小牧市の新型コロナウイルスワクチン接種予約のコールセンター。市には、中高生の優先接種方針をめぐり苦情や抗議の電話が寄せられるようになっている=2021年6月9日、愛知県小牧市の小牧市役所、土井良典撮影

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 新型コロナウイルスワクチンを中高生らに優先的に接種する方針を打ち出した愛知県小牧市と東郷町に、「子どもを実験台にするな」などと中止を求める苦情や抗議がきている。

 いずれも住民でない人が多く、両市町は困惑している。

 小牧市は7日、高齢者らの接種にめどがたったため、中高生への接種方針を打ち出した。8日にワクチンに疑念を抱く人らから市に苦情や抗議が来始め、9日正午時点で電話30件、メール20件。大部分が市外からで、長野県や東京都からの苦情もあるという。

 中高生の接種は任意で保護者の同意を求める。プライバシーに配慮するため、休日や夏休みに希望者に接種する計画だ。高校生に早ければ7月中旬の開始をめざす。

 市は年齢の高い順に接種券を発送しているが、これでは10代が11、12月となる見通しだ。山下史守朗(しずお)市長は「貴重な青春の1年を学校行事縮小や中止など制約のなかで過ごしてきた10代が一番最後なのはどうなの?と考えた。子どもたちの青春を応援するために優先接種が必要だと考えた」と話す。山下市長は「国が12歳以上は接種できると判断した。安全性に問題があるというなら国に伝えるのが筋だ」と話し、方針は堅持する。

 東郷町は4日に接種券を高校3年生に優先的に送ると発表。抗議電話は9日までに100件を超えた。「10代に接種させるべきではない」「若者は重症化しないので優先するのはおかしい」などの内容でほぼ東京や関西などからだという。

 町によると、高校3年生約500人を対象に夏休みに接種してもらう方針。健康推進課は「感染の不安をなくして受験や就職活動に臨んでもらいたい」とする。休日返上で集団接種を進めながら、抗議の電話にも対応した森本課長は「若者は自覚症状がないまま家族や友人に感染を広げる可能性も指摘されており、そういうことも考慮する必要がある」と話す。

 京都府伊根町や北海道奥尻町などにも10代への接種方針に同様の抗議電話が相次いでいる。

 藤田医科大の吉川哲史教授(小児科学)は「12〜15歳にもワクチン接種は必要で、学級閉鎖や学校閉鎖を避けられるようになる可能性がある。ただ、接種はかかりつけ医などの十分な説明を受けた上で慎重になされるべきだ。順番については、高齢者などハイリスクの方から始まり、エッセンシャルワーカーや子どもの近くにいる教員などを優先し、その後に子どもという考え方が自然と思う。接種をするかどうかは説明を聞いた上でメリットとデメリットを勘案して判断していただきたい」と話している。(土井良典、鈴木裕、木村俊介)