお聞かせください。

日本というのは、非核三原則を堅持してやってまいりました。ただこの核に対する抑止力というのは日米同盟に依存しているところもあるわけです。核兵器禁止条約については様々ご議論があります。政府として日本が国を守るためにとらなければいけないこと。しかし多くの核兵器禁止条約を支持しているみなさん、あるいは国々と究極的な核廃絶というゴールは共有をしているわけですから、我々は決して対立することなく、同じ山の頂上を違うルートで登っているのではないかというふうに思っています。中国も交渉に乗せながら、核兵器を一定の数までまず下げていく。そこから究極的な核廃絶に向けてもう1度議論をしていく。そういうやり方が現実的なのではないかと思っております。

岸田氏、高市氏に続き河野氏が打ち出す経済政策とは

――経済政策について。すでに立候補を表明されている岸田候補は小泉政権以降の新自由主義からの転換、高市候補はアベノミクスを継承発展させた大規模な財政出動、物価安定目標のインフレ率2%の達成にも強い意欲を示しています。河野大臣はどのような財政、金融政策を展開するお考えでしょうか。

今おっしゃいましたインフレ率は、インフレ率からスタートするのではなく、経済成長の結果としてインフレがそれなりのところになってくるということなんだろうと。ですから、まず、いかにして経済を成長させていくか、アベノミクスでおかげさまで企業部門は非常に利益を上げることができました。

しかし、残念ながらそれが賃金まで波及してこなかった部分がございます。たとえば、労働分配率を一定水準以上にした企業については法人税の特例措置を設けるなど、企業から個人へ、個人を重視する経済というものを考えていきたいと思っております。

――去年の安倍政権のもとで行われた個人向けの一律給付金についてはどのように評価されていますか。また今後、このような個人向けの給付金の再支給する可能性についての考えはおありでしょうか。

こういうコロナ禍という中での、初めての対応でございましたので、やれることはなんでもやるということでの対応でございました。行政のデジタル化が進んでいくと本当に支援をしなければいけない人というのを日本国民の中から、支援の必要な人という個を浮かび上がらせて、そこへしっかりと支援をすることができるようになってまいります。

まだ、今日、明日というわけにはいきませんが、そうやって支援が必要な方にしっかり政府の方から今度は手を差し伸べていくというのが私のゴールであります。なるべくそれをこのデジタル化によって、そうしたことが早くできるようにしてまいりたい。できればこのコロナ禍、まだ続くのかもしれませんが、その間でもやれることはやりたい。今年一定の対応ではありましたがプッシュ型で給付するということが実際にできましたので、さらにそれを拡充していきたいと思っております。

――農業政策について。リーフレットでは、食料の確保は国の基本であり、持続可能な農林水産業を作りますと、ひと言なんですけれども。規制改革担当大臣として農業の関係にも関わってきたと思いますが、具体的な農業政策はどのように打ち出していくか、またその背景にある問題意識を教えてください。

やはりこうやってコロナを経験してみると、食料の確保というのは国にとって非常に重要な役割を果たしています。それをしっかりとやってくれている、地域社会を大切にしていかなければなりません。他方、稼げる農業でなければ若い方が入ってきてくださいません。そこもデジタルを初め、様々な技術を入れていくということで生産性を上げていかなければならないんだろうと思います。

農業に対する投資をどうしていくのか、資金調達をどうしていくのか、規制改革の中でも様々な議論がありました。新しいフードテックについても、私の直轄チームで規制改革、様々な議論をしたところでございます。量を確保する、単価を引き上げていく、その両面からやっていかなければいけないことはたくさんあると思いますが、必要な技術の導入、投資の促進、そうしたことを含めて頑張ってやってまいりたいと思います。

人口減少、少子高齢化…地方の問題にどう取り組むか

――地方の政策について。やはり地方は人口減少に歯止めがかからない、少子高齢化がすすむ、さらには中小企業とうとうで経済の回復の実感がないという声が聞こえてきます。地方創生は安倍政権がずっと掲げてきたが、その評価と、今後、地方に河野さんがどう向き合うのか伺いたい。

日本経済を前に進めるためには、やはりこの東京一極集中を是正するのは非常に大きな課題だと思っております。

バブル期でも様々な地域から東京に、大学、大学院、専門学校に通う若い世代が東京に出てきましたけれども、バブル期はそのあとを見ていると、かなりの割合でそれぞれの地域に戻っていった。しかし、最近はどうも、その割合が減っている。特に女性が地域に戻らない、首都圏や近畿圏に残る割合が高くなっている。

