超高性能チップ「M1 Ultra」を搭載した据え置きmacOSマシン「Mac Studio」が、2022年3月9日に開催されたAppleイベントで発表されました。このMac Studioはユーザーによるストレージ交換が不可能であることがアナウンスされており、実際に交換の可否を検証した結果、ハードウェア的には交換可能であるもののソフトウェアロックによって交換後のストレージが認識されないことが判明しました。

New video shows Mac Studio is upgradable (but Apple blocked it in software) - AppleTrack

https://appletrack.com/the-mac-studios-upgradability-has-been-locked-in-software/

Mac Studioは最大20コアCPU・64コアGPUのM1 Ultraを搭載可能な据え置きマシンで、Appleは高性能かつ静音動作を実現したプロ向けマシンとしてアピールしています。Mac Studioの発表時に公開された情報は、以下の記事で確認できます。

M1 Ultra搭載で最大93万9800円のプロ向け「Mac Studio」とA13 Bionic&5K Retinaディスプレイ搭載の「Studio Display」が登場 - GIGAZINE



そんなMac Studioは注文時にストレージ容量をカスタマイズでき、記事作成時点では最大8TBまでのSSDを選択可能です。ただし、注文ページには「Mac Studioのストレージにユーザーがアクセスすることはできません。将来さらに多くの容量が必要になると考えられる場合は、より大きな容量で構成することを検討してください」という注意書きが記されており、ユーザーがストレージを交換することは不可能であることが強調されています。



上記の通り、Mac Studioのストレージ交換は不可能とされていますが、Mac Studioの分解を試みたユーザーからは「Mac Studioのストレージは、ハードウェア的には交換&増設可能な設計になっている」という報告が上がっていました。そこで、テクノロジー系YouTuberのLuke Miani氏は実際にMac Studioを分解して、ストレージ交換&増設の可否を検証しました。

What happens if you try to UPGRADE a $5,000 Mac Studio? - YouTube

Mac Studioを分解すると、赤枠の位置にSSDが現れます。



このSSDは簡単に取り外し可能。



また、Mac Studioには今回SSDが装着されていた部分とは別にSSD取り付け部が用意されています。つまり、物理的にはSSDの交換や増設が可能というわけ。



実際にSSDを増設できるのか確かめるべく、取り外したSSDを画面手前の取り付け部に戻し、さらに別のMac Studioから取り外したSSDを画面奥の取り付け部に装着します。



Mac Studioを組み立て直して電源やディスプレイと接続し、電源をONにしますが……



インジケーターランプが点灯し、電源が入りませんでした。つまり、物理的にSSDを増設してもソフトウェアが異常を検知して起動を妨げるようです。



次に、2台のMac Studio間でSSDを交換し、増設ではなく交換の可否も検証しましたが……



SSDを2台のMac Studio間で交換した場合も、Mac Studioは起動しませんでした。



Mac Studioでストレージの交換&増設が不可能な現状について、AppleTrackは「これは、Appleが『修理する権利』を意識していないことを示す明確なメッセージです。ただし、Appleが大きな反発を受ければ、ソフトウェアロックに変更を加える可能性があります」と述べています。

また、テクノロジー関連メディアのThe Vergeは、2019年に登場した「Mac Pro」ではストレージの交換手法が公式提供されている点を挙げ、Appleに対してMac Studioでも同様にストレージ交換手段を提供するように求めています。