※この記事は2019年10月01日にBLOGOSで公開されたものです

消費税が10%になった。低所得者層への対策だとかで軽減税率が導入されて、食品を中心に消費税8%の据え置き措置がとられたけどさ、何だか呆れるよな。ワケのわからない区分けがクイズみたいでさ、この軽減税率を説明するテレビも「さあこれは何%でしょう?」ってクイズにしてんだもん(苦笑)。

軽減税率は弱者の味方に見せかけた悪法

この軽減税率、弱者の味方という皮をかぶった悪法だよな。政治が庶民を混乱させる典型的な悪法だよ。俺はね、消費税増税ならすべて一律10%でいいと思ってる。全部10%。軽減税率はいらない。かえって混乱を招くだけ。だからキリよく10%。だって10%になれば1円玉を使う機会がほとんど無くなるだろ。そう思わない? 1円玉は面倒くさいよね。

こんなに1円玉使うようになったの、1989年に消費税3%が導入されてからだよ。それまでほとんどの日本人は財布に1円玉なんか入ってなかったよ。消費税導入で1円玉を使うことになって、その手間暇でこれまでかなりの経済効率が失われただろうし、ストレスをまき散らしてきたと思うよ。

俺は消費税アップを全面的に支持するわけではないけどさ、今回8%から10%になることで、1円玉を使う機会が一気に減るチャンスだったんだ。だけど結果はこの通り。軽減税率導入で相変わらず1円単位の消費活動だよ。

もし、軽減税率を導入せずに消費税が一律10%になってたら、シンプルという側面の経済効果が生まれてたはずだよ。どうせシンプルにするなら減税して5%でもいいし、税制を見直してかつてのように物品ごとの贅沢税を設けて消費税0%でもいいんだけどさ。

とにかく中途半端な税率で細かい計算を増やして、商店には新しいレジを導入させる負担を背負わせ、日常生活が煩雑になることってつくづくバカバカしいよ。キリのいい税率はストレスの少ない社会につながるはず。だからって消費税を15%とか20%に上げるのは勘弁だけどね。

確定申告の大混乱でストレスは増すばかり

ああ、この増税で確実に景気が冷え込むんだろうな。オリンピックに向けて日本じゅうが冷え込む。オリンピックは猛暑対策が問題になってるけど、この増税による景気冷え込みが政府が仕組んだオリンピックの猛暑対策だったりしてな(苦笑)。

えっ、なんだ編集部、オリンピックの前にまだ問題があるの? 軽減税率の導入で来年3月の確定申告で大混乱が起きる? ああ、食品を扱う個人商店や個人事業主は確定申告の書類が一気に複雑になっちゃうのか。国税庁から送られてきたガイド資料があるの? ・・・「消費税の軽減税率制度に対応した経理・申告ガイド~区分経理(記帳)から消費税申告書作成まで~」。どれどれ、パラパラ・・・、うーん、ちっともわかんねえな(笑)。

どういうことだ? 消費税が10%と8%の2種類になって、仕入れや売買や経費でそれぞれに区分して記入して、そこから控除を算出して、請求書やら領収証にも区分を分別して記載して・・・、おいおい、本当にこんな複雑な書類を作らないといけないの? 

ただでさえ確定申告って準備が大変だろ。ある程度の規模の企業は経理部があって、会計士や税理士という専門家が対応するとしても、この複雑な税制で去年よりも確実に仕事は増えるわけだ。さらに個人事業主で個人で確定申告する人は、この複雑な書類を作成するのに、今までよりさらに多くの時間を費やすことになるわけだ。うわあ、これは日本じゅうでストレスがたまるな。確かに大問題だな。

それに申告する側だけでなく、それを受ける税務署の役人も大変になるってことだろ。複雑になった税制を把握する勉強が必要だし、申告の相談に来た人に「ここはそうじゃなくてこう書いてください」って、それまで必要なかった説明ばかり増えちゃってさ、人は増えないけど仕事は増える、きっともううんざりしてるだろうな。

