候補約10人、日産の次期トップに求められる資質
タイミング―。9日に横浜市内の本社で開いた記者会見で西川社長は、この言葉を繰り返した。
ゴーン被告の不正を見逃してきた西川社長の責任を問う声は根強い。以前から西川社長は責任を一部認めながらも、「今までやってきたことは私が対処し、次を担っていく部分は次世代にお願いしたい」と時期を明示しない形で辞意を表明し求心力を保ってきた。
そうした中で発覚したのが、株価連動型報酬「ストック・アプリシエーション・ライト(SAR)」をめぐる問題だ。社内調査の結果、西川社長が社内規定を破り、約4700万円かさ上げされた報酬を受け取っていたことが明らかになった。
西川社長は余計に得た額を返納する。ゴーン被告に続くトップをめぐる不祥事となったが、西川社長は意図的な指示はしておらず法律違反ではないと取締役会は判断し、一部には即座の辞任は不要との意見もあった。
しかし日産は、6月に指名委員会等設置会社に移行し新体制を始動したばかり。問題が長引けばガバナンス改革の実効性に疑問符が付きかねない。「
社内外の求心力を考えるとこのタイミングでのトップ交代が適切」(取締役会議長の木村康氏)と判断。最終的に取締役会が全会一致で辞任を要請し、西川社長が受け入れた。ガバナンスに詳しい八田進二青山学院大学名誉教授は「西川社長の辞任は遅きに失したが、続投という最悪の事態は免れた」と指摘する。
西川社長は9日の会見で「果たすべき“宿題”にある程度は道筋を付けられた。今のタイミングなら会社に迷惑をかけないと思って辞任を決めた」と語った。一方、「全てを整理し次世代に渡すべきだったが、やり切れず申し訳ない」「来年度の準備をする時など辞任のタイミングは複数想定していたが、一番早くなった」などと述べ、未練ものぞかせた。
日産は足元で二つの重大課題を抱える。一つは業績回復。米国や欧州、新興国事業の不振で2020年3月期の連結当期利益は2期連続の大幅減益になる見込み。建て直すため、22年度までに1万2500人の人員削減などのリストラ策をベースに電気自動車(EV)など次世代製品を軸とした成長戦略を組み合わせた改革を進める。
