エンジンの寿命はクルマの寿命でもある

  各車両には寿命というものがある。ボディや足まわりなどさまざまなパートで寿命は異なり、そのひとつが限界に達するとそのクルマはもう乗れないということになるが、なかでも致命的となるのがエンジンの寿命だ。

  ボディも力が溜まってだんだんと剛性が落ちて来たりするが、走れなくなることはない。一方、エンジンの場合は新品や中古に積み替えたり、オーバーホールをすれば性能はある程度戻るとはいえ、費用などを考えると現実的ではないし、最近のエンジンはオーバーホール用のピストンを用意していないのが普通になってきている。つまり、エンジンの寿命=クルマの寿命でもあるのだ。そこで思うのが、エンジンの寿命はいつかということ。

  エンジンはどのような状態になったら、使えないということになるのか解説したい。

1)異音がする

  エンジンの回転に合わせて、カンカンといった音が大きくなると、内部の摩耗が激しくなって、クリアランスが大きくなっていることが多い。つまりガタが大きくなって、パーツが暴れている状態だ。簡単に言ってしまえば、内部の動きに合わせて部品が踊っていて、滑らかな動きは不可能となる。音自体は我慢できたとしても、破損する可能性はかなり高く、被害も大きくなるので、寿命と言っていい。

2)白煙が出る

  マフラーからの白い煙はオイルが燃えている状態だ。ちなみに黒い場合は、燃料が濃い状態となる。オイルが燃えているということはシリンダー内にオイルが入りん込んでいるからで、気密性が保てない状態となっている。元に戻すにはオーバーホールが必要だが、先に紹介したように大きくなってしまったシリンダーのクリアランスを元に戻すことは現在かなり難しい。

圧縮圧力の定期的な測定も効果的!

3)オイルが減りやすい

  厳密に言うと少しずつは減るが、1000kmで1リッターぐらい、目に見えて減るようならシリンダー内に入り込むなどしている可能性が高い。通常は白煙が出るが、出ないこともある。

4)圧縮圧力が低い

  圧縮比と間違える人がいるが、圧縮圧力は別だ。圧縮比はヘタろうが変わりないが、圧力は混合気をつぶす時の力の度合い。エンジンのピストンとシリンダーはまさに注射器のようなもので、つまり圧縮圧力とは、ピストンが上に上がってぎゅっとつぶしたときの力のことを指す。

  新品の頃は気密性が高いので圧力は高いし、逆に消耗してシリンダーの気密性が保てていないと圧力は下がってしまう。特殊な測定ツールを使って、ピストンを上下させて測ってみて、規定値を下まわるとそのエンジンは寿命ということになる。測定自体はむずかしくないので、健康診断代わりに測ってもらうのもいいだろう。

  以上、エンジンの寿命を判断する4つのポイントをまとめてみたが、結局のところ、ピストンとシリンダーを中心として、どれだけ摩耗するかがカギとなる。摩耗を防ぐには定期的なオイル交換が大切なのは当然のことだけに、日頃のメンテが結局はエンジンの寿命に大きく関係するということもわかってもらえただろうか。