モンゴルを相手にドリブルで何度も仕掛けた中島。しかし、これが最終予選でも通じるかは……。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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[カタール・ワールドカップ・アジア2次予選]日本6-0モンゴル/10月10日/埼玉スタジアム2002
 
 32対0。この驚愕の数字──両国のシュート総数で比較しても、日本がモンゴルを圧倒。スコア以上に内容で実力差を見せつけた試合とも言えた。
 
「クロスやセットプレーに対してボールウォッチャーになる傾向がある」と長友が話していたとおり、日本はサイド攻撃、CKなどから次々とチャンスを作り、ほぼフリー状態でシュートに持ち込むシーンが多かった。
 
 ラッキーパンチも許さなかった日本が強かったのか、モンゴルが単純に弱かったのか。印象としては後者のほうが強い。日本が完璧なパフォーマンスをしたかと言えばそうではない。危ない位置でボールを奪われ、カウンターを食らいそうな場面もあったりと、細かいミスが散見。それをチャンスに結びつけられたモンゴルがかなり力不足だったと言わざるを得ない。シュート0本、これははっきり言って恥ずべき数字だ。
 
 こうしたレベルの相手とワールドカップ・アジア2次予選で戦わなければいけないシチュエーションは、日本にとってどうなのか。怖いのは、選手たちがこのテンションやスピードに慣れてしまうことだ。
 
 例えば中島のドリブルは、今回のワールドカップ・アジア2次予選ではほぼ無敵だろう。しかし、難敵揃いになるはずの最終予選に勝ち進んだ場合、その武器が無敵でなくなる可能性も否定できない。要するに、日本の真の実力はモンゴルやミャンマーと戦っても測れないということだ。
 
 このタイミングでの冨安の負傷が痛手とは思わない。続くアウェーのタジキスタン戦では植田か畠中、もしくは遠藤が吉田とCBコンビを組むだろう。これで苦戦するようなら、それが今の日本の実力であり、危機感を得られる意味ではむしろ有意義ではないのか。
 
 日本が負けろとは当然ながら思わないが、このまま苦労せずに勝ち星を積み上げることが彼らの成長につながるかは疑問符が付く。日本にとってチーム強化につながりそうにないワールドカップのアジア2次予選を戦う意義はなんなのか? モンゴル戦の大勝はそれを突きつけられた試合でもあった。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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