1万円台 Fire HD 10が『安物買いの銭失い』にならない3つの理由──実機レビュー
タブレット端末としての実力は「iPad」が圧倒的。でも、ユースケースによってはAmazonの激安タブレット「Fire HD 10」(2019年モデル)のほうが優れている面もあります。

「Fire HD 10」は、10.1インチ(1920 x 1200ドット)液晶を搭載したタブレット端末です。CPUこそ2.0GHzの8コアとそこそこですが、RAM容量は2GBと貧弱。OSはAndroidをベースにした独自ソフトウェアを採用し、ホーム画面にはAmazonの電子書籍サービスや動画配信サービスが統合されています。

なお、Google Playには非対応で、Amazonの独自ストアからアプリをダウンロードする形。YouTubeやNetFlix、Facebook、Twitterなど、一部メジャーなAndroidアプリも利用できます。

最大の特徴は価格です。プライム会員なら税込1万5980円で購入可能。価格面で対極となるアップルのiPad Proシリーズが税込で10万円近いことを考えると、雲泥の差です。あまりに安すぎて、いわゆる『安物買いの銭失い』を心配するレベルですが、Fire HD 10を選んで問題ないと思う理由を3つ挙げてみました。

理由1:液晶が美しくコンテンツ消費ならFire HD 10で十分


AmazonのFire HD 10は数年前のモデルまで液晶画面の品質が価格相応といった感じでしたが、2017年モデルより大幅に改良。本モデルの液晶も他のタブレットと遜色ないものになっています。

また、10.1インチと大画面なこともあり、電子書籍を読む際にはE-InkのKIndleシリーズより視認性が良いと感じるほど。また、アスペクト比が19:10と横長なので、動画再生も迫力があります。本体にステレオスピーカーを搭載するので、イヤホンなしでも迫力あるサウンドを楽しめます。動画サービスはAmazon Prime Videoだけでなく、NetFlixやYouTube・Apple TV+など幅広くカバーしているのも魅力です。

▲ディスプレイから「1万円台」という安さは微塵も感じず。大画面なので電子書籍を長時間読んでも目が疲れない

理由2:気張らずに使えるデザイン


価格が安いことを反映してか、メタルデザインのiPad Proと比べると高級感という点では劣ります。背面はマットな質感の樹脂製でポップな感じ。iPadのひんやりした金属ボディも良いですが、Fire HD 10のほうがより手に馴染み、気軽に扱えるという点では勝っている面もあります。なお、本体サイズは262 x 159 x 9.8mm、重量504gと、持ち運ぶにしては大型。後述する「家に常備する」使い方のほうが向いています。


▲樹脂製の背面はポップな印象。GoogleのPixelシリーズに近い路線


▲カラーはブルー・ホワイト・ブラックの3色展開


▲カバーは全5色(別売り)

理由3:リビングに常備する「2台目」として超優秀


筆者がFire HD 10をしばらく試用して、一番ポテンシャルを感じたのが「2台目端末」として優秀な点です。

iPadなどの高機能なタブレットの場合、自宅だけでなく外出先や旅行先などに持ち運びたくなります。一方、リビングのソファなどでくつろいでいる時に、カバンの中に入っているiPadをわざわざ取り出すのは面倒。そんなときに、ソファ付近にFire HD 10が常備してあれば、電子書籍や動画コンテンツに即アクセスできます。これは、コンテンツ消費に特化し、かつ安価な本端末だからこそ現実的な使い方ではないでしょうか。


▲16:10の横長液晶で動画も大迫力。Prime VideoだけでなくNetFlixやYouTubeが利用できるのも魅力

これ以外にも、前モデル比で30%高速になったプロセッサ、充電ポートがUSB-Cに刷新された点など、従来のFire HD 10シリーズと比べても魅力度が増しているのは確かです。

なお、ここまでFire HD 10を褒めてきましたが、ペンやキーボードを組み合わせて、まるでノートPCやペンタブレットとしても使えるiPadシリーズの汎用性、アプリの圧倒的な豊富さに比べると当然ながら簡易的な端末ではあります。あくまで「コンテンツ消費に特化した端末」として検討することをおすすめします。