ゲーム配信プラットフォーム最大手のSteamが行った調査から、「ゲーマーがWindows 11を採用する速度はWindows 10に比べて約半分」という結果が明らかになっています。この状況が一体なぜ生じているのか、IT系ニュースサイトのArs Technicaが解説しています。

Explaining why gamers are adopting Windows 11 more slowly than Windows 10 | Ars Technica

https://arstechnica.com/gadgets/2022/04/gamers-are-adopting-windows-11-about-half-as-quickly-as-they-did-for-windows-10/

Steamはユーザーに対して「Steamハードウェア&ソフトウェア 調査」という月次調査を実施しており、OSやグラフィックボードの種類、DirectXのバージョン、VRヘッドセットの所有率などゲームに関わる様々な統計情報を収集して一般に公開しています。

Steamハードウェア&ソフトウェア 調査

https://store.steampowered.com/hwsurvey/Steam-Hardware-Software-Survey-Welcome-to-Steam

そして、この調査によって「Windows 11」の普及が進んでいないことが明らかになっています。Ars Technicaが作成した「Windows 11が登場した2021年9月以降のOS使用率のグラフ」が以下。Windows 11の登場以降、Windows 10の使用率(紺色)は20%弱低下し、Windows 11の使用率(オレンジ色)が20%弱上昇していることから、Windows 10からWindows 11への移行が進んでいることが見て取れますが、その移行速度は緩やか。



「Windows 10が登場した2015年6月以降のグラフ」が以下。上述のWindows 11と揃えるため、期間の長さは半年になっています。こちらのグラフを見ると、Windows 10は登場から2カ月ほどで爆発的に移行が進み、使用率は半年時点で30%超に達していることがわかります。



この結果について、Ars Technicaは「Windows 11のシステム要件」と「Windows 8/8.1の不評具合」が原因だと指摘しています。Windows 11のシステム要件は、1GHz超のコアを2個以上搭載したCPUや4GB以上のRAM、そして「トラステッド・プラットフォーム・モジュール(TPM)」というハードウェアチップが必須とされており、そのハードルの高さは発表時に話題を呼びました。Ars Technicaの指摘は、このシステム要件のせいでWindows 11を導入したくてもできないユーザーが一定数いるのでは、という内容です。

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もう1つの原因だとArs Technicaが語るのが、「Windows 8/8.1はそもそも出来が悪かったため、Windows 10への移行がスムーズだった」という点。Windows 10にはWindows 8/8.1で不評だったUIを修正するという目的があったという点や、そもそもWindows 8/8.1を嫌って移行を行わなかったWindows 7ユーザーが多かったという点を踏まえて、Ars Technicaは「控えめに言ってもWindows 8/8.1は愛されていなかった」とまで言及しています。

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By JasonTromm

そのため、今回の「ゲーマーがWindows 11を採用する速度はWindows 10に比べて約半分」というのは、Windows 10の採用速度が速かったため生じたのでは、というのがArs Technicaの指摘です。Ars TechnicaはMicrosoftが2015年にWindows 10を「Windows 最後のバージョン」と言い切っていた点に触れて、「Windows 11への移行は、誰も文句を言っていないWindows 10からの離脱を意味するためはかどっていない」と記しています。