そうすると未来のお子さんも一緒に東京に出てきて、東京が出生率が1番低い、これが少子化にも繋がっていくということで。やはり地域にしっかりと能力を生かせる、所得を得られる雇用を作るというのが大事なんだと思います。

そういう意味では私はこのコロナ禍でやらざるを得なくて始まったテレワークでありますけれども、多くの方がテレワークできると思って進めている。企業によってはこんなに大きなオフィスは東京にいらないよねと言って、実際に後戻りできないように縮小しているところもあるんだと思います。

他方、霞ヶ関ではなかなか進んでいない。一部企業ではやっぱりテレワークをやめて、元に戻ろうとする動きもあります。私はこのテレワークをきちんと進めていかないと思っておりまして、ちょっと長くなりますけれども、今支払基金というのがあります。

かつては紙のレセプトを都道府県ごとに審査をして、医療保険を支払っていたわけですけれども、今レセプトの電子化がかなり進みました。そうするとかつてのように紙を1箇所に集めて審査をする必要がなくなります。電子レセプトですから、AIを入れて、もっと審査を高度化することができる。あるいは電子レセプトをもとに、医療費をどうやったら最適化できるのかということにも使えるんだと思います。

そうすると、新しく価値を生む仕事というのがこのレセプトを電子化したことによって生まれる一方で、それぞれの拠点に勤務しなくても、その仕事ができるようになった1番はっきりしている例のひとつではないかと思っております。

霞ヶ関の中にもそういう仕事がたくさんあると思っておりまして、まずは隗(かい)より始めよ。かつて消費者庁を徳島に移転しようと言って旗を振ったことがありますが、今は何かをここへと決めずに、それぞれ霞ヶ関全体から、それぞれの選ぶところへテレワークということができるようになってきた。

そうすると、東京の給与体系をもって多くの人が地域に戻ることができれば、地域の消費も活性化していく、地域の雇用も活発になってくる。色んな人が自分の能力を生かした仕事をそれぞれの地域ですることができるようになる。非常に大きな可能性がある。そのためのさきほど言いました5Gネットワークなど、必要な投資はこのGDPギャップを埋める中でやっていくべきものではないかと思っております。

ワクチン担当相になって感じた国と地方の権限問題

――地方政策に関連して、先ほど大臣の方からコロナ禍の対応の中で、国と地方の権限の問題について考えさせられたと述べられましたが、今後、具体的に国と地方の権限について何か変えていく考えはおありでしょうか。

ワクチン接種の担当になりまして、最初驚いたのは、市区町村にやっていただく事務でありますが、厚労省の細かいはしの上げ下ろしまで定めた通知や手引きが出されておりました。

しかし、これ青ヶ島村から横浜市まで、人口も全く違いますし、都市部もあれば中山間地もあれば、北海道から沖縄までそれぞれ接種に行くときに着ている洋服だって違う中で、同じやり方をやるのは無理だと思いました。

ですから、なるべく細かいことは言わずに、ワクチンの温度管理とロット番号管理、そして接種記録、これだけきちんとやっていただけたら、あとは自治体の考え、創意工夫に応じてやってもらわなければダメだなということで、ずいぶん厚労省を押し倒して、自治体の要望を伺うということをやりました。

結果として石垣市でしたか、もう、ファイザー、7回取れる針と注射器を大量に調達をして、我々が送ったワクチン、1バイアル6回ではなくて7回打って、すごいスピードで打ちました、というところもありましたし、自治体と都道府県で協力をして、一斉に前に進んでいるところもありますし。

本当に自治体のみなさん、あるいは医療関係者のみなさんの創意工夫のおかげで、1日100万回どころかというスピードまで達成することができました。ですから、私はこの地方のやり方、地方の創意工夫、地方の考えというのをもっともっと色んなことで発揮できるようにする。国はなるべく地方にやってもらうという、事務については地方にお任せする、というのが1番効率的にできるんではないか。

今回も規制改革の私の直轄チームに色んな都道府県市町村から、専任の方を出していただきました。もう手弁当で出していただきましたが、本当に色んな都道府県市町村の要望を持ってきていただいて、それをなるべく実現できるように、彼らを中心に各省庁と交渉して、結構色んなことができたのではないかと思う反面、こんなことがまだあるのかというのもたくさんありました。やはり、地方自治というならば、地方に裁量を渡していく、地方に財源を渡していく、ということができなければならないと思っています。

――安倍内閣で外相をおよそ3年間お務めになりました。もし総理になりましたら、外交政策について、特に韓国を含む近隣国に対する外交にどのような計画がありますか。外交のビジョンについて大臣のご意見を伺いたいです。

