3打点を挙げチームの勝利に貢献したカブス・鈴木誠也【写真:AP】

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1死一、三塁で154キロを右翼へきっちり打ち上げた

■カブス 9ー0 ブルワーズ(日本時間10日・シカゴ)

 カブスの鈴木誠也外野手が9日(日本時間10日)、ブルワーズとの開幕カード第2戦で、メジャー初打点の犠飛と初の適時打、そして押し出し四球を選び3打点を稼ぐ活躍でチームの2連勝に貢献。本拠地リグレー・フィールドのファンを魅了した。

 前日8日(同9日)の試合は悪天候のため中止。スライドしてマウンドに上がったのは、昨季のサイ・ヤング賞投票で5位に入った長身右腕、ブランドン・ウッドラフ。重い球質の快速球を軸に押してくる相手に、鈴木は2度の得点好機で自軍に勢いをつける2打点を挙げた。

 まずは、1死一、三塁で迎えた1回裏の第1打席。カウント2-2から96マイル(約154キロ)の内に入りきらない甘めのツーシームを打ち右翼へきっちりと打ち上げた。

「あの場面は最低限、フライを上げたいと思っていたので。でも、上げても戻されて浅いフライになるのが嫌だった。しっかり振れたらいいなと思っていたのでよかったです」

 リグレー・フィールドには春先の名物、寒風が吹き荒れた。その風が、練習時から一転。試合開始直後からは右翼からホームへの逆風に変わっていた。この状況で稼いだメジャー初打点だったが、飛距離を出すために、相手の剛球を力任せに振っただけの一打ではなかった。

 鈴木は言った。

「自信のある真っすぐでくると思っていたんですが、速い球なので力で自らいってしまうとダメなんで。軽く振ろうと思って反応できたっていう感じですね」

中前適時打は“詰まらせて落とす”高い技術で記録した

 読みが当たった一球だからこそ、打ち損じを誘発する必要以上の力みは払いのけた。この意識を確かにしたのは、ボールを捉える2球前の空振りだった。鈴木は、外角96マイルの直球をフルスイングしている。メジャー初打点は、「しっかり振る」と「力で自らいかない」という動と静のさじ加減が引き出した。

 培ってきた内角高めの速球を“詰まらせて落とす”高い技術で初の中前適時打も記録した。3回裏1死一、三塁で迎えた第2打席を鈴木はこう振り返った。

「ああいう勢いのあるインサイドのキツキツの球っていうのは、なかなか芯で打つのは難しい。あそこは詰まって落とすっていうイメージでずっとやっているので。そのイメージ通りではないですけど、今までやってきたことがしっかりできたかなっていう感じですね」

 元来、押し込む右手が強いと言う鈴木だが、体の左側の使い方次第で弱点にもなる。広島時代から地道に取り組んできた体の開きを最後まで我しきることが如実に映る1本だった。

 開幕から鈴木が全9打席で目にしたのは計41球。うち放ったファウルは5球。その中に左方向へのものは一つもない――。自分の打撃を知る打者、鈴木誠也に興味は尽きない。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)