「アポロ」から50年。宇宙開発は本当に役立っているのか?
「あれは大学院博士課程の最後の年だった。日本初の人工衛星『おおすみ』の打ち上げの仕事を5年間していた。我々のチームはまだ打ち上げていないのに、米国が宇宙船『アポロ』に人を乗せて打ち上げたのを見た時、悔しさと感動が入り交じった気持ちだったことを覚えている」
―これまでの宇宙イベントの中での月面着陸の位置付けは。
「高校時代に旧ソ連の人工衛星『スプートニク』の打ち上げがあり、新しい時代の始まりを感じた。アポロの月面着陸は宇宙時代の象徴と言える最大の大事件で、最も感動的で宇宙開発のピークだったように思う」
―アポロ帰還後の宇宙開発にどのような変化がありましたか。
「アポロの月面着陸後は宇宙利用が広がった時代と言える。宇宙開発の技術は人の生活の中に生かされていった。気象衛星『ひまわり』で天気予報が当たるようになり、米国の全地球測位システム(GPS)でカーナビゲーションシステムが実現するなど技術が広がっていったと思う」
―月を探査することの意義は。
「アポロ計画では月に行って帰ってくることがミッションだった。今でも政治的、科学的、経済的な意義がある。自然エネルギーを利用することは100年前から考えられており、調査することに意味があると思う」
―米国が月面への有人着陸のための有人拠点「ゲートウェー」の建設を進めています。
「2024年にもゲートウェーから月面に着陸できるよう計画を4年も前倒しにした。アポロ1号の計画では3人の犠牲者が出ており、選挙や政治に宇宙を利用しようとして無理してはいけない」
―日本の月探査の現状をどのように考えていますか。
「日本では月面着陸の方法を戦略的に考えていると思う。小型月着陸実証機『SLIM(スリム)』は、小惑星探査機『はやぶさ2』の技術を応用しシンプルに着陸しようとしている。世界中でこの技術が認められ使われるだろう」