日本はG7の中で非常にユニークな立ち位置にあると思います。日本以外の各国はキリスト教をベースとした文明の上に成り立っている国ですが、日本はそこが全く違います。そういう意味で、私は外務大臣のときに、G7にしろ色んな会議に行くときに、アジア、中近東、アフリカといった国々の思いを代弁できる日本でありたいと思ってやってまいりました。

自由民主主義、基本的人権、法の支配、こうした価値観を共有して一緒に前に進みたいと思っておりますが、それぞれの国にはそれぞれの歴史というものがあります。一足飛びにみんなが同じことができるわけではありません。そういう中で、よちよち歩きであっても、同じ方向を向いて進もうとする国に、しっかりと寄り添える、そういう日本でありたいというふうに思っております。

「それなりの自信」はどこからくるのか

――先ほどの質問への答えの中で、「それなりの自信を持ってここに立っている」とおっしゃっていました。2009年以来、2回目の出馬かと思いますが、「それなりの自信」というのはどこからきているとお考えでしょうか。

私も今年で、初当選から25年になります。小泉純一郎内閣で総務大臣政務官、法務副大臣をやらせていただきました。麻生内閣のときには河野洋平議長のもと、衆議院の外務委員長というのをやらせていただきました。

安倍内閣では国務大臣として、国家公安委員長、規制改革・行政改革担当大臣として、あるいは外務大臣、防衛大臣として、また今回菅内閣では規制改革などに加えワクチン接種担当大臣という大きな現場を持った閣僚をやらせていただきました。それなりに成果を残してきたというふうに思っております。

――自動車のEV化の流れについて伺います。EV化はヨーロッパや中国を中心に加速しておりますが、一方で昨日、自工会の豊田(章男)会長から「一部の政治家からは全て電気自動車にすればいいという声を聞くが、それは違う」という発言がありました。一部の政治家というのが誰かは分からないですが、EV化と電動化というのは解釈も分かれる中で、パンフレットにあるエネルギー政策やカーボンニュートラルにもEV化は大きく絡んでくる話かと思います。この辺りのお考えをお聞かせください。

運輸部門においても、カーボンニュートラルというのは待ったなしだと思っております。私は選挙に出る前に自動車部品を作る会社におりました。4次下請けでしたけれども、トヨタに部品を納めさせていただいておりました。そういうことから振り返ってみると、電気自動車は部品点数も少ない、コストが大きく下がる可能性がある。

そういう中で自動車産業は日本の基幹産業であります。各社の戦略が誤ったものにならないように各社にしっかり努力をしていただきたいというふうに思っております。もちろん電気以外に水素ですとか、他の道もあるんだろうと思います。それぞれ得意分野があると思いますし、最終的にどういう姿になるのかというのは、部品から離れて25年になりますからよく分かりませんが、各社がそれなりの戦略を描いた上で、日本の自動車産業が未来にわたって成功することを祈りたいと思います。

――足下の経済対策と財政規律について。他の候補者からは数十兆円の経済対策が必要だとか、プライマリーバランスの目標を一旦凍結すべきだということも出ていますが、河野さんの考えは。

すでにGDPギャップは22兆円に膨れ上がっているわけです。最近の足下の状況を見ると、中国をはじめ様々な製造業にもブレーキ感が出ている中で先行きが正直よく見えない、そういう中で有事には財政ということは避けられないと思っております。どれぐらいの規模というのも大事ですけれども、物事を前に進める未来を見据えて、何をどこに投資するのか、どこに財政を出すのか、その議論をまずしっかりする必要があると思います。

スリランカ人女性・ウィシュマさん死亡事件について

――安倍前首相は新原発増設という主張をされていますが、河野さんは新増設に関しては今後認めるおつもりでしょうか。それから出入国在留管理庁に関連して、今年の3月6日、スリランカ人女性ウィシュマさんが収容中に亡くなられました。しかし今日も入管庁が映像の一部開示に弁護士の同席を拒んで、遺族は編集された亡くなる前の2時間映像も見られていない状況です。先ほどから森友改ざんと通じる話ですが、遺族は動画の全面開示を強く臨んでいます。野党は公約のひとつに全面開示を掲げていますが、総理になられた場合、ウィシュマさんの監視カメラの動画の全面開示、民事になりますと訴訟になった段階で入管庁が出しているような動画の1つでございますが、これをいち早くやるべきとお考えでしょうか。またウィシュマさんのように2007年以降、入管施設で亡くなられた方は17人にのぼります。入管庁の司法判断もなく、収容期限のない収容というのは国連の作業部会から国際人権法に反していると再三指摘を受けていますが、今後司法審査の導入や収容の上限設定など入管庁の改革が必要だとお考えでしょうか。

