ウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキー氏(画像は『lucy 2022年2月27日付Twitter「Ganz viel Liebe an die Übersetzerin von Welt!」』のスクリーンショット)

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ロシア軍がウクライナに侵攻し多くの犠牲が相次ぐ中、ウクライナウォロディミル・ゼレンスキー大統領が国民に向けて演説を行った。彼の演説はドイツのテレビニュースでも放送されたが、演説をドイツ語に同時通訳していた女性が言葉を失い涙声になる一幕があった。『New York Post』『TheHill』などが伝えている。

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ロシアは2015年2月にウクライナと合意した「ミンスク合意(停戦協定)」を破棄し、2月24日にウクライナに侵攻を開始した。ウクライナでは27日時点でロシア軍の攻撃による民間人の死者が子供14人を含む計352人にも上っている。

そんな中で、ゼレンスキー大統領が現地時間27日の朝に国民に向けて演説を行った。この演説はドイツのテレビニュースチャンネル『WELT(ウェルト)』が同時通訳にてその内容をドイツ語で伝えていた。通訳者の女性は「ロシアは悪の道を進んでいる。ロシアは国連での発言権を剥奪されるべきだ」とゼレンスキー大統領の言葉を通訳していた。

ところが引き続き「ウクライナのことは我々が一番よく知ってる…」と続けた後、通訳者の女性は黙り込んでしまった。そして5、6秒ほど言葉を失った後、女性はすすり泣くような涙まじりの声で「ごめんなさい…」と一言だけ発した。

この様子は生放送のニュースとして放映され、女性通訳者の切ない声は多くの視聴者が耳にすることとなった。そして視聴者によってこの映像がTwitterに拡散されると「我々は皆人間だもの。私も涙が出てしまった」「私も涙したわ。あなたは謝る必要なんてないのに」といった声があがった。のちにSNSユーザーは、この通訳者の女性のものと思われるTwitterの投稿をシェアしている。そこにはこのように綴られていた。

「私は会議通訳者で10時間に及ぶ和平交渉の通訳をしています。でも今日のドイツのテレビ局で生放送されたゼレンスキー大統領の通訳をきちんと終えられませんでした。彼の最後の言葉に私は涙してしまった…。私の友人であるウクライナの皆さんを心から愛しています。」

女性のTwitterアカウントのプロフィールには欧州連合の旗とウクライナの国旗の画像があり、女性はウクライナに深い縁があるとみられる。また英メディア『The Independent』では、通訳者の女性が伝えきれなかったとみられるゼレンスキー大統領の言葉をこのように伝えている。

「私たちは確実に自分たちの守るべきものが何であるかを知っている。我々は間違いなく勝利する。私たちの兵士の一人ひとりに栄光を。そしてウクライナに栄光あれ。」

画像は『lucy 2022年2月27日付Twitter「Ganz viel Liebe an die Übersetzerin von Welt!」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)