ひだ高山中央市場(帝国データバンク撮影)

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天候不順や災害発生の影響で農作物が被害を受け、仕入れ量も減少していた

 (株)ひだ高山中央市場(TDB企業コード:370105651、資本金4600万円、岐阜県高山市問屋町6、代表永井信次氏)は、3月31日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日同地裁より保全命令および監督命令を受けた。

 申請代理人は網野精一弁護士(東京都中央区八重洲2-8-7、阿部・井窪・片山法律事務所、電話03-3273-2600)。監督委員には佐藤三郎弁護士(東京都千代田区麹町3-12-7、佐藤三郎法律事務所、電話03-3556-2274)が選任されている。

 当社は、1974年(昭和49年)11月に設立した青果物や水産物の卸業者。岐阜県高山市公設地方卸売市場・卸商業センター内における卸売業者2社のうちの1社として、野菜や果物を中心に、鮮魚や水産練製品、塩干物などの販売を手掛けていた。主力の青果物は全国の農協や青果市場のほか契約農家から仕入れ、地元スーパーマーケットや農協、他地区の市場などへ販売。「安心・安全・健康」をキーワードに飛騨地区の特産品も取り扱っていた。91年には青果物用の低温売場を増設し、ピークとなる91年12月期には年売上高約86億7200万円を計上。その後も96年には業界初となるクライアントサーバーシステムの導入を行うなど積極的な設備投資を行っていた。

 しかし、その後は販売先である小売店間の競争が激化したほか、独自に仕入れを行う小売店も増えたことで市場外取引が増加し、当社の売り上げは減少傾向で推移。一時は310社ほど存在した買受人が近年は170社程度に減少したほか、他市場との競合も激化し、2018年12月期の年売上高は約32億8400万円にまで落ち込んでいた。その間、利益率も低下し慢性的な赤字に陥るなか、借入金の返済猶予を受けていた。さらに、近年は天候不順や災害発生の影響で農作物が被害を受け、仕入れ量も減少。多方面へ支払い遅延が発生するなか、ここへ来て資金繰りも限界に達して自主再建を断念し、今回の措置となった。

 負債は約10億8000万円。

 なお、今後はスポンサーである(株)駿河屋魚一(高山市)の支援のもと、新会社へ青果部門の事業を譲渡、鮮魚部門は清算し、再建を図っていくとしている。