日常領域で常に安全をもたらす装備も

 現在新車で販売されている乗用車の安全装備は横滑り防止装置の義務化、自動ブレーキの普及、側面衝突時のダメージ軽減に大きな効果があるサイド&カーテンエアバッグの標準装備化の拡大を代表に著しい。しかし「まだ当たり前ではないけど普及してほしい安全装備」というのもある。今回、改めてピックアップしてみよう。

1)斜め後方の監視装置

 BSM(ブラインドスポットモニタリング)などと呼ばれるこの種の安全デバイスは、リヤバンパーに内蔵されたセンサーを情報源にドアミラーの死角に入ることがある斜め後方の後続車の存在を、ドアミラーの画面やAピラーの付け根などに表示するというもの。「進路変更の際などに斜め後方の後続車に気づかずドキッとする」ということやそういった形態の事故は少なくないので、ぜひほしい安全装備だ。

 また安全装備が頻繁に作動するというのはいいことではないが、斜め後方の監視装置は作動する頻度が多いので、もっとも事故防止に貢献する安全装備といえる。

2)前方衝突予測警報

 自動ブレーキや先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールの重要な構成部品となる周囲の情報源には、スバルのアイサイトや日産のプロパイロットの何車種かのように、ステレオカメラや単眼カメラといったカメラを使うものと、ミリ波レーダーとカメラを併用するものがある。

 後者のほうが多数派なのだが、後者のなかには日産のFRセダンやルークス(eKスペースも含む)のインテリジェントFCWを代表とする前方衝突予測警報を備えるモデルもある。具体的にはミリ波レーダーを1台前の先行車の床下にも通して2台先の先行車の減速などの動きも検知するというもので、2台先の先行車が急ブレーキした際などに自車が早く減速できるので玉突きのような事故を防げる可能性が生まれる。

 日産車以外の採用例としてはBMWのFR車やボルボの各車が挙げられる。ミリ波レーダーを持つモデルなら新たなハードウェアを必要としないため比較的低コストで加えられる安全装備なので、普及を望みたい。

事故後に役立つ装備もぜひ付けたい!

3)正面衝突対応の自動ブレーキ

 対向車との正面衝突の可能性がある際に作動する自動ブレーキはクルマが普通にすれ違う車両と混同してしまうケースもあり、実用化が難しい安全装備だったのだが、ボルボやホンダの各車で幅広く採用されている。ボルボを例に挙げると正面衝突の可能性がある際に作動する自動ブレーキは自車が10km/h程度減速するとのことだが、双方が動いているため大きな運動エネルギーが生じているだけに、その効果は非常に大きい。

4)SOSコール

 SOSコールはクルマに内蔵された自車位置も分かる通信装置を使い、脳や心臓に代表される重篤な急病や事故の際にオンにするとオペレーターにつながり、現場に救急や警察を手配してくれるというものだ。SOSコールにはエアバッグが展開するほどの大きな事故の際にはその時点でオペレーターにつながり、応答がなければ現場に救急を手配してくれるので、意識を失ったとしても生還できる可能性は劇的に向上する。

 SOSコールは最新の日本車なら選べることが多いので、新車の日本車を買うならぜひ装着したい装備だ。

 安全装備の進化は著しいため、「新車を買う大きなメリットは安全装備の充実」とも言い換えられる。それだけにこれから特に新車を買うなら、クルマを買う理由は安全装備だけでもないのも事実にせよ、安全装備が充実しているなど、なるべく安全性の高いクルマを選びたいものだ。