ラジコン草刈機「ARC-500」による作業の様子。(画像: クボタの発表資料より)

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 梅雨から夏にかけて急成長する時期、草刈は郊外の住宅地でも重要な仕事だ。まして耕作地周辺での草刈は欠かせない。少子高齢化の進む日本だが、農業ではさらに深刻だ。

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 これまでも農業従事者の減少は言われ続けていたが、宅配便の配送だけでなく、そもそも物流のトラック輸送などで人手不足が深刻化している。プロポ操作の草刈機クボタ・ARC-500の使用が進めば、農業分野など大いなる手助けになることは間違いない。

 しかし農地工作など平坦地で、障害物がない場合は、自動化も夢ではない状態になっているが、傾斜地の草刈は、これまでエンジン式の草刈機を肩から掛けて、人手で行ってきた。安全性の問題も当然にある中で、重労働を強いられてきていた。

 それが平坦地の安全な場所に人間がいたまま草刈作業が出来るのであれば、大変有効となる。これまで発売されてこなかったことが不思議なぐらいだ。

 今回クボタから発売されたラジコン草刈機「ARC-500」は、最大40度までの傾斜に対応できるとしている。重心を山側に傾け、谷側だけ車輪の幅を2倍にするなどで安定性を確保する。

 作業面の角度に、自動的に車輪の向きで対応して調整し、本体が斜面をずり落ちていくのを防ぐ「等高線直進アシスト機能」を備えている。そのため、プロポでの操縦者がハンドルを切って車体の向きを細かく修正しながら、本体がずり落ちてしまうのを防ぐ必要がなくなる。

 これは実際のプロポ操作を繰り返しながら、編み出してきた技術であろう。調整操作が減り、操縦者の熟練を必要とせず、また安全を確保し、負担を軽減することが出来る。

 このクボタの草刈機「ARC-500」はプロポによる操縦をすることとなるが、もう1歩進めてAIプログラム自動運転が出来るとさらに普及するのではないだろうか。建設機械など広い分野で自動運転が開発されてくる中、プロポ運転では少々物足りない感もある。

 また、ラジコンホビーの経験のある人なら、電波障害で本体を失った経験もあることだろう。ラジコン飛行などではフリーフライトに陥って、「どこへ行ったのやら」と高価な装置を失ったこともあろう。ホビープロポと同じ電波帯であると誤動作の問題もあるはずで、こうした問題を解決するためにもAI自動運転が望まれる。ドローンと同じ安全性の問題があるものと推察する。

 しかし、プロポ操縦でもかなりの効果が期待できるもので、これまでの耕作機械とは違って大きな本体ではない。農業だけでなく、道路管理、ゴルフ場、公園管理など他分野でも期待したい。