石原さとみさんや菅田将暉さんなどの人気芸能人に「共通する魅力」とは?(写真:Tomohiro Ohsumi/Getty)

モデル歴40年、橋本マナミや武井咲、剛力彩芽など錚々たる芸能人にウォーキングやポージングの指導をしてきた伊藤芳則さん。「伝説の講師」としてモデルや女優など1万人を育ててきた彼が明かす「厳しい芸能界を生き残るタレント」の特徴とは? 『トップの法則 選ばれる人たちが密かに続けていること』より一部抜粋・再構成してお届けする。

業界人を見ても、運がいいなと思う人は、例外なく「笑顔が素敵な人」ですね。さらに、周囲にちゃんと配慮ができる人ばかりでした。仕事がなくなったら困るという不安もあるでしょうし、今のポジションをキープするためにも、まずは笑顔や礼儀が重要だと心得ているのでしょう。

なぜ芸能界では「笑顔」が大事か?

クールなイメージの歌手や、寡黙がウリの有名俳優も、素では笑顔だと耳にします。たとえば、稲垣吾郎さん。SMAPではクールな二枚目のキャラクターでしたが、実際にはよく笑ってよくしゃべる方ですよね。

あるテレビ番組で、ご自分でも「僕はおしゃべりです」「それが意外だと言われます」などとおっしゃっていましたが、素では明るい稲垣さんだからこそ、クールなキャラクターが魅力的なギャップを生むのかもしれません。

また、渋いキャラクターが売りだった舘ひろしさんも、よく笑いますよね。とても70歳には見えないほど、無邪気に笑っています。

カッコいいのはもちろんですが、お茶目でかわいいし、現役感が満載ですよね。コワモテのイメージがあるから、よけい舘さんがキュートに見えてしまうのです。彼らが見せる笑顔のパワーは素晴らしいと感じます

クールなキャラでも渋いキャラでも、実際の性格は明るいですし、よく笑う方です。芸能界は瞬時に味方を作らなければいけない世界なので、笑顔で魅了して一目惚れさせるパワーを持つことが重要なのです。

その中でももっとも大切なのは、第一印象。僕もオーディションで相当鍛えられました。だからこそ、ネガティブな人間はあぶれます。

これは、ビジネス界でも同じことでしょう。誰だって、暗い人、笑わない人とは、一緒に仕事したくないはず。笑顔でいればネガティブな思考はできなくなり、すべてをポジティブに考えるようになります。笑顔が素敵で瞬時に好きにさせれば生き残れるし、モテるし、人気者になります。

若い世代で笑顔がいいなという役者は、女優なら石原さとみさん、男性では菅田将暉さんですね。

石原さとみさんの笑顔は完璧です。自然にフルスマイルができていて、瞬時に人を引きつけ、魅了する。彼女に「おはようございます」とフルスマイルで来られたら、きっと好きになってしまうでしょうね。

菅田将暉さんも、さまざまな表情を見せてくれる魅力的な俳優ですし、多才ですよね。デビューが「仮面ライダーダブル」の主役なのですが。僕も観ていたので「あ、フィリップだ」って、今でもなります(笑)。

自分のイメージ通りの笑顔を瞬時に作れるように、いつも鏡を見て、自分の笑顔に自信が持てるような最高に魅力的な笑顔を習得してください。そうでなければ、何の保証もない芸能界で生き残ることは難しいでしょうし、それ以外の業界でも笑顔を求められる仕事はたくさんあるはずです。

笑顔でいると、幸せに思えることを、たくさん見つけることができ、いい人生になります。ぜひ、普段から笑顔で生活してみましょう。

松本人志さんが誤解されがちな理由

ダウンタウンがまだ若いころ、あのコンビは「他者の悪口で笑いを取っている」と言われていた時期がありました。ただ、視聴者の受け止め方はまったく違いましたね。

同じ悪口を言っているのに、そのあいだに浜田雅功さんの場合は「ニコッ」と笑いが入るのです。だから見ているほうも「ああ、これはギャグだ。浜ちゃんは芸人だから」と、冗談だと受け止めてくれます。

しかし、松本人志さんの場合は、終始真顔で「フンッ」って感じなので、視聴者から「これは本気だ。松ちゃんってイヤなヤツ」と否定されてしまうのです。

この話は、ダウンタウンがウッチャンナンチャンのトーク番組にゲスト出演したときも出てきました。松本さんが、内村光良さんと南原清隆さんに「なんか俺だけ悪口を言ってると思われてる」などとこぼすと、南原さんが「浜ちゃんは笑うけど、松ちゃんはフンッだもん」という感じで突っこんでいました。

これには、番組を観覧していたスタジオのお客さんはもちろん、浜田さんですら納得していたようでした。その松本さん、お子さんも生まれてからはかなり丸くなり、最近では笑顔が出てきましたよね。

ちなみに彼の奥様・伊原凛さんは、オスカー新人レッスンを受けた僕の教え子です。凛さんはレッスンを受けているとき、しっかり僕の目を見て話を聞く人でした。笑顔がとてもよく、最初からフルスマイルができていましたね。最近の松本さんの笑顔は、奥様の影響かもしれません。

松本さんや南原さんから学びを得て、僕もレッスン中、冗談や笑顔をとても心がけるようになりました。この気づかいがあるだけで、多少キツイことを言ってもOKになります。


たとえば、ウォーキングで、手を前に振ってゴリラのように見えるレッスン生がいたとしましょう(実際にけっこういます)。

それを見た僕は、あえてゴリラの物まねで歩いて、笑いを取っています。決して「きみのウォーキングはゴリラっぽいからダメ」とは言いません。僕が笑い者になるように仕向けて、その子に気づかせてあげます。

当の本人は「先生、私そんな歩き方しないですよー!」となるのですが、最終的には彼女に気づかせるように誘導しています。

笑顔でパフォーマンスも上がる

キツイことを伝えるために、わざと笑いを取っているのですが、まさに笑顔の効用ですね。いちばん僕が笑われることで、その子を救うことができ、現実を教えてあげているのです。誰も傷つきませんし、笑うことで場の空気もよくなります。

また、生徒が肩を落として歩いたら「肩は床と平行にしなきゃダメだよ」と伝え、僕もゾンビのマネをして歩き「ほら、ゾンビみたいでしょう?」とユーモアたっぷりに教えます。

すると、生徒たちは「そんな人いないー!」と言いつつも、自分の欠点を知ることができますよね。最終的には、本当にゾンビ歩きする人はいなくなります。

そのためにも笑顔です。逆に笑わせることによってレッスンが盛り上がって、生徒のパフォーマンスも格段に上がるのです。