また、今回のような一大事が起こり、なにはともあれ、まずは原点に立ち返ったというブランドは多かった。これまでさまざまな活動をしてきたなかで、突然行動を制限され、本来なにを成すべきなのか、あらためて取捨選択を行ったということなのだろう。DBL開始早々に実施した「Town Hall Meeting」では、参加者に事前回答してもらったアンケートの結果を共有した。そのアンケートの設問は、ずばり「2020年、何を選んで、何を捨てたのか?」という、今回のメインテーマと同じものだ。そこで「選んだもの」の回答として目立ったのが、「ブランドパーパスにもとづくマーケティングコミュニケーション」「本質への回帰」「ブランドの本質に特化すること」「原点回帰し、戦うこと」というような内容だ。さらに、最近、西友に転職した、同社マーケティング&カスタマーエクスペリエンス ヴァイスプレジデントの石谷桂子氏のセッション「メーカーからリテールへ:コロナで異業種転職した、ブランドマーケターの『本懐』」でも、そんな原点回帰が大きなトピックとして語られた。「コロナ禍に直面して、あらためて感じたのは、ブランドビルディング・エクイティの重要性だ。消費者に選ばれるサービス、商品力、人、製品、企業としての一貫性を追い求めなければならない」。ちなみに、原点回帰を選んだものとすると、捨てたものは「求められていない変化」や「不採算事業」などになりそうだ。
コラボレーションの重要性は、年々高まっている。しかし、その意味合いは、大きく変わってきたようだ。というのも、これまでコラボといえば、互いのIP(知的財産)を相乗りさせたり、余剰のリソースを提供し合ったりというイメージが強かった。だが、ここに来て、それ以上のつながりーー連携プレイが可能になってきたのだ。その糊しろとなるのが、「データ」である。日本アイ・ビー・エム株式会社でパフォーマンス・マーケティングの理事を務める、風口悦子氏が登壇したセッション「デジタルファースト時代の『B2Bマーケティング』再考:新しいヒューマンチャネルの可能性」では、B2Bにおいて重要なリアルイベントの消失によって、営業とマーケティングの関係性が大きく変わったことを共有してもらった。イベントがオンライン化するなかで、お互いにデータを共通言語として話し合うようになり、より建設的な関係が構築できたのだという。また、ワーキンググループディスカッション「みんなで考える、新しいデータ活用の世界」では、いま注目を集めている、生活者が自ら進んで提供する「ゼロパーティデータ」を他企業間で相互利用して、どんなサービスを構築できるかについて議論してもらった。いまはプライバシー規制の強化がことさら強調されているように思うが、データ利用のルールがしっかりと定められ、正しく活用できるようになったら、このような取り組みによって、より豊かな価値をユーザーに提供できるようになるであろうことを、参加者全員でシミュレートできたと思う。次世代のコラボレーションを選んだものとすると、捨てたものは「囲い込み」や「前例主義」となるのかもしれない。以上、我々がDBLで学んだ5つのことだ。ちなみに、DIGIDAY[日本版]も、この11月よりタグラインを「GAIN AN EDGE, MAKE SMARTER DECISIONS 〜エッジを獲得し、よりスマートな決断を〜」と新たに定め、気分一新編集に取り組んでいる。Written by 長田真Photo by 渡部幸和