正式版iPadOS 14を使って分かった10個の注目ポイント

9月17日に正式リリースされた「iPadOS 14」。1週間ほど触ってみて、そろそろ具合が分かってきましたので、本稿では注目したい10個のポイントを紹介したいと思います。

(1)Appライブラリとウィジェットのホーム画面配置はなし

iOS 14と言えば、「Appライブラリ」と「(ホーム画面に配置できる)ウィジェット」だと皆さん認識されていると思います。しかし、iPadOS 14では残念ながらこれらの機能が使えません。「Appライブラリ」画面はありませんし、ウィジェットは「今日の表示」画面にしか配置できません。

iPadOS 14では、ホーム画面左端での「今日の表示」のみにウィジェットを配置できる

「Birch(バーチ)」のように、好きな写真を表示できるサードパーティ製アプリのウィジェットとかも出てきたので、大画面なiPadこそ、好きなところにウィジェット配置したかったんですけどね……。こちらはちょっと残念。

(2)写真の整理がしやすい

標準の「写真」アプリがサイドバー表示に対応しました。ファイル管理アプリではよくあった仕組みですが、写真アプリで出てきてくれたのはありがたい。ライターとしても活動している私は大量の写真を整理しなくてはならず、「ファイル」アプリよりもまず「写真」アプリを管理しやすくして欲しかったんですね。「スクリーンショット」の画像を表示したい、といった場合に視認性がよくなりました。

Engadget Japan

▲「写真」アプリが「サイドバー」表示に対応

あと、写真や動画にキャプションを追加できるようになりました。全画面表示している最中に、上にスワイプすると「キャプションを追加」という欄が表示されるので、ここにテキストを書き込めます。このキャプションは、検索でもヒットするので、使い方によってはとっても便利になりそうな予感がします。

▲表示している写真を上スワイプすると、「キャプションを追加」という欄が表示される

(3)カレンダーの日付が選びやすい

iOS標準の「カレンダー」アプリで、新規予定を作成する際に、日付を選びやすくなりました。これ、従来はプルダウンメニューだったので、離れた日付を指定するには、くるくるっと回すのが手間だったんですよね。iOS 14では、カレンダー形式で日付を選べばよくなりました。

▲予定作成時の日付選択がカレンダー状になった

スケジュールを登録するときには、直接画面を長押しする方が多いのですが、複数の日付にまたがる予定や、細々と予定が重なっている場所にさらに予定をメモみたいに記録するには「+」からの手順が便利なので喜ばしい改良だと思います。

(4)Siriの表示がコンパクトに

Siriを起動したときや、検索結果が全画面表示ではなく、右下に小さく現れるアイコンやポップアップで表示されるようになりました。冷静に考えると、Proなんか12.9インチもあるのに、Siriに全画面使うって効率悪すぎでしたからね(苦笑)。UIが小型化して本当によかったです。

▲Siri起動時の表示は右下に

(5)検索結果に移動がわかりやすく

物理キーボード利用時に、[command] + [スペース]をタップして、検索ウィンドウを開き、アプリ名を入力して[return]を押すと、アプリを起動できます。これは、旧バージョンでも一応できたにはできたのですが、iPadOS 14でUIがわかりやすく改善されました。

▲[command] + [スペース]で表示される検索欄に「写真」と入力。アプリアイコンや「ー開く」のような文字が表示されており、[return]でこれらの動作が実行されるとわかる

例えば、returnを押した時にキーワードによっては、ブラウザでの検索として動いてしまうこともあるのですが、アイコン表示で何のアプリが動くのかが判断できるようになっているので、従来よりは操作性が良くなったんじゃないかなと--。

(6)スプレッドシートの数字入力は手書きが超ラク

手書き文字をテキストに変換できる機能「スクリブル」が話題ですが、残念ながら日本語は未対応です。しかし、英数字ならもう使えます。

▲左端の「A」のペンを選択して、「Numbers」のセルに数字を書き込み、テキスト入力に変換されている様子

例えば、スプレッドシートに数字を入力するのは、トラックパッドなしのキーボードだと結構手間で、神経を削ります。一方、Apple Pencilでセルに直接書き込むと、思った以上に快適でした。Apple Pencilをお持ちの方はぜひお試しあれ。

(7)メッセージの進化は堅実に

もし、メッセージアプリを家族との連絡や、仕事のチームでの連絡に使っているならば、iPadOS 14で追加されたピン留め、インラインでの返信、相手を指定した返信機能は、どれも嬉しい改良です。

▲相手の名前を指定した返信や、メッセージに対する返信が可能に。また、頻度の高いチャットは上部にピンで固定できる

ピン留めは、良く使うチャットを上部に固定できる機能です。右スワイプで表示されるピン留めアイコンをタップして固定可能。メッセージアプリの仕様上、携帯電話会社や、2段階認証での通知なども送信されてくるので、ピン留めがあるとチャットを探しやすくなりますね。

インラインでの返信や、相手を指定した返信は、例えばビジネスチャットアプリや、LINEなどではもはやお馴染みの機能ですよね。グループチャット中にどの相手、どの話題への言及なのかをはっきりさせるのに、なくてはなりません。

(8)音声入力が使いやすい

Smart Connecorでキーボードを装着したままで音声入力ができますし、認識してから文字にされるまでにタイムラグが全然気にならなかったです。長文を続けて読んでも音声入力の精度はかなり良い感じでした。今回は、第8世代iPadで試したのですが、感触的には、原稿仕事でも、結構頼りになるのじゃなかろうかというところ。

▲Smart Keyboardを接続したまま、右下のキーボードアイコンをタップし、マイクアイコンをタップすると、音声入力が可能。夏目漱石の「こころ」冒頭の文を続けて音読したら、このくらいの精度で認識した

(9)ボイスメモの再生がクリアに

iPadで録音しながらメモを取る人も多いでしょう。iPadOS 14ではボイスメモが進化しています。チェックしたいのは2点。1つは、録音した音声を再生する際に、ノイズを少なくできること。右上の星アイコンをタップすると、「ザー」っという風切音が低減されます(ちなみに、キーボードのタイプ音が消えたらすごいんじゃないか!と期待しましたが、こちらはさすがにだめでした)。

▲右上の囲ったアイコンをオンにするとノイズが低減する

もう1点は、録音した音源データをフォルダ管理できるようになったこと。これまではタイトルを変更することくらいしかできなかったので、取材で大量に録音を残す筆者にとっては、なかなか嬉しい改良でした。

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▲左下のフォルダアイコンからマイフォルダを新規作成できる

(10)オートメーションが便利に

「ショートカット」アプリで設定できる「オートメーション」機能のトリガーが増えました。例えば、「充電中になったら〜しろ」などの自動化設定ができるわけです。お気に入りの音楽を流しても良いでしょうし、仕事で使うアプリを起動するのも良いでしょう。応用の幅が広いので、やや上級者向けではありますが、iPadをお持ちの方に、ぜひ試してみて欲しい進化点の一つです。

▲「ショートカット」アプリで、充電器の接続をオートメーションのトリガーにする画面

 

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