「夫に興味がなくなり始めたのは結婚3年目くらいからだと思います」

【写真】コロナ禍を感じさせない新橋・コリドー街

 都内在住の丸の内OL、藤田なおさん(仮名・41歳)は、セカンドパートナーのある暮らしをしていることを話してくれた。13年前、社内での出会いをきっかけに8歳年上の男性と結婚。仕事に対して熱心な姿勢だったところに魅力を感じたそうだ。働きぶりを評価された夫は、同期の中でも早く出世した。しかし、この出世をきっかけに燃え尽きてしまったという。

「私の好きだった夫ではなくなってしまいました……」


艶のある栗色の髪をした、藤田なおさん(仮名・41歳)、写真は全て筆者撮影。

頭から麦茶をかけられ、危篤の祖母への励ましには「無駄じゃない?」

 夫から心が離れてしまった理由は他にもある。それは結婚当初から続くモラハラだ。仕事のストレスのはけ口は、全て藤田さんへ向けられたそうだ。「お前は何もできないだろう」などといった人格否定は当り前だという。

「夫はグルメなタイプ。私が食事の用意を怠ると、感情的になるんです」

 藤田さんは、深夜2時の夫の帰宅までに手料理を作り、寝ずに待っているという。残業で料理を作ることが難しいときでさえ、許可なくコンビニ弁当などで済まそうとすると、壁に物を投げつけたり、頭から麦茶をかけられるそうだ。

 最初のうちは反抗したこともあったが、10年前くらいからはそれすらも無駄だと感じ始めたとのこと。「そうだね、あなたの言っていることは正解だね」とロボットのように返す日々だと語っていた。

 結婚当初は子供を作ることも考えていたが、モラハラ気質の夫の遺伝子を残したくないという思いが強くなり、夫婦生活を避けるようになったそうだ。今でも夫からは誘いはあるそうだが、気を悪くしないようのらりくらりとかわし続けている。

「『なおは俺が死んでも悲しまないだろうね』って言われますよ。一応は否定しますけど」

 藤田さんは笑いながら話していた。

 心が離れた決定的な理由は4年前の出来事。藤田さんの祖母が脳梗塞で倒れたのだ。現在は療養中とのこと。遠方に住む祖母が危篤だと聞かされた時、頻繁に帰り、励まし寄り添っていたそうだ。しかしそのことを「そんなに行ってどうするの? 無駄じゃない?」と、バッサリ切って捨てたという。

「このことを私は一生忘れません」と語る藤田さんから、悔しい気持ちが伝わってきた。

 ここで気になるのが、離婚について。離婚は考えているのだろうか。

「離婚は考えていません。社内結婚だから別れるのは面倒ですし」

離婚は考えず、セカンドパートナーを探して

 そんな複雑な想いを抱えた藤田さんが選んだのが、セカンドパートナーがいる生活だったのだ。恋愛は一生していきたいとのこと。結婚5年目頃から、そんな人生も良いのかもしれないと思い始めたそうだ。

 藤田さんは、趣味であるオンラインゲームやマッチングアプリを中心に、セカンドパートナーを探した。社内の男性には絶対に手を出さないと、自分の中でルールを決めていた。

 友達以上恋人未満という距離の近い関係が特徴のセカンドパートナー。身体の関係がないことが前提だが、一線を超えてしまう人も少なくない。実際、藤田さんも4年前、一度だけ関係を超えてしまったことをカミングアウトしてくれた。

 お互い大人な付き合いができるよう、基本的には既婚者狙い。理想のタイプは、高身長、エスコート上手、食の好みが合うダンディな男性だそうだ。しかし、身体の相性が悪かったり、価値観が合わないと感じると、既読スルーで即お別れしてしまうという。

 ネット上での出会いがメインではあったが、幸い、危険な目に遭うことはなかった。今までに会った人数は具体的には覚えていないそうだが、オフ会などを含めれば少なくはないという。普通の恋人のように過ごすこともあれば、食事だけの関係など様々とのこと。

「スマホは2台持ちです」見せてくれたのは、同じデザインのスマホケースに入ったスマートフォン。夫には機械音痴だと嘘をつき、2台持ちしていることは教えていないが、万が一秘密のスマホを使っているところを見られても簡単には見分けがつかない。秘密のスマホには、男性たちの連絡先がたくさん入っていると話してくれた。

