フードエッセイスト・平野紗季子が考える食の視点「“食の幸福の部分”だけを切り取り続ける発信はしたくない」
UoC UNIVERSITY of CREATIVITY 共同編集長の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするInterFMの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。
3月16日(水)の放送では、フードエッセイストの平野紗季子さんがゲストに登場。食の記録を残すようになった転機や、食の情報を発信する上で心掛けていることを語ってくれました。
雑誌「Hanako」(マガジンハウス)や「POPEYE」(マガジンハウス)などでの執筆に加え、お菓子ブランドのプロデュースやPodcast番組のメインパーソナリティなど、食文化を豊かにするさまざまな活動をおこなっています。
◆食の記録を残すようになったきっかけは?◆
Misa:元々、平野さんは博報堂にいて私と同期なんですが、彼女の食に対する愛情は本当にすごいんです。「この世にある不幸な食べ物をなくしたい」みたいなことを言っていたのを聞いて感動しました。最近はどういうことを考えているのか、どういう活動をしているのかを聞いていけたらいいなと思います。フードエッセイストの平野紗季子さんです。こんばんは!
平野:こんばんは。
Misa:いつも平野さんのことを「さきちょん」と呼んでいるので、今回もさきちょんと呼ばせてもらいますね(笑)?
平野:もちろん(笑)!
Misa:さきちょんは(博報堂に)入社したときから、ブロガーとしてめっちゃ活躍していて、周りからは「アルデンテの子」って言われていたんですよ。
平野:大学4年生のときに本を書いていて、入社した4月に「生まれた時からアルデンテ」(平凡社)というフードエッセイを出版させていただいたんですね。それで、博報堂内では「アルデンテさん」みたいに呼ばれるようになりました(笑)。
Misa:そうそう(笑)。さきちょんがなんでこんなに食にこだわりがあるのか聞いたことがあるんですけど、けっこう根深いんですよ。
平野:そうだね(笑)。小学生の頃、福岡から東京に引っ越してきて、そのときに初めてレストランというところに行ったんですよ。
Hide:福岡時代はファミレスにしか行ったことがなかったとお聞きしました。
平野:福岡時代は「ロイヤルホスト」が大好きで、家族で何かあるたびに行っていました。私自身、今でも大好きなファミリーレストランなので、一緒にお仕事をさせてもらったりしています。そういう体験の先に、私がレストランというものに出会ったんですね。家のご飯や学校の給食とはまったく違うし、ライトは蛍光灯ではないし、お店の人が私のことをお姫様扱いしてくれたりして、食体験のすべてに感動したんです。
Misa:うんうん。
平野:それまでは夢の国と言えば「ディズニー(ランド)」って感じだったんですけど、私にとっての夢の国はレストランでした。食に対して夢を持つようになって、食のことがすごく好きになりました。
Misa:食体験を日記で書いているって聞いたんだけど、どれぐらいの勢いで書いているの?
平野:レストランの食体験から給食に至るまで、あらゆる食べ物に対することは記録しています。
Hide:日記はいつぐらいから書いていたんですか?
平野:小学生からですね。
Hide:じゃあ、日記はノートに?
平野:そうです。
Misa:日記を書くようになったのはなぜ?
平野:レストランに家族で行くじゃないですか。家に帰ってきて次の日の朝に起きるとお腹が空いている。そのことがものすごく悲しかったんですよ。「なんで食べ物はおもちゃとかアクセサリーみたいに宝箱にしまっておけないんだろう」っていう、食が“消え物”であることへの絶望がすごく強かったんです。なので、食の記録を残すために日記を書くようになりました。
Misa:すごい。儚いものを残そうという意思があったんだ。
平野:その気持ちがベースにあって、今も続いているっていう感じですね。
◆心から行きたいと思う店に出向くことを重視◆
Hide:インタビューをけっこう読んだんですけど、おしゃれな場所だけじゃなくて自分の視点でいろんなところに行っていますよね。
平野:そうですね。食べ物にまつわる文章を書いていると、編集者の方と新しい食事のお店の話題になりがちなんですね。「ここ行きましたか?」って言われたところがちょうど近所のお店だったので、「行きましたよ。すごくよかったです」と伝えたんです。そうしたら、「(見つけるのが)早いですね!」って言われて。
でも、「早いことに何の価値があるのかな?」ってそのときに感じちゃったんですよ。「早くても遅くても“いいお店”はある」っていう、自分の物差しをちゃんと持っていろんなものに出会っていきたいという思いがあります。「新店がオープンした」とか「流行っているから」っていうのを理由に取材はしなくてもいいのかな、という気持ちです。
Hide:そういうお店って、みんなが取材に行きますもんね。
平野:そうなんですよ。そこで競い合っても仕方がないのかなって気がします。
Hide:違う場所に、独自の視点でスポットを当てたほうが価値がありますもんね。
平野:そういうことを自然とやってきているのかなって気はしますね。
◆食を“幸福”という視点だけで発信しないように心掛ける◆
Misa:「この世にある不幸な食べ物をなくしたい」って初めて聞いたとき、心に刺さって「なんていいことを言うんだ」って思ったんだよね。
平野:確かにそういうことを言っていたけど、ちょっと壮大過ぎる言葉かなって思ったから、今はあんまりそういう言い方はしていないんだよね。ただ、少なくとも“食の幸福の部分”だけを切り取り続ける発信はしたくないなとは思っています。
世の中には食べるって情報だけで完結させるものがとても多いけど、食と自然資源って表裏一体なんですよね。食料消費や食料生産にも通じている話なんです。
Hide:うんうん。
平野:そういうことをちゃんと示せるように心掛けて、これからも言葉を発信していきたいなと思っています。
◆自身から生まれた“感動”を大切に扱う
Misa:さきちょんに質問です。ワクワクする社会創造のタネって何ですか?
平野:まず何よりも自分が感動することかな。一個人として、出会った現象とか起きていることに対して心がちゃんと動くことが大事だなと思っています。いろんな場所や食に出会えば出会うほど、感動がすごく増えてくるんですよ。
最近では、そのことをとても実感しています。「おいしいものを食べ過ぎたら、何を食べても感動しなくなっちゃうんじゃない?」って言われることがあるんですけど、真逆なんですよ。
Misa:おお。
平野:いろんなことに対する感動がどんどん増えていっています。そこから「(感動を)受け取ったからには何かしなきゃ」って気持ちになっていきますね。
Misa:さきちょんが感動したものをエッセイやいろんなもので発信することで、その思いがみんなにどんどん広がっていったりするんだろうなあ。
平野:そういう部分はあるかもしれない。
* * *
UoCでは、3月27日(日)に「創造性特区をつくろう」プロジェクトとその関連領域(地方創生×創造性)にフォーカスした、オンラインイベントを開催します。「創造性特区DAY | 地域の創造性をブーストしよう volume01」の詳細と、参加の申し込みは公式サイト https://uoc.world/event/detail/?id=2a_mfvjyiをチェック。
次回3月23日(水)は、経産省・環境経済室長の梶川文博さんがゲストに登場します。お楽しみに!
番組でお届けしたトークは音声サービス「AuDee」 https://audee.jp/program/show/100000316と「Spotify」 https://open.spotify.com/show/6biaO40gUuf4gbI2QhdTsL?si=C2-xOifkQz230V6X514UlAでも配信中。ぜひチェックしてみてください!
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▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック! https://www.tfm.co.jp/link.php?id=9377
聴取期限 2022年3月24日(木)AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です⇒詳しくはコチラ https://www.tfm.co.jp/listen/#radiko
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:hhttps://www.interfm.co.jp/mandala
3月16日(水)の放送では、フードエッセイストの平野紗季子さんがゲストに登場。食の記録を残すようになった転機や、食の情報を発信する上で心掛けていることを語ってくれました。
(左から)Hide、平野紗季子さん、Misa
雑誌「Hanako」(マガジンハウス)や「POPEYE」(マガジンハウス)などでの執筆に加え、お菓子ブランドのプロデュースやPodcast番組のメインパーソナリティなど、食文化を豊かにするさまざまな活動をおこなっています。
◆食の記録を残すようになったきっかけは?◆
Misa:元々、平野さんは博報堂にいて私と同期なんですが、彼女の食に対する愛情は本当にすごいんです。「この世にある不幸な食べ物をなくしたい」みたいなことを言っていたのを聞いて感動しました。最近はどういうことを考えているのか、どういう活動をしているのかを聞いていけたらいいなと思います。フードエッセイストの平野紗季子さんです。こんばんは!
平野:こんばんは。
Misa:いつも平野さんのことを「さきちょん」と呼んでいるので、今回もさきちょんと呼ばせてもらいますね(笑)?
平野:もちろん(笑)!
Misa:さきちょんは(博報堂に)入社したときから、ブロガーとしてめっちゃ活躍していて、周りからは「アルデンテの子」って言われていたんですよ。
平野:大学4年生のときに本を書いていて、入社した4月に「生まれた時からアルデンテ」(平凡社)というフードエッセイを出版させていただいたんですね。それで、博報堂内では「アルデンテさん」みたいに呼ばれるようになりました(笑)。
Misa:そうそう(笑)。さきちょんがなんでこんなに食にこだわりがあるのか聞いたことがあるんですけど、けっこう根深いんですよ。
平野:そうだね(笑)。小学生の頃、福岡から東京に引っ越してきて、そのときに初めてレストランというところに行ったんですよ。
Hide:福岡時代はファミレスにしか行ったことがなかったとお聞きしました。
平野:福岡時代は「ロイヤルホスト」が大好きで、家族で何かあるたびに行っていました。私自身、今でも大好きなファミリーレストランなので、一緒にお仕事をさせてもらったりしています。そういう体験の先に、私がレストランというものに出会ったんですね。家のご飯や学校の給食とはまったく違うし、ライトは蛍光灯ではないし、お店の人が私のことをお姫様扱いしてくれたりして、食体験のすべてに感動したんです。
Misa:うんうん。
平野:それまでは夢の国と言えば「ディズニー(ランド)」って感じだったんですけど、私にとっての夢の国はレストランでした。食に対して夢を持つようになって、食のことがすごく好きになりました。
Misa:食体験を日記で書いているって聞いたんだけど、どれぐらいの勢いで書いているの?
平野:レストランの食体験から給食に至るまで、あらゆる食べ物に対することは記録しています。
Hide:日記はいつぐらいから書いていたんですか?
平野:小学生からですね。
Hide:じゃあ、日記はノートに?
平野:そうです。
Misa:日記を書くようになったのはなぜ?
平野:レストランに家族で行くじゃないですか。家に帰ってきて次の日の朝に起きるとお腹が空いている。そのことがものすごく悲しかったんですよ。「なんで食べ物はおもちゃとかアクセサリーみたいに宝箱にしまっておけないんだろう」っていう、食が“消え物”であることへの絶望がすごく強かったんです。なので、食の記録を残すために日記を書くようになりました。
Misa:すごい。儚いものを残そうという意思があったんだ。
平野:その気持ちがベースにあって、今も続いているっていう感じですね。
◆心から行きたいと思う店に出向くことを重視◆
Hide:インタビューをけっこう読んだんですけど、おしゃれな場所だけじゃなくて自分の視点でいろんなところに行っていますよね。
平野:そうですね。食べ物にまつわる文章を書いていると、編集者の方と新しい食事のお店の話題になりがちなんですね。「ここ行きましたか?」って言われたところがちょうど近所のお店だったので、「行きましたよ。すごくよかったです」と伝えたんです。そうしたら、「(見つけるのが)早いですね!」って言われて。
でも、「早いことに何の価値があるのかな?」ってそのときに感じちゃったんですよ。「早くても遅くても“いいお店”はある」っていう、自分の物差しをちゃんと持っていろんなものに出会っていきたいという思いがあります。「新店がオープンした」とか「流行っているから」っていうのを理由に取材はしなくてもいいのかな、という気持ちです。
Hide:そういうお店って、みんなが取材に行きますもんね。
平野:そうなんですよ。そこで競い合っても仕方がないのかなって気がします。
Hide:違う場所に、独自の視点でスポットを当てたほうが価値がありますもんね。
平野:そういうことを自然とやってきているのかなって気はしますね。
◆食を“幸福”という視点だけで発信しないように心掛ける◆
Misa:「この世にある不幸な食べ物をなくしたい」って初めて聞いたとき、心に刺さって「なんていいことを言うんだ」って思ったんだよね。
平野:確かにそういうことを言っていたけど、ちょっと壮大過ぎる言葉かなって思ったから、今はあんまりそういう言い方はしていないんだよね。ただ、少なくとも“食の幸福の部分”だけを切り取り続ける発信はしたくないなとは思っています。
世の中には食べるって情報だけで完結させるものがとても多いけど、食と自然資源って表裏一体なんですよね。食料消費や食料生産にも通じている話なんです。
Hide:うんうん。
平野:そういうことをちゃんと示せるように心掛けて、これからも言葉を発信していきたいなと思っています。
◆自身から生まれた“感動”を大切に扱う
Misa:さきちょんに質問です。ワクワクする社会創造のタネって何ですか?
平野:まず何よりも自分が感動することかな。一個人として、出会った現象とか起きていることに対して心がちゃんと動くことが大事だなと思っています。いろんな場所や食に出会えば出会うほど、感動がすごく増えてくるんですよ。
最近では、そのことをとても実感しています。「おいしいものを食べ過ぎたら、何を食べても感動しなくなっちゃうんじゃない?」って言われることがあるんですけど、真逆なんですよ。
Misa:おお。
平野:いろんなことに対する感動がどんどん増えていっています。そこから「(感動を)受け取ったからには何かしなきゃ」って気持ちになっていきますね。
Misa:さきちょんが感動したものをエッセイやいろんなもので発信することで、その思いがみんなにどんどん広がっていったりするんだろうなあ。
平野:そういう部分はあるかもしれない。
* * *
UoCでは、3月27日(日)に「創造性特区をつくろう」プロジェクトとその関連領域(地方創生×創造性)にフォーカスした、オンラインイベントを開催します。「創造性特区DAY | 地域の創造性をブーストしよう volume01」の詳細と、参加の申し込みは公式サイト https://uoc.world/event/detail/?id=2a_mfvjyiをチェック。
次回3月23日(水)は、経産省・環境経済室長の梶川文博さんがゲストに登場します。お楽しみに!
番組でお届けしたトークは音声サービス「AuDee」 https://audee.jp/program/show/100000316と「Spotify」 https://open.spotify.com/show/6biaO40gUuf4gbI2QhdTsL?si=C2-xOifkQz230V6X514UlAでも配信中。ぜひチェックしてみてください!
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聴取期限 2022年3月24日(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:hhttps://www.interfm.co.jp/mandala
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