米・100均のDG 、インハウスの「物流」機能を独自構築
アメリカを席巻している「1ドル」ショップのダラー・ゼネラル(Dollar General)。生鮮・冷凍食品分野にも進出を強めている同社だが、運用上の管理能力を高めるため、インハウスの流通機能を充実させようとしている。同社は2019年3月、流通を中心とした「DGフレッシュ(DG Fresh)」「ファストトラック(Fast Track)」という、新たなふたつの戦略を発表した。DGフレッシュはダラー・ゼネラル自身による流通センターを構築し、そこから生鮮・冷凍食品の配送と保管を行う。生鮮・冷凍食品を店舗に配達する自社の流通センターを活用する方が、サードパーティのサービスを利用するよりも長期的に見て費用対効果が高いというのが同社の考えだ。
CEOのトッド・バソス氏は、5月30日に行われた第1四半期の業績発表で、サードパーティの配送センターから自社配送センターに切り替えることで、より多彩な全国的ブランドやプライベートブランドを扱えるようになる点について言及し、「DGフレッシュによって、売上総利益と在庫面における利点以外にも、(生鮮・冷凍食品における)当社の行く末をやがて我々自身でコントロールできるようになる」と語っている。
敷地面積は米最大規模
グローバルデータ・リテール(GlobalData Retail)によると、ダラー・ゼネラルは1万5597店舗を抱えており、敷地面積はアメリカでも最大規模だ。昨年末の時点で、アメリカ人の4人に3人は、自宅から車で5分以内の距離にダラー・ゼネラルがある。グロバルデータ・リテールのマネージングディレクターを務めるネイル・サンダース氏は、ダラー・ゼネラルにとって費用対効果の高いインハウスの物流ネットワークはとりわけ重要だと指摘する。同社は現在進出している生鮮・冷凍食品カテゴリーは特に物流が鍵をにぎる分野だからだ。ウォルマートを含め、ほかの小売企業も日用品のピックアップや配達オプションを提供する店舗を増やすなど、物流に対する同じような投資を行っている。
「ダラー・ゼネラルの店舗数はあまりにも多い。個々の時間節約がわずかでも、合わされば非常に大きな効率改善になるだろう」と、サンダース氏は指摘する。
5月30日の業績発表で、バソス氏は同社初の生鮮・冷凍食品配送用に設計した配送センターをペンシルベニア州のポッツビルに開設したことを発表した。さらに今年中にあと3軒の利用開始を予定しているという。ダラー・ゼネラルは2019年末までに、こうした配送センターから5000以上の店舗に商品を届けることを予定している。同社はさらに、店舗が扱える生鮮・冷凍食品の数を増やすため、前四半期で1万2000台以上の冷蔵および冷凍機器を導入した。
DGがめざす最終目標
ダラー・ゼネラルの店舗の75%は、人口2万人以下の町に作られている。同社が生鮮・冷凍食品の取扱を増やす背景にはこうした地方指向があるのだ。ダラー・ゼネラルからすれば、ウォルマートやターゲット(Target)、クローガー(Kroger)といった選択肢がない地域で生鮮食品を扱う唯一の食料品店になるチャンスであり、生鮮食品ビジネスの運営への投資は客足と売上の面でも回収が見込める。さらにダラー・ゼネラルが全米でも最大規模の地方店舗を展開していることを考えれば、サードパーティの配送センターよりも自社の配送センターネットワークを構築するほうが同社の店舗分布に適しているのだ。
同社の食品専門の配送センターが扱っているのは、現在冷凍食品と冷蔵の肉類および乳製品のみだが、バソス氏は業績発表のなかで最終的な目標は農産物の取り扱いだと語っている。
カンター・コンサルティング(Kantar Consulting)のアナリスト、キャサリン・ラング氏は「生鮮食品の取り扱いはより多くの資金、作業時間、労力が求められる。回転がはやく、食品が傷むおそれがあるから当然だ」と指摘し、だからこそ、ダラー・ゼネラルは農作物を扱う前に、費用対効果の高い生鮮食品の配送センターネットワーク構築が必須だと分析している。
ファストトラックの事業
ファストトラックの一環として、ダラー・ゼネラルは「すぐに店舗に並べられるパッケージ」の開発を進めている。店員が商品を店舗にならべるまでの時間を短縮するのが目的だ。さらに店員がトラックからの荷降ろしと商品配置をしやすくするため、配送センター側で店舗内のコーナーごとに商品を分類する取り組みを進めている。
バソス氏は第4四半期の業績発表で次のようにまとめている。「つまり、ファストトラックによってより多くの商品販売が可能になり、作業時間の削減が実現し、その時間をカスタマー体験等、店舗内のほかの重要事項に割けるようになる」。
Anna Hensel(原文 / 訳:SI Japan)
