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2021年上半期の上位に異変

昨年からのコロナ禍による悪影響だけでなく、半導体不足という逆風までみまわれたのが2021年の自動車業界だ。

【画像】では、登録車と軽自動車2位と3位は?【写真で振り返り】 全138枚

とはいえ、2021年の登録車の新車販売台数は11月までで前年比97.4%、軽自動車でも97%と、なんとか前年に近い数字を稼ぎ出している。コロナ禍前にまで挽回できたわけではないが、ぎりぎりのところで踏ん張っているという状況だ。


2021年の登録車の新車販売台数は11月までで前年比97.4%、軽自動車でも97%と、なんとか前年に近い数字を稼ぎ出している。

そんな厳しい状況であっても、新車は例年通りに近い数が登場している。

トヨタからは、アクアやカローラ・クロス、ランドクルーザー、GR86が発売されているし、ホンダはヴェゼルとシビック、日産はノート(昨年暮れに発売)とノート・オーラを投入している。

ところが登場するタイミングが、おかしかった。

どういうわけか年の前半に登場したモデルが少なく、秋ごろに集中してしまったのだ。

ノートは昨年の暮れであったけれど、年の前半に投入されたのは、ヴェゼルが4月にあったくらい。

それ以外は、6月にノート・オーラ、7月にアクア、8月にシビック、ランドクルーザー、9月にカローラ・クロス、10月にGR86といった具合。

1年を通じて販売できたのは、これらの新顔の中ではノートくらいしかなかったのだ。

新型車の登場遅れ 前半上位は

新型車の数はあるものの、夏以降の投入が過半数を占めた。その結果、2021年の前半(1〜6月)のランキングは以下のようになった。

1位 トヨタ・ヤリス(11万9112台)
2位 トヨタ・ルーミー(7万7492台)
3位 トヨタ・アルファード(5万6778台)

2位となったルーミーの現行モデルの登場は2016年11月、3位のアルファードは2015年1月だ。

数ある新型車を押しのけて、古いミニバンが上位に2モデルも食い込んでいたのだ。

ルーミーとアルファードは、どちらも、タンクやヴェルファイアといった兄弟車が廃番に向かったため、数字を稼いだという背景はある。

マイナーチェンジなどの改良も定期的におこなわれており、高い商品力を保っていたとはいえ、それでも驚異的な数字と言えるだろう。

ちなみに軽自動車の人気上位も、ホンダ・Nボックスをはじめ、ダイハツ・タント、スズキ・スペーシアと、その多くが両側スライドドアを持つ。

普通のドアのモデルをベースに、わざわざ両側スライドドア仕様としたダイハツ・ムーブ・キャンバスやワゴンRスマイルという新型も人気を集めている。

登録車も軽自動車も、そろって上位に両側スライドドアを持ったミニバンが並ぶのが今の日本。

いかにミニバンの人気が根強いかを感じさせる結果だ。

2021年のベストセラー、他を圧倒

それでは、結局のところ、2021年のベストセラーカーは?

それはトヨタ・ヤリスだ。11月までの累計で19万6020台を売り上げた。

これは2位となるルーミーの12万4937台に7万台以上の差をつける数字。

3位はカローラの9万9024台。

4位はアルファードで8万9680台となる。

ヤリスは、3位以下とはダブルスコアという圧倒的な結果。そして、昨年に引き続きの2連覇となる。

このヤリスの強さには理由がある。それがヤリス・クロスの存在だ。ヤリスの販売台数には、ヤリス・クロスの数字が含まれている。

1〜11月のヤリス・クロスの販売台数は約9万4550台(トヨタ調べ)。つまり、ヤリス全体の半数近くがヤリス・クロスとなっているのだ。

圧倒的な差になるのも納得だろう。

とはいえヤリス単体で約10万台、ヤリス・クロス単体で約9万5000台というのは、それぞれでもナンバー1は無理でも上位ベスト3に入る数字だ。

ちなみに注目された新型モデルの販売はどうであったかといえば、ノートは8万2437台、アクアは6万3494台、ヴェゼルは4万8193台。

上位をうかがうには、不十分な数字となっている。

軽自動車のベストセラーは?

登録車ではヤリスが昨年に引き続きのベストセラーの座を獲得したが、日本には、もう1つのランキングがある。

それが軽自動車だ。


軽自動車の2021年1〜11月のナンバー1は、ホンダのNボックス。11月までの累計で17万5501台。    ホンダ

軽自動車の2021年1〜11月のナンバー1は、ホンダのNボックス。11月までの累計で17万5501台。

2位がスズキ・スペーシアの12万3154台。

3位がダイハツ・タントで10万6262台。

Nボックスは、現時点、残り1か月という時点で、2位以下に5万台以上の差をつけている。

登録車のヤリスと同様に、Nボックスも圧倒的なまでの強さだ。

ちなみにNボックスの軽自動車の年間ベストセラーは2015年から5年連続となる。登録車とあわせても、2017年から2020年まで4年連続でナンバー1となっている。

とはいえ、今年は11月までの時点でヤリスとNボックスの差は2万台ほどもある。

この調子では、2021年の登録車&軽自動車をあわせたナンバー1は、ヤリスとなりそうだ。

過去4年の絶対王者であったホンダのNボックスを、2年目のヤリスが破ったというのは大きなトピックではないだろうか。