一番わかりやすい例は、先日、チェルシー対川崎フロンターレ戦が行われた横浜国際日産スタジアムだ。2002年日韓共催W杯では決勝戦をはじめ数試合が行われた主要会場の一つだが、過去のW杯決勝でここまで眺望が悪いスタジアムはなかったのではないか。

 少なくともこちらはW杯だけでも過去10回、少なくとも100以上のスタジアムに出向き、観戦している。ユーロやコパアメリカ、チャンピオンズリーグや五輪、それに日本を含めた各国のスタジアムを併せるとその数は1000近くにも及ぶ。自分で言うのもなんだが、結構数をこなしている。それらと比較して横浜はどうなのか。ワーストと言いたくなる。傾斜角が緩すぎて全体図が掴みにくい。サッカーのゲーム性に迫りにくい、サッカー観戦には適していないスタジアムだ。

 アクセスも悪い。2002年の日韓共催W杯で、準決勝の会場となったさいたまスタジアムは、こちらは交通アクセスがワーストになる。

 サッカーファンの間では、こうした話は共有されているが、ニュースとして取り上げられることはない。ほとんどのメディアは問題視していない。大手、特にテレビがダメだ。遅れている。スポーツ文化を語る時間的な余裕が不足している。

 番組の制作者に知識がないからだ。よいスタジアムは何かという自分なりの定義が構築されていないので、批評しようという意欲が湧かないのだ。そのためにも日本にはよいスタジアムが必要なのだが、新国立競技場は残念ながら不合格だ。

 傾斜角が緩すぎるのだ。特に1階席が酷い。傾斜角は20度しかない。横華国際日産スタジアムといい勝負だ。

 球技場に改修されれば、最前列の座席が陸上トラックの4コース付近までせり出してくる予定だった。しかし座席が増え、前に伸びれば視角はさらに緩くなる。球技専用になれば見やすくなるかと言えば、そうでもない。特に1階席は眺望に優れないエリアになる。

 よいスタジアムでなければ、試合が面白く見えないのがサッカーなので、観客ファーストに立っていないことになる。著名な建築家が、自分が建てたいモノを建てたという印象だ。

 とはいえ、少なくとも球技専用になれば聖地感だけは増す。求心力は増すが、陸上競技場となると、それさえも奪われることになる。

 球技場から陸上競技場へ変更になった理由はなにか。陸連が頑張ったからと考えるのは自然だ。陸上トラック付きの方がイベントを行いやすいと言う声も聞いたことがある。