こういうわかりづらい税制にしたことで、それを逐一説明するパンフレットを作って、一軒一軒国民に郵送するハメになる・・・・、ここにも多額の税金が使われてるんだよな。いやはや本末転倒だな。どうしてこんなことになるんだろうね。軽減税率導入ってちっとも軽減じゃないよ、こんなことになって国民にストレスを増大させてるんだから。これは来年、確定申告する人はストレスで体壊しそうだな、心配だな。

結局、消費税増税で財布が苦しくなり、軽減税率で現場の対応が増えて苦しみ、さらに納税が複雑になって苦しむ。もはや三重苦のいじめだな。

新聞は軽減税率の対象に プライドより経営選んだ新聞

そもそもこの軽減税率、導入しようって旗を振ったの誰だっけ? 主に公明党? 全国にいる増税反対の公明党員や支持者に増税を納得してもらう為、この方策を持ち出したわけか。で、連立する自民党と「そっちを飲むから、こっちを飲んで」って具合に握りあった・・・。

そうして国民には、「消費税を10%に増税します。だけど低所得者には生活の負担が大きくなるからその対応策として、生活に欠かせない食品と新聞は税を8%のまま据え置きにする軽減税率を導入します・・・」か。

これ、本当に低所得者層の為にって考えるなら、「食品」と「新聞」なのかな? 生活に欠かせないものという考えがあるなら、ライフラインの「電気」「ガス」「水道」も増税するべきではないと思うよ。千葉で台風の被害が尾を引いたけど、災害に見舞われた時に真っ先に必要なのはライフラインだって改めて痛感したろ。それに通信も大事なライフラインだ。電話だメールだっていう通信に関わる費用だって増税すべきでないはずだ。だから今回の軽減税率ってただただ中途半端に見えるよ。

それらのライフラインを差し置いて「新聞」が軽減税率の対象になるって何だろうね? この現実には「あーあ、結局は上のほうでつながってるんだな・・・」って、かなりの国民が鼻白んでるよ。増税や軽減税率の問題を真っ向から批判するべき新聞が、「いろいろ言ってますけど、うちらは軽減税率扱いってことでどうかヨロシク」じゃガッカリだよ。新聞としてのプライドよりも収益を取ったってことだろ。今回こうして軽減税率にしがみついたことで、新聞は社会の公器としての信頼を著しく損なったんじゃないか。

新聞って年々部数を減らしてるんだろ、何かデータある? 新聞全体の発行部数のピークが1997年の約5377万部、それが2018年に約3990万部か。ということはこの20年で約1400万部減。すごい減り方だな。1400万部は現在の読売(約810万部)と朝日(約560万部)を合わせた数になる? おいおい、そしたらこの20年で今の読売と朝日がポッと消えちゃったようなもんじゃないか。切実だな。

人口減少の影響もあるんだろうけど、ネット時代になって新聞全体が衰退しているのは明らかだよな。大変だよな新聞社も。なに? 読売も朝日も大手新聞社は不動産事業で儲けてるって? 不動産が全体収支を支えてるのか。だったらなおさら新聞が軽減税率にしがみつくのは腑に落ちないよな。

ポイント還元は不親切の押しつけ

あと、消費税増税の対策で、カードで買い物するとポイント還元だとか言ってるけど、何のカードを使うと何%戻ってきてどうたらこうたら・・・あんなのお年寄りにはわからないよ。現役世代だって詳しいことは把握できてないんだろ。あれって親切をする為に不親切を押しつけてるみたいだよね。

それにお年寄りの日常は現金が中心で、カードとか使わない人ばかりだよ。これさ、病院の診察券でポイントが貰えたら良かったのに。それならお年寄りもしょっちゅう使うんだけどね(笑)

とにもかくにも今回の消費税増税、「政府はこういう対応をしますけど、わからない人は置いていきますから」、「お年寄りは長生きしてても、この社会はますます複雑で大変になるから、早いとこ死んだほうがいいですよ」って聞こえてくるよ。まあ、増税した以上は増税によって徴収された税金が、すべてきちんと社会保障に使われるかをチェックしていくしかないな。

(取材構成:松田健次)