VR研修は社員教育を変えるか
武田薬品工業は2020年初頭にもVRを活用した社員研修を始める。まずは国内工場の従業員を対象に品質保全に必要な作業手順などを教育する。社員はヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着。仮想の無菌室での作業を疑似体験し、作業を誤った際の適正な対処法などを学ぶ。
新入社員向けや危険予知研修にも役立つとみている。今後、自社の全トンネル現場で使用する。学習内容のシナリオも現在の4作業区分(通路、覆工、インバート〈底部〉、切羽〈掘削面〉)から増やす考え。
鉱山向けの大型建設機械は、メーカーの社員であっても間近で見る機会が少ない製品だ。日立建機では、整備・修理を担当するサービス員や営業担当者を対象にVR装置を使った研修を行っている。鉱山向け油圧ショベルやダンプトラックなど超大型建機の点検時の一部作業が疑似体験できる。安全への意識や操作技術を向上させるとともに、社員のモチベーションを高める効果を期待する。
今後は「機械のオペレーションに携わる人材への教育ツールとしても展開する」(人事担当)としている。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険では、代理店向けにVR研修を実施している。全国の90支社に1万5000個の簡易的VR装置を配布。認知症への理解を深め、患者に寄り添う対応で保険の拡販につなげる。
実際にないモノが見える幻視や徘徊(はいかい)して道に迷うなど、当事者目線の三つのコンテンツを体験可能。代理店からは「何に怖がり困っているか、理由を探るための声かけが安心感につながることを知った」など気付きが生まれた。
教本では理解しにくい、危険性が高く体験機会が限られる、コストがかかるといった研修もVRを活用することで効率的に学ぶことができる。人は「聞いたことは忘れる、見たことは覚える、やったことはわかる」と言われている。費用対効果の観点から導入すれば良いというものではないが、VRはゲームなどの分野にとどまらず、社員の理解度向上など研修の分野でも効果を発揮している。
