公取委がアップルを調査。日本企業に無償で知財提供契約を結ばせていたと判明
公正取引委員会の調査により、アップルが取引先の日本企業に部品製造に関する技術や知識を無償で提供させる契約を結ばせていたことが判明したと報じられています。毎日新聞によると、日本企業側が知的財産権の侵害に当たるとして契約の修正を求めたところ、アップルは取引関係の解消を持ちだして押し通したとの訴えもあったとのこと。公取委は、こうした行為が独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたるかどうかを精査中とのことです。

また別の記事では、ある化学工業大手が部品のサンプルを提供する際に、その知的財産をアップルとその関連会社が自由に使えるとの契約を強要されたとの証言も伝えられています。

日本を初め各国にて、アップルが独占禁止法違反に問われることは今回が初めてではありません。とはいえ、携帯キャリアとの関係については争いが終息する流れにあります。

国内では、昨年7月に公取委がアップルと国内3キャリアの契約関係を審査した結果、独占禁止法違反の恐れが解消したと発表。フランスでは現地キャリアとの不当契約に対して4850万ユーロの罰金が科され、お隣の韓国でもiPhone X発売時の強制捜査から続いていた法的紛争につきアップル側から和解が申請されていました。

その一方、キャリア以外との関係では、アップルの「優越的地位の乱用」が推測される行いが今なお調査の対象となっています。国内ではヤフーのゲーム配信事業「ゲームプラス」に対して、アップルが圧力をかけて取引を妨げた疑いがあるとして、公取委が調査を進めていると報じられていました。

先日のアップル第3四半期決算発表で前年同期比12%減と発表されたように、iPhoneの売上げが低迷しているなか、アップルと販売を担当する携帯キャリアとの取引慣行も徐々に是正されているようです。が、「部品を発注する側とされる側」の力関係が変わりにくいサプライヤーとの契約では、そうした力学が働きにくいと思われます。今後、同様の動きが世界各地に波及するのかもしれません。