原子力発電の新増設は、現時点では現実的ではないと思っております。

入管の、いたましい事件ではありました。IOM(国際移住機関)の関係者を含めた外部有識者を入れた様々な議論が行われているんだと認識しております。その中で必要な改革を提言していただいて、それを実行していく必要があると思います。映像その他につきましては情報公開法の中で扱われていると認識しておりますが、その法律の枠組みの中で決めていくことだと思います。

――金融政策について。河野さんは行革推進本部長をやられていたときに、日本銀行に対して異次元緩和からの出口戦略を早い時期に市場と共有すべきというお考えを示していたと思いますが、現在のお考えはどうでしょうか。また先ほどインフレ率についてもお話がありましたが、2%の物価目標は維持すべきだとお考えでしょうか。

インフレ率というのは経済成長の結果からくるものと思っています。こういう状況の中でそれが達成できるかというと、厳しいものがあると思っております。

日銀の金融政策ですから、日銀にある程度お任せしないといけないのですが、日銀もマーケットとしっかりやりとりをしていただくというのは大事だというのは言うまでもありません。

――国民との情報共有とおっしゃいましたが、国民が最も知りたがっているのが森友問題の公文書改ざんです。ここをすっきりしない限り、政府への信用は戻って来ません。河野太郎ともあろうものが何に怯えているんですか。そんなに安倍さんの支援が欲しいんですか。はっきりしてください。

恐らく国民が今求めているのは、コロナにどう対応するのかというコロナに関する様々なデータなんだと思います。それを国民にきっちりとお示しをして、科学的な根拠を持った議論をしていくというのが今の政治に求められていることだと思います。

経済政策の原資、規模は

――経済対策の規模感について。今、新政権の経済政策への期待から株価が日経平均で3万円を超えています。これはひとつ河野さんへの期待と言えるかもしれませんが、岸田さんは国債を原資として補正予算を30兆円の前半と明言していますが、河野さんは総裁になられた場合、経済対策としてどれくらいの規模感を想定していらっしゃるのか。原資は国債になると思いますが、経済対策の規模感についてお聞かせください。

経済対策の原資は国債にならざるを得ないというのはその通りだと思っています。規模感については、もう少し研究させていただきたいと思います。

――河野大臣は人権を重視されるということなんですが、日本の対外的な批判として在日外国人に関する人権というのが批判されています。先ほども入管の問題が出てきましたが、たとえば技能実習生制度がアメリカから現在の奴隷制だと批判されています。また一方で日本は難民鎖国、難民を受け入れない国として悪名が高い。たとえば日本の難民申請者や、日本に定着して日本に暮らして日本の社会にとけ込んでいる人たちをアムネスティ、つまり在留許可を与えて働いてもらう、技能実習生制度は廃止するとかいう考えはないか。

技能実習は問題の多い制度だと思っています。私が法務副大臣だったときの副大臣PTをベースに特定技能という新しい制度を作りました。なるべくそういう方向へ速やかに移っていく必要があると思っています。難民認定については様々な問題が実際、現場ではあるようです。そういう問題をひとつひとつクリアして、日本としても世界の中で責任を果たしていく必要があると思います。

――総理大臣になられたら首相会見のあり方について、これまで国民の方からしても納得いかないところがありまして、菅さんの場合、説明力が少し足りなくて真正面から答えていなかったり、ちょっとはぐらかされたりとか色々あったと思うので、河野さんが総理になられたら、たとえば再質問はOKにするとか、インターネットメディア、ハフィントンポストとかバズフィードとか色々ありますからオープンにして入れるとか、改革してくれないですかね。防衛大臣のときには更問いOKだったじゃないですか。防衛大臣時代のスタイルを、総理会見でもしてもらえないでしょうか。

しっかり国民と対話ができるスタイルをとっていきたいと思います。それは記者会見もあるでしょうし、直接国民に語りかける、あるいはネットを通じてやりとりをする、様々な方法があるんだと思います。

――エネルギー政策で当面は原発の再稼働をしていくとのことですが、不祥事が相次いでいる柏崎刈羽原子力発電所について、再稼働は適当だと考えますか。お考えをお聞かせください。

そこは規制委員会をはじめ、しっかりと見ているんだと思います。そういうところのお墨付きなしに再稼働というのはありえないと思います。