骨伝導イヤホンが注目される理由はどこにある? 大人気のShokzを試してわかったリモートワーク時代の身体に優しい安心&安全さ

写真拡大 (全6枚)

新型コロナウイルス感染症により、多くの人が在宅ワークになった。
在宅ワークでは、リモートネットワークによるオンライン会議を利用することで、出社での業務とかわらない作業ができる。その結果、通勤時間の無駄をなくし、自由裁量の働き方がうまれつつある。

こうした新しい働き方のスタイルを快適かつ効率良く進めるのに重要となるのが「骨伝導」タイプのイヤホンだ。

従来のイヤホンでは、在宅中の訪問者や家人からの話しかけにも気がつかないため、在宅ワークでの不満の1つにもなっていた。
しかし骨伝導方式は、耳をふさがない(オープンイヤー)タイプのため、外音をちゃんと聞きながら、オンライン会議などでも集中できるのだ。

当初、骨伝導イヤホンは、約1〜3万円と高価であったが、最近になって最新機能を搭載しつつ3,000円前後で購入できる製品も登場しており、注目度がさらに高まってきている。


今回は、高品位な製品として評価の高い「Shokz(ショックス)」(旧AfterShokz:アフターショックス)を貸し出していただいたので、骨伝導イヤホンの原理や製品の違いなどについて解説する。
※「Shokz(ショックス)」(旧AfterShokz:アフターショックス)は、
2020年1月〜12月のBCNランキングデータのマイク付きヘッドホン(ヘッドセット)ジャンルにおいて「骨伝導型」売上台数1位、販売台数シェア81.2%を獲得している。


■骨伝導イヤホンの原理やメリットとデメリット
耳の穴に挿入する従来型のイヤホンは、空気を通してスピーカーから出る音の振動が鼓膜を経て内耳を震わせることで音を聞くことができる。

これに対して骨伝導イヤホンは、スピーカーではなくトランスデューサー(変換器)を用いて頭蓋骨の一部を振動させることで、耳の奥にある内耳を震わせて音が聞こえるという仕組みだ。


オレンジ色が骨伝導イヤホン、青色が従来型のイヤホンによる音の伝わり方


骨伝導イヤホンのメリットは、なんといっても耳を物理的にふさがないという点だ。
その結果、
・外出時に外音も聞こえるので、周囲の異変にも気づける
・長時間の利用でも耳が痛くなるなど、物理的な負担が少ない
これらのメリットは従来型のイヤホンとは比べものにならないほど大きい。

一方デメリットもある。それは「音質(音量)」と「音漏れ」だ。

音質(音量)については、鼓膜を使用しないため、高音質な音楽再生が難しく、音量が低くなるとされている。音楽再生の際は、耳をふさがずに周囲の音も聞こえてしまうため「没入感」が低くなることも影響していると思われる。

耳をふさがないということは、メリットにもなるが、デメリットにもなる。
このことを理解しておく必要がある。

また音漏れしやすいことについては、こめかみに近い骨を振動させて音を伝えるという構造上、その振動が周りの空気を震わせて、すぐ近くにいる人に音が伝わってしまうことがあるためだ。

音質や音漏れは、骨伝導イヤホンの仕組みに由来する仕様とも言える。
しかしメーカーでは、そうしたデメリットを技術で改善を計っており、最新モデルは、そう気にならないレベルまで改善されている。
将来的には、音質や音漏れといった問題も、解決される可能性もあるだろう。


■骨伝導イヤホンは、製品ごとに違いはあるのか
現在では骨伝導イヤホンにも、エントリーモデルからハイスペックモデルまで様々な製品が販売されている。

機能面でどのような違いがあるのかをみていこう。
今回、Shokzからは、
・OPENMOVE
・AEROPEX
・OPENRUN-PRO
・OPENCOMM
この4機種をお借りした。

音質や機能面で異なる4機種だが、まずは共通点を紹介する。

耳への装着は簡単で、耳かけヘッドホンと同じ要領で耳に引っかけて装着する。
音を伝える振動部を、適切な場所に装着しないと、シャキシャキとした音で聞こえづらい。実際に装着してみると、耳の穴に近い骨に装着すると音質も装着感も最適だった。

また、今回お借りした機種はいずれも、
・Bluetoothの自動ペアリングモード
・マルチペアリング対応
最新の機能に対応している。
自動ペアリングモードは、電源オフの状態で音量プラスボタンを押し続けると起動して接続されるので、スマートフォンやタブレット、パソコンなど接続機器を変更する際もスムーズにできる。

自宅で使用した感想としては、エントリーモデルのOPENMOVEでも、音質が良くことに驚いた。よほど音質にこだわる人でなければ、日常生活で音楽視聴でも不満はでないと感じた。

