わっきゃい氏Twitterより

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5月4日、Twitterにこんな投稿があった。

《外国人の喧嘩止めたら小田急電鉄から「いいヤツ証明書」もらった》

ツイートには「ありがとう Thank you」「小田急→お客さま」と書かれた、駅名標を模したカードの写真が添付されていた。そのカードには「ご厚意に感謝いたします」という言葉も綴られている。小田急電鉄はトラブルを解決してくれたことに感謝し、カードを渡したようだ。

すると同ツイートは、ネットで大きな話題を呼び41.5万回以上の“いいね”を記録。《小田急って粋な事しますね》《良いアイディア》《止めたご本人も素晴らしいし、小田急も素敵な取り組みですねぇ》といった声も上がっている。

このカードの名前は「Thank you カード」という。そこで本誌は Thank you カードについて、小田急電鉄の広報に詳しく話を聞いた。

ーー Twitter で Thank you カードが話題になっているのをご存じでしたか

「当社駅係員の間で話題になっておりました」

ーー現在40万以上の「いいね」を記録するほどの反響を呼んでいますが、どう思われますか

「当社の取り組みに対して、多くのお客さまに共感いただき大変嬉しく思います」

ーーなぜこういったカードを作成し、配布することになったのでしょうか

「通勤中などでお忙しい中、忘れ物をお届けいただいたことへの感謝の気持ちと、『当社社員が責任をもってお預かりします』という思いをお客さまへお伝えしたいと考えたことがきっかけです」

ーーどなたが考案したものですか。また、具体的に作成するキッカケになった出来事があればご教授ください

「駅係員が所属する部署内で公募して、決定いたしました」

ーー主にどういった場合に渡していますか。

「主に、お忘れ物・落し物をお届けいただいた方や、急病人の看護などにご協力いただいた方へお渡ししています。※駅の混雑状況等により、必ずお渡しできている訳ではありません」

ーー年間どれほどの人数にカードを渡していますか

「各駅で配布しやすくするため、配布枚数等の集計は行っておりません」

ーーカードのおかげで、直接的に何か“良い影響”が生まれたことはありますか

「お客さまへ感謝の言葉をお伝えしやすくなったことや、お客さまと会話させていただく機会の増加につながりました」

■「“君はいいやつ”と正式に認められた気分!」とツイ主も大喜び

さらに、本誌は冒頭のツイートをしたわっきゃい氏(23)にも取材をした。実は、彼はサンミュージックプロダクションに所属するお笑い芸人。またチャンネル登録者数64万人のYouTuberでもある。まずわっきゃい氏は、ツイートにあった“喧嘩“についてこう切り出した。

「正確にいうと小田急の新宿駅に外国人の方が2人いらっしゃって、一触即発とまでは言わないものの、どちらもイライラして落ち着かない様子でした。そして、お2人が英語で話されていることに気づきました。

僕はもともとアメリカのロサンゼルス出身で、高校を卒業するまで英語で会話するのが当たり前でした。ですから2人の間に入って、状況を整理してあげたんです」

わっきゃい氏曰く、2人の話を聞くと「新宿駅への行き方を道ゆく人々に尋ねたものの、言葉がうまく伝わらず“たらいまわし”に。そのため、どうしても新宿駅に辿り着くことができない」とのことだったという。

さらに、わっきゃい氏は話すうちに「どうやら2人はJRや小田急などが集結している新宿駅というより、すこし離れたところにある、西武線の新宿駅に行きたいようだ」とも気づいたという。そして、こう続ける。

「でもね、僕はバイリンガルですから(笑)。それに、これも奇跡みたいなことなんですけど、この日、僕は西武新宿方面にある劇場でライブをすることになっていたんです。ですから、西武新宿まで案内するのに“うってつけ”だったんです(笑)。すると、その様子を見ていた小田急の駅員さんから『ありがとう』と書かれたカードを頂いたんです」

とはいえ、怒っているような2人に割って入るとはーー。「怖くはありませんでしたか?」と問うと、わっきゃい氏はこう話した。

「でもね、実は僕、格闘家でもあるんです。空手の全米オープン1位なんです(笑)。もう、この日のために生まれてきたようなものですよ! その上、カードまでもらって……。“君はいいやつ”と正式に認められた気分です!」

「カードを透明のスマホケースにいれて、見せびらかしています(笑)」というわっきゃい氏。そして「思わぬ反響もあった」とし、こう明かす。

「さっき小田急を降りたときに『このカード、Twitter で見ました』と声をかけられたんです。ですから『あのツイート、僕なんです』って伝えておきました(笑)

僕はもともと小田急が大好きで、このカードの存在も知っていました。ですから、『ついに貰ったぞ!』という気持ちでいっぱいです。それに“いいことをした証”が形として残るのって、単純にすごく嬉しいんですよね。

ツイートには『私も持っています!』というリプライが写真付きで、たくさん届きました。みなさん、カードをもらった喜びが忘れられないから送ってくれたのかなと思います」

小田急電鉄は、今日も“いい人たち”に支えられているのかもしれない。