出会いはオンラインゲーム、友達以上恋人未満の関係

 現在のセカンドパートナー状況について聞いてみた。

「身体の関係ありのセカンドパートナーは4年くらいいませんが、旅先で添い寝しても手を出してこない神なセカンドパートナーならいますよ」藤田さんはウキウキした表情で、関係性を話してくれた。

 二人の出会いはオンラインゲーム。一緒にゲームを楽しむ仲間の一人だったという。オフ会で意気投合した二人は、5年以上の関係が続いているそうだ。

 タイミングが合えば月2回ほど会い、食事や旅行を楽しんでいる。夫のいない時間帯には電話を繋いだままゲームを楽しむこともあるとのこと。夫には、宿泊を伴う遊びは「出張」と言い、食事については無断で外出するそうだ。交代勤務で働いているため、融通が利くんだとか。

 ちなみに夫にはオンラインゲームをしていることは秘密。帰宅する前にゲーム機を出張用のスーツケースに隠している。

 コロナによるリモートワーク期間は息が詰まるような毎日だったが、「コンビニへ行く」と一人で出かけたときにセカンドパートナーに電話で愚痴をこぼしてストレス発散したというエピソードも。二人の関係が友達以上恋人未満であることが伝わってきた。

 このセカンドパートナーと身体の関係にならない理由について聞いてみた。「一線を越えて、関係を壊したくないし、そもそも見た目がタイプじゃないので、男性としての魅力は全くないですから」とのことだった。マスコット的な存在だそうだ。

セカンドパートナー探しに同行

 しかし、“神”のような相手はいても、それだけでは満足できない。10月某日、藤田さんのセカンドパートナー探しに同行。ナンパスポットとして有名な、新橋にあるコリドー街へ足を運ぶことにした。

 まず初めに訪れたのは、低価格でお酒を楽しめるスタンディング形式のバー。以前から「ナンパ箱」だと有名な場所である。ある常連客は「女性が入ってくると、男性陣は舐めるように値踏みする」と語った。比較的早い21時ごろ入店したのだが、既に人で溢れかえっていた。

 店内は20〜30代の男女が多い印象。藤田さんの狙いのダンディな男性は少ないように感じたが、入店してすぐに20代後半の男性と会話を楽しんでいた。一回り年齢は離れているが、その差を感じさせないオーラや立ち振る舞いからは、男性とのコミュニケーションに慣れていることが伝わってくる。

 連絡先を交換し、その男性とは別れた。「可愛かったけど、もっと年上がいいかな。イケオジ探しに行こう!」と感想を話す藤田さん。

 次のセカンドパートナー候補を探そうとしたが、混雑した店内では会話すらできなくなったため、別のナンパエリアへ移動することにした。

 22時のコリドー街は、ナンパをしようとする男性グループ、ナンパ待ちの女性グループで溢れていた。「いいなって思った人がいたら、目を合わせる努力をすると声かけられることがありますよ。暇だからってスマホばかり見ていちゃダメ」と、藤田さんからテクニックを教わりながら歩いていたら、40代と30代の男性から声をかけられた。筆者との会話中にも、男性をチェックしていたようだ。

 裏コリドーにあるオシャレな居酒屋へ。飲み疲れもあったのか、全体的にテンションが低い状態が続く。「どんな仕事? どこから来たの?」などのよくある会話にうんざりしており、藤田さんは早く切り上げたい様子だった。

 終電を理由に店を出ることにし、解散。一応LINEは交換したものの、その後のやり取りは特にないそうだ。

次回は既婚者合コンへ

 今回のセカンドパートナー探しに、藤田さんは不完全燃焼気味だった。「イケメンにはもっと積極的に行くべきだったかもしれない」と、後悔していた。また、コリドー街は想像以上に年齢層が低かったという。確かに、藤田さん好みのダンディな既婚者男性は少なかった。

 不発に終わってしまった大人女子のセカンドパートナー探し。次回は既婚者合コンなど別のフィールドで探していきたいと意気込んでいた。

 セカンドパートナーを持つ生活については賛否両論ある。藤田さんも、満足できる夫婦関係であれば、考えが違ったのかもしれない。

(吉田 みく)