※この記事は2019年02月19日にBLOGOSで公開されたものです

小室圭さんなあ、なんだか弱っちゃったな。母親と元婚約者の400万円云々のトラブルな。先月に文書で発表してたけど「金銭的な問題はすべて解決済み」って言われてもなあ。解決してたら一年以上もこの話続かないだろ。揉めごとの解決ってのは難しいもんだよ。俺から言わせりゃ眞子さま以外、登場人物がみんな「はじめの一歩」を間違ってるよ。

宮内庁の調査能力不足が招いた小室家騒動

まずは宮内庁だな。皇族のご結婚だからね。眞子さまもご結婚前は宮内庁の管轄下にある。一般人同士じゃないんだから、皇室側が相手側のことを調べて然るべしですよ。相手に対する調査不足。小室家のことをきちんと調べて、母親の人間関係を把握していれば、こんなに世間の目にさらされることなく事前に鎮火出来たかもしれない。

だから小室家側よりも、それを見抜けなかった宮内庁側に非がある。ちょっと振り返ってみようか。最初に眞子さまと小室さんの仲を2017年5月にNHKがスクープ報道した。そこから、いい話もネガティブな話も含めて週刊誌が小室圭さん関連の記事を次々に掲載。婚約内定会見が7月に設定されたけど、九州豪雨の被害を考慮して延期、会見は9月に行われた。そして12月に週刊女性が母親の金銭問題をスクープ。それから一年ちょっと経過して、先月小室さんが「金銭的な問題は解決済み」の文書を発表して、相変わらずの平行線で今に至るというわけだ。

週刊誌に書かれる前に宮内庁側が母親の問題を調査できていればよかったんだけどね。そういう調査力がないのかな。宮内庁御用達で腕のいい週刊誌記者をヘッドハンティングしたほうがいいんじゃない?(笑)。

あのね、ウチのかみさんは以前、三越で働いてたんだ。デパートガールだったの。勤務時代に陛下がご来店されるって時があって、その時に社員がみんな身上調査されたって言ってたよ。政治的思想とか宗教的信条とか調べたんじゃないの? 万がいち陛下に間違いがあっちゃいけないって。組織の対応が社員のプライバシーよりも優先された時代だからね。

さらに言えば、400万円の問題があらかじめ調査できずに、今のように世間に漏れてしまったとしても、それをこんなふうに泥仕合になる前に水面下で解決できるいい番頭さんが宮内庁にいたら良かったのにな。誰にも知られず、影のように動いて双方の仲裁をする。宮内庁御用達の番頭さん? 

番頭って言い方だと和風だけどさ、内々にトラブルを解決できる能力の持ち主ってことで言えば、まさに宮内庁のジェームズ・ボンドにイーサン・ハントだ。そんなカッコいいのがいたらいたで、眞子さまもそっちにホレちゃったりしてね(笑)。それも問題だけどな。

基本的には400万円の話なんだからな。4千万でも4億でもないんだから。400万なんだから。今の時代に一生返せないような額面ではないよな? 一般人が融通出来ない話じゃないと思う。だから、いい番頭さんが小室家側と元婚約者側とお互いの意見をまとめてね、互いに一歩引く処は引かせてさ、意地になってる部分を歩み寄らせていれば、もっと早く落ち着いたんだと思うよ。先々のことを思えば、宮内庁にそんなふうに役立つ人材が入ることを願うよ。

小室圭さんの母、そして元婚約者のミス

次は小室さんの母親だ。息子と眞子さまの婚約の話が持ち上がった時に、この母親は自分の過去を秋篠宮家には黙ってたんだろ。それが見栄なのか虚栄心なのか。そりゃあ、誰だって自分を自分以上に見せたいだろうよ。自分のみっともないことを口にして相手に嫌われて、目の前の夢のような話が消えて無くなったら・・・ってなるだろうよ。

でもさ、この母親は想像力が足りてないんだな。大人が本気で調べたらさ、大概のことはわかっちゃうってこと。だからこの母親はさ、週刊誌に書かれる前に「ウチはこれこれこういう家で、私は過去にこういうことがありました。でも、息子はこういうことですので、それでも良ければお話をおすすめください」って、前もって洗いざらい伝えていれば、宮内庁が事前に何かしらの手を打つことが出来たかもしれないんだ。さらに言えば、結果として秋篠宮家との信頼関係もマイナスに働いてしまった。この母親は「はじめの一歩」を間違えたんだな。

そして元婚約者の男。そりゃあさ、まさか前に付き合って婚約までして婚約解消した女性の子がね、皇室の女性と恋仲になるなんて思いもしないだろうよ。それをニュースで知ったら、「おいおい、小室家はいずれ裕福になるのか? だったらあのときさんざん援助したけど、結局実らなかったんだ。向こうばかりいい思いってのは納得いかないね。だったら返してもらわなきゃ腹の虫がおさまらないぞ」と思ったんだろうね。

つい昨日までは自分と同じ庶民だったのに、皇室と縁戚になって稀に見る幸福を掴みそうってなったら、やっかむのも致し方無いのかね。400万ぐらい返してもらわないと腹の虫がおさまらない!ってね。

だけどさ、これは世紀の婚約話であってね、それはそれ、これはこれで分けて考えないと。男は金に綺麗じゃなきゃダメだよ。自分自身が結婚しましょうって思って婚約して、その流れで使った金だろ。それが学費だの留学費用だの生活費だの内訳は関係ないよ。借用書のない金なんだから。

そりゃあ、あの母親からしたら「借りた」ではなく「頂いた」になるよ。よく言えば「ちゃっかり」、わるく言えば「たかり」だな。

まあ、金っていうのは使い方如何で人間関係を左右するっていう教訓だな。例え10円だろうと人の気持ちの問題になったら、こういうことが起きる。ヘタな貸し借りは人間関係にヒビを入れるよ。この400万円でこんなに揉めごとになってさ、ストレスも相当なもんだろ。小室家側にも元婚約者側にも金額以上に高くついてしまったってことだ。

いっそのこと、元婚約者男性と小室家の母親と両方出て記者会見して、それでスッキリさせるっていうのはどうだい? で、その会見を見学できるチケットをひとり1万円で400枚売るの。それでお金は返しちゃう。なに? そうなったら俺が司会すればいいって? バカヤロウ、俺が司会なんかやったらろくなもんじゃないよ。いつもの調子で、ジジイ、ババアって言っちゃうかも知れないぞ(笑)。

でね、400万円の問題があってここまで一年以上お互いに平行線で引っ張ってきたけどさ、ここで元婚約者の男性がね、もっと大きな気持ちで若いふたりの愛を測ってあげてさ、「色々ありましたが、考え直して一切白紙でけっこうです。あとはかつてご縁のあった小室圭君の将来を陰ながら見守ることにいたします」とかなんとか言ってさ、スッと身を引いてごらんよ。きっとね、金には代えがたいものを受け止めることになるよ。それはね、男気だよ。

そしたらその瞬間、元婚約者男性の株がグッと上がる。逆に「金銭的な問題は解決済み」と発表した小室圭さんの株はグッと下がる。そうなったら世論は「ああ、小室さん意地張っちゃったな、あれじゃプリンセスの旦那には値しないよな」って冷めちゃうと思う。

そうなる前に出来ることは、相手の男性よりも前に小室圭さんが男気を見せないとな。ここはお母さんの過去がどうこうではなく、自分自身の問題としてね、「周囲の意見を深く再考しまして、相手方の望まれる方向になりますよう、しばらく時間を頂戴しますが、私が責任を持って応じます」と。

世間が納得するのは、小室圭さんが汗水垂らして働くことだな。誰からの援助でもなく、自分が働いた金で相手に誠意を見せる。法律の学校通いながらだってバイトできるだろ。それで一年に100万ずつ返せば4年だよ。利息つけても5年で済むよ。

落語にはね、ホレた花魁にひと目会うために、若い職人が一心不乱に働くっていうラブストーリーがあるよ。描かれるのは、会いにいくだけでも大金が必要な世界。「幾代餅」の清蔵は1年働きづめて幾代太夫に会いに行く。「紺屋高尾」の久蔵は3年働いて高尾太夫に会いに行く。その一途な気持ちが花魁の心を射抜いてハッピーエンドになるんだ。

どちらも、ひと目ボレしてしまった女性に会いたいが一心で、若者がわき目もふらずに思いを貫く純愛物語だ。高い高いハードルを乗り越えて男女が結ばれる・・・、これは小室さんにも多くの若い男女にもいちど聴いてほしい古典落語だよ。

紫綬褒章の脚本家は2人のためにシナリオを

ああ、若い二人は互いに恋しあって結婚したいと思ってる。だけど家同士の事情がそれを許すわけにいかない。ロミオとジュリエットだな。二人が周りに追い詰められないようにしたいね。

昔ね、愛新覚羅慧生(あいしんかくらえいせい)って娘さんが満州国皇帝溥儀の弟の娘でね、学習院の学生と恋して天城山で心中したんだよ。19歳の若さだった。話題になってね、映画にもなったな。「天城心中 天国に結ぶ恋」(1958年)って。そんなことにならないように、若い二人にはソフトランディングになってほしいね。お互いの思いが叶う筋立てを何とかしてやりたいよ。

宮内庁にいい脚本家はいないの? スピーチライターはいるだろうけどシナリオライターはいないか。なら、紫綬褒章を受けた脚本家集めて一晩会議したら、いい解決のシナリオが出来るんじゃないか。こういう時の為に紫綬褒章があるんだから(笑)。橋田寿賀子、倉本聰、三谷幸喜が紫綬褒章を受賞してるのか? もう、それだけいれば大河ドラマ一年分すぐ書けるよ。まあ、そんなに長くなくていいか。若い二人が何とか祝福される道筋を立ててあげればいいよな。

小室圭さんが男気を見せる、眞子さまが幸せになる、皇籍を抜けたあとはそっと普通に暮らす。国民にとってはハッピーエンドが一番だよ。

(取材構成:松田健次)