井上真央

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 井上真央が15日、都内・ニッショーホールで行われた映画『大コメ騒動』東京プレミア試写会で、まるで女子校のようだったという撮影現場を振り返った。この日は共演者の室井滋、夏木マリ、鈴木砂羽、左時枝、柴田理恵、そして本木克英監督も来場した。

 本作は、1918年に富山県の沿岸部で発生し、日本の女性が初めて起こした市民運動ともいわれる「米騒動」を題材にしたドラマ。庶民の生活が困窮する中、家族を守るために立ち上がった女性たちの奮闘を描く。富山県出身の本木監督をはじめ、室井、左、柴田ら富山出身の俳優も参加している。

 大勢の観客の前に立った井上は、「皆さん寒い中、またさまざまな配慮をされながらこうして足をお運びくださり、本当にありがとうございます。女性たちのパワーを存分に感じられる作品となっていますので、最後まで楽しんでください」とあいさつ。続く室井も「去年の10月、11月ごろに富山ロケたら始まりまして。そして京都の松竹撮影所でその後いろんなことがありまして、本日、こうやって皆さんにご覧いただくことができました」と晴れやかな表情で付け加えた。

 井上演じる主人公いとは、聡明であるが引っ込み思案。しかし追い詰められる中で諦めては何も変わらないと自覚し、やがて騒動を引っ張っていく存在となる。井上も「彼女は本当に働き者だなと思いました。家庭を守るだけでなく、昼間は米俵をかつぎ、家では赤ん坊をおぶり。今は当たり前のように食べられているごはんですけれども、当時はこういう思いをしている人がいたんだ、というのを身に染みて感じました」と振り返る。

 現場には子どもたちもいたそうで、井上がなつかれていたという話題に。おかかたちのリーダー、清んさのおばば役の室井が「撮影中に真央ちゃんがエキストラの赤ちゃんを抱っこしていたことがあって。すごいニコニコしていたんですけど、わたしが近づいたら泣いちゃって」と言えば、いとの姑タキ役の夏木も「子どもが大変でね、末の子が泣くんですよ。真央ちゃんがあやすのがうまいんですよ。でもわたしが抱くと泣いちゃうんです」と証言していた。

 撮影現場は非常に和気あいあいとして、本木監督いわく「まさに女子校のような雰囲気」だったという。「僕はただ見ているだけで、その輪に入れなくて。みんな楽しそうにやっているから。アクションシーンでも皆さん楽しそうなんですよ。だから(一揆のために)集団になるシーンでも、真央さんがモニターを見て、『あ、この人笑っている』『この人も笑っている!』と指摘してくれたりもして」と楽しそうに振り返ると、井上も「監督も楽しんでいましたもんね」と笑顔。その言葉に本木監督も「皆さんのエネルギーが予想外にすごいんで、これはうまくいったんじゃないかなと思っておりました」と満足げに付け加えた。

 そして柴田が「早くコロナが終わってほしいね。これの打ち上げもなかったから」としみじみ語ると、その言葉にうなずく井上。そんな本作について「これからご覧になるということですが、映画ではみんな今日の姿と打って変わって真っ黒な姿で映っています。それは汚れているわけじゃないんです。一生懸命労働している日焼けの姿なんですけど、誰かを守りたい。子どもたちにいっぱい食べさせたい。そういう女性たちの小さな願いがどんどん声になって、世の中を動かしていく物語となっています。見終わった後、元気になれる作品になっていますんで、爽快な気持ちで今日は帰っていただけたら」と会場に呼びかけた。(取材・文:壬生智裕)

映画『大コメ騒動』は2021年1月8日より全国公開(1月1日より富山県にて先行公開)