Steamを運営するValveがゲーム開発者に送信したメールにより、ウクライナ・ロシア・ベラルーシの開発者が2022年3月に受け取るべき収益の支払いが滞っていることが分かりました。Valveは、同社が支払いに使用している銀行が送金規則に新しいルールを追加したことで、手続きが複雑化してしまったのが原因としています。

Game developers in Ukraine hope Steam will be able to pay them soon | PC Gamer

https://www.pcgamer.com/uk/steam-ukraine-russia-payments/

Valve says sanctions blocking payments to Steam devs in Ukraine, Russia - Polygon

https://www.polygon.com/23003359/valve-steam-ukraine-russia-developers-bank-regulations-payment

江戸時代の日本を舞台にしたアクションゲーム「Katana Kata」などを手がけるウクライナのインディーゲーム開発者・Stas Shostak氏は2022年3月18日に、Valveから収益の支払いが遅延するとの通知を受け取ったとTwitterで報告しました。このメールには、「現環境では、ベラルーシ・ロシア・ウクライナに送金できません」と書かれています。2022年2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻について「環境」と遠回しな表現が使われていることや、ウクライナの開発者らが最も支援を必要としている時期であること、文面があまりにも簡潔なことから、この通知には非難が集中したとのこと。



別のウクライナのインディーゲーム開発者であるTernox Games氏は、「私の国がロシアに攻撃されたので、それを理由に私たちの収入源を奪うことにしたのでしょうか?」とValveを批判しています。



Valveは、改めてShostak氏らに送信したメールの中で、「先週、私たちの銀行から、ロシアとウクライナの口座への全送金について、仲介銀行の情報を提供するよう求めるとの通知がありました。さらに、ベラルーシへの支払いもできなくなります。私たちは、新しいルールを全て理解し、お客様からこの情報を収集し、銀行に送信するためのルート作りに取り組んでいますが、作業の完了には時間がかかるため、3月末に予定されている支払いには間に合わない見通しです」と述べて、送金できない理由の詳細を説明するとともに最初の通知が説明不足だった点について謝罪しました。



Shostak氏はこれについて、「失礼な物言いで申し訳ありませんが、そういうことなら最初からそう言って欲しかったです」とコメント。Ternox Games氏は「要するに待つしかない、今月は支払いがないということですね。ご説明ありがとうございます」と述べました。

4月に入った記事作成時点でも、3月分の収益の支払いについてはめどが立っていないとのこと。Shostak氏はゲーム専門メディアのPC Gamerに対し、「4月に支払われるのかはまだ分かりません。彼らは本当に銀行とのやりとりで問題を解決するのでしょうか。それとも、ウクライナは切り離されたままになるのでしょうか。私を含めて、何人かのゲーム開発者はただ待っていますが、何人かは次の支払いを確実に受け取るために外国に銀行口座を開設しました」と話しました。

Steamでゲームを配信しているウクライナのゲーム開発者のうち、支払い遅延の影響を受けている開発者がどのくらいいるのかは不明です。また、ロシアやベラルーシの開発者も同様に支払いが滞っていますが、両国の場合は経済制裁など別の要因も絡んでいます。

PC Gamerによると、アメリカによる制裁措置により、ロシアのSteam利用者はSteam ウォレットへのアクセスが制限されているとのこと。また、CD Projekt傘下のゲームストアであるGOGやMicrosoft、ソニーもロシアとベラルーシでのゲーム販売を全面停止することを発表しています。

また、ゲーム販売プラットフォームやゲーム機メーカーだけでなく、Ubisoft・EA・Epic Games・Activision Blizzard・Nianticなど各ゲーム開発企業も、相次いでロシアでのゲーム販売や課金の停止を打ち出しています。

ロシアでのゲーム販売をActivision BlizzardとEpic Gamesが停止 - GIGAZINE



by Tarcil Tarcil