3月30日から休業、7月以降の営業再開を目指していた

 (株)奥飛騨薬師のゆ本陣(TDB企業コード:465017587、資本金500万円、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷一重ケ根208-48、代表石田将之氏)は3月30日に事業を停止し、事後処理を大場寿人氏(東京都千代田区内幸町2-1-4日比谷中日ビル6階、三宅坂総合法律事務所、電話03-3500-2922)に一任し、自己破産申請の準備に入った。

 当社は2015年(平成27年)12月に設立し、奥飛騨温泉郷内で温泉旅館「薬師のゆ本陣」を運営していた。同旅館は(株)オージーエイチ <旧:(有)奥飛騨ガーデンホテル本陣、2018年11月特別清算集結の決定確定>を吸収分割、同社から事業を譲受したもので、奥飛騨温泉郷新平湯温泉の中でも最も古い温泉旅館の一つで、同温泉地最大規模を誇る設備を有していた。2019年8月期の年収入高は約3億2300万円を計上していた。

 しかし、設備負担が重かったことで設立以降、損益分岐点を上回る収入高の確保には至っていなかったため、赤字決算が続き債務超過に陥っていた。近時は外国人観光客を取り込むことで経営の立て直しを図ってきたものの、2月21日に新型コロナウイルス感染が確認された女性が飛騨地方のバスツアーに参加し、奥飛騨の宿泊施設に宿泊した旨の報道がなされて以降、予約客のキャンセルが相次いでいた。3月以降も諸外国からの渡航制限措置により外国人宿泊客は激減。

 当社としては3月30日にいったん休業した後、7月以降に営業再開をすることを検討していたが、新型コロナウィルスの感染拡大が止まらず、収束の見込みも立たないことから、営業再開を断念し、今回の措置に至った。

 負債は債権者約100名に対し、約2億1000万円が見込まれる。