外出時は外音が聞こえるので、多少音量を上げたほうが聞き取りやすい。
逆に静かな場所では、音量をあげなくても十分に音楽も視聴できる。

また喫茶店や店舗などでは、外音が聞こえるので音楽視聴を停止しなくても、相手の声が聞こえるので、買い物や会話ができるのはメリットだ。

さらに屋外での移動中も外音がきちんと聞こえるので、後方からの自転車の走行音や人の話し声に気づき、事故やアクシデントなどを避けることができる。

4つの機種を使ってみた印象としては、
・OPENMOVE…日常生活でイージーリスニングに使いたい人
・AEROPEX…音質を重視したいが、価格も気になる人
・OPENRUN-PRO…音質を重視したい人
・OPENCOMM…テレワークなど、オンライン会議を目的とした人
このような違いがあると感じた。

〇OPENMOVE

エントリーモデルのOPENMOVE


OPENMOVEは1万円を切るエントリーモデルで、普段使い用としておすすめできる製品だ。
USB Type-Cの充電端子を備えており、汎用の充電ケーブルを使用できる。
音質は上位モデルのAEROPEX、OPENRUN-PROに比べて若干劣るが、両者と比較しなければ、わからないレベルだ。
また、IP55の防水および防塵性能にも対応している。

<製品情報>
製品名:OPENMOVE
価 格:9,999円(税込)
重 さ:29g
Bluetoothバージョン:5.1
マルチペアリング:対応
駆動時間:約6時間
充電時間:約2時間
材 料:チタンヘッドバンド、ポリカーボネートイヤーフック
カラーバリエーション:エレベーションブルー、アルパインホワイト、ヒマラヤンピンク、スレートグレー

〇AEROPEX

AEROPEXは2019年に発売されたハイエンドモデル


最新のOPENRUN-PROに比べて低音の再生は若干劣るが、振動と音漏れが少なく、ハイエンドモデルにふさわしい音質を提供してくれる。
IP67と、悪天候でも気にせずに使用できるレベルの防水および防塵性能にも対応している。ただし、水泳時の着用は推奨されていない。

<製品情報>
製品名:AEROPEX
価 格:19,998円(税込)
重 さ:26g
Bluetoothバージョン:5.0
マルチペアリング:対応
駆動時間:約8時間
充電時間:約2時間
材 料:フルチタン
カラーバリエーション:コズミックブラック、ルナグレー、ブルーエクリプス、ソーラーレッド

〇OPENRUN PRO

OPENRUN PROは最新のハイエンドモデル


2022年1月10日からクラウドファンディングを開始したOPENRUN PROは、
・重低音の強化
・最大10時間の連続再生
・約5分の充電で、約1.5時間の音楽再生が可能
これらが主な特徴。

Shokz史上初となるスマートフォンアプリで、イヤホン側のマルチファンクションボタンで設定している各機能を、アプリ側でも設定できるようになっている。
原稿執筆時点では、アプリは未公開だが、マルチペアリング、イコライザ、言語切り替え、バッテリー残量の確認などが可能になる予定だ。
視聴してみると、低音がよく響いて心地よかった。
なお、クラウドファンディングでは、早割価格で購入ができる。

<製品情報>
製品名:OPENRUN PRO
価 格:23,880円(税込)
重 さ:29g
Bluetoothバージョン:5.1
マルチペアリング:対応
駆動時間:約10時間
充電時間:約1.5時間
材 料:フルチタン
カラーバリエーション:ブラック、ブルー、ベージュ、ピンク

〇OPENCOMM

ビジネスモデルのOPENCOMM


OPENCOMMのマイクはデュアルノイズキャンセリングブームマイクで、口元から6cmぐらいに固定でき、周囲の騒音を最小限に抑えられる。
駆動時間が約16時間と、ほかの機種よりも長時間使用できるため、オペレーター業務やテレビ会議が多い人に最適な製品だ。
IP55の防水および防塵性能にも対応している。

製品名:OPENCOMM
価 格:19,998円(税込)
重 さ:33g
Bluetoothバージョン:5.1
マルチペアリング:対応
駆動時間:約16時間
充電時間:約1時間
材 料:フルチタン
カラーバリエーション:ブラック、スレートグレイ、ライトグレー

骨伝導イヤホンは、従来型のイヤホンに比べると、外音が聞こえる仕様のため、音楽視聴での没入感は損なわれるが、周囲の音が聞こえることで安全かつ安心して日常生活の中で利用できるというメリットは、かなり大きいと言える。

実際に利用してみたが、
音楽視聴中からの固定電話の応答や、宅配便などの訪問チャイムにもすぐに反応ができた。また音楽視聴やWeb会議などで長時間の使用をしていても、聞き疲れがしづらく、耳が痛くならなかった。
これまでのイヤホンに比べ、身体への負担が小さいことも好印象をもったし、なにより外音が聞こえることの安心感がとても大きなメリットだと感じた。

AfterShokzの骨伝導ヘッドホンが、2020年骨伝導ヘッドホン売上数No.1、販売台数シェア81.2%を記録!
【Shokz】骨伝導イヤホンを再定義する OpenRun Pro
Shokz




ITライフハック 関口哲司