「クリーン・ビューティ」メイクアップブランドのイリア・ビューティ(ILIA Beauty)が、1月に発表したばかりのシリーズBラウンドで調達した資金を、同社初の屋外広告キャンペーンに費やそうとしている。

いま求められるのはストーリー

創業10年目を迎えたイリアは2月17日、最新のスキンケア製品であるスキンティントセラムの発売に合わせてキャンペーンを開始した。同社は4月末まで、マンハッタンでこの製品の広告を施したツアーバスを走らせるほか、3月15日〜4月15日の1カ月間、ロサンゼルス各地に4つの屋外広告を設置したり、ニューヨーク市内でワイルドポスティング(フライヤーなどによるエリアジャック)を実施する計画だ。これらのフライヤーは、クレド・ビューティ(Credo Beauty)やセフォラ(Sephora)など、イリアの製品を販売しているショップの近くに貼られる。イリアの創設者兼クリエイティブ・ディレクターのサーシャ・プラブシック氏によれば、同社は屋外キャンペーンを1年間続けるつもりだという。

イリアは新たに調達した資金を、デジタルマーケティング戦略の拡大に使うのではなく、全米でブランド認知度を高める取り組みに集中投下しようとしている。CEOのリンダ・ベルコウィッツ氏によれば、同社の売上は2017年以来毎年のように倍増しているとのことだが、2019年の売上額やキャンペーン費用は明らかにされていない。WWD(Women’s Wear Daily:ウィメンズ・ウェア・デイリー)の報道によると、2019年の売上額は2200万ドル(約23億6100万円)だった。もっとも、売上における卸売りとD2Cの比率は不明だ。

「クリーンビューティは美容分野でもっとも急成長しているカテゴリーのひとつであり、自社をクリーンビューティな企業だと宣伝しているだけでは不十分だと私は考えている」と、プラブシック氏は話す。「ブランドが人々を惹きつけるには、何を語ればいいのだろうか。顧客はブランドをめぐる背景やストーリーを買いに来るのだから、製品自体について細かく説明する必要はない」。

変わる新規顧客の獲得方法

デジタル広告での顧客獲得コストが上昇するなか、2019年にはサカラ・ライフ(Sakara Life)、ベター・スキン(The Better Skin)、ビューティカウンター(Beautycounter)、イプシー(Ipsy)といったブランドがオフライン広告に進出。クリーンビューティブランドや独立系のウェルネスブランドは、たとえ自社製品の販売場所が限られていても、より多くの人にメッセージを届ける取り組みをうまくできるようになる必要がある。

イリアは今回のキャンペーンで、「お肌をウェイクアップすれば、あとはメイクアップするだけ(Wake up skin, makeup the rest)」というキャッチフレーズを掲げ、自社のスキンティントセラムがスキンケアにもたらすメリットを訴求しようとしている。割引クーポンの提供など、消費者に行動を促すコール・トゥ・アクション(Call to Action:CTA)は用意していないが、オムニチャネルメッセージをセフォラとクレドに橋渡ししてもらい、各店舗の近くでワイルドポスティングを行う計画だ。

「(オフライン広告では)顧客は新しいブランドとの出会いを求めているが、雑誌ではもはやそのようなことはない。(顧客がブランドの存在を知るのは)街を歩き回っているときなのだ」と、ベルコウィッツ氏は語った。

キャンペーンの効果測定は課題

ただし、ベルコウィッツ氏とプラブシック氏がともに認めているように、ブランド認知向上キャンペーンとしてのオフラインキャンペーンの成功度を測定するのは、デジタルキャンペーンより難しい。そのため、ソーシャルメディアでのフォロワー数の増加(イリアのインスタグラム[Instagram]のフォワー数は現在19万6000人)、アーンドメディアバリュー(Earned media value:EMV)、それにエディトリアルパートナーのアフィリエイトリンクからの売上を主なパフォーマンス指標として利用することになるだろう。イリアはいまのところ、デジタル広告への投資をさらに拡大するかどうかを明らかにしておらず、今後の決定を下す前に何がうまくいくのかテストしているところだと話すにとどまっている。

「携帯電話で広告を見かけるようになったブランドは、次にインスタグラムで見かけるようになり、さらに屋外広告で目にするようになって、ようやくセフォラに行き着くといわれている。3D効果が生み出されるというわけだ」と、プラブシック氏は語った。

Emma Sandler(原文 / 訳:ガリレオ)