[Juventus 2011〜2014]
2011-12 不出場
2012-13 CLベスト8敗退
2013-14 CLグループリーグ敗退/ELベスト4

[Chelsea 2016〜2018]
2016-17 不出場
2017-18 CLベスト16敗退

 特に古巣ユーヴェでの3年目にあたる2013−14年シーズンは印象深い。大雪のイスタンブールで戦ったCLグループステージ最終節に、ガラタサライから残り5分で逆転敗退を喫した。

 その後に回ったELでは、ホームの「アリアンツ・スタジアム」がファイナル会場を招致していたこともあり、優勝の有力候補に挙げられた。だが、ベンフィカとの準決勝ではホームでの2ndレグで1ゴールも奪えずに大きな失望を味わった。この頃には、コンテの“欧州カップ戦アレルギー”が盛んに議論されたものだ。

 古巣ユヴェントスの経営体制が今ほどの高収益・高投資のサイクルになかった当時、欧州ビッグクラブとの資金力の差に苛立ったコンテが「財布に10€しかない者は客単価100€のレストランには入れない」と嘆いたこともあった。だが、今季は前述したように潤沢な資金の補強体制が約束され、チーム作りの障害だったFWマウロ・イカルディ(現 パリ・サンジェルマン)やラジャ・ナインゴラン(現 カリアリ)、イヴァン・ぺリシッチ(現 バイエルン)といったロッカールームの不穏分子たちの一掃にも成功した。国際舞台に挑む資金力や経験が不足している、という言い訳はきかない。今季のCLは、闘将にとって自分自身を越えるための大会でもあるのだ。

 ちょうど10年前のシーズンに、栄光の“トリプレーテ(3冠=CL、スクデット、コッパ・イタリア)”を達成した副会長ハビエル・サネッティは大会の展望をこう見据える。

「グループステージのライバルたちはどこも強豪だが、我々の大会での道のりを考えればよくぞ当たってくれたと言いたい。大会の主役を張ろうと思えば、これは越えるべきハードルだろう。CLは決勝トーナメント以降ガラリと性格が変わる特殊な大会。まずはグループ突破が目標だ」

 レッチェとのセリエA開幕戦には、サン・シーロに国内最多の6万4188人が詰め掛けた。17日に控えるスラビア・プラハとのCL開幕戦でも、インテリスタたちの圧倒的熱気はチームと闘将を後押しするだろう。広大なヨーロッパを横断するCL戦線に今季、ネラッズーロ(黒・青)の爆炎が上がるにちがいない。

 インテルの導火線は、もう着火している。

文=